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『レストランテック×web3』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.8.31

■レストランテック×web3の可能性は?

テークアウト形態の多様化やロボットキッチンの導入など、レストランサービスへの投資が加速している。今月は自動調理キッチンや、バーチャルフードコートなど「レストランテック」に関連するスタートアップを紹介する。

有料記事なのでタイトルだけ参照ですが、レストランなど外食産業での課題を技術で解決しようという動きが盛んなのだそうです。

web3はDeFi、NFT、GameFiなどオンラインに閉じた使われ方が今は主な印象がありますが、ネットテクノロジー全般はこれまでも現実世界の課題を解決してきました。

多くの人に実感を持たれていないweb3が浸透するにはリアルとの接点が必要で、これからはきっとリアルとの接点が増えてくるはずだと思います。

今回は「レストランテック」のニュースを題材にweb3の接点がどこにありそうかを考えてみたいと思います。


■レストランテックが解消しようとしている課題

レストランテックとは
レストランテックは、一言で説明すると「飲食・外食産業のデジタル化」のことです。インターネットやスマートフォンなどのIT技術を活用し、飲食店におけるサービスの改善や運営上のサポートを行うものを指します。

「よじげんスペース」(株式会社よじげん)がまとめたレストランテックのカオスマップでは、レストランのインフラとなる要素を「提供チャネル」「食材」「人材」「システム」の4要素に分けています。

提供チャネル
「店舗」「デリバリー」「テイクアウト」の3種類

食材
「仕入れ」「廃棄(フードロス)」の2種類
人材
「求人」の1種類
システム
「予約」「決済」の2種類
飲食インフラ
「店舗/キッチンシェア」「予約」「HR(人事)」「決済/レジ」「デリバリー」「食材仕入」「開業支援」「フードロス」「持ち帰り」の9要素

カオスマップで表現される通り、すでにこれらの課題にはソリューション提供企業がいます。

レストランテックは、飲食インフラの9チャンネルの業務それぞれで活用されていますが、「予約」と「決済/レジ」の占める割合が特に大きいことがわかります。

お金が直接的に動くところが最も需要が高いですし、ソリューション提供側もレストラン以外で使っていたシステムの横展開なので開発しやすかったということだと思います。


■web3的な要素を入れるなら

食材のトレーサビリティをブロックチェーンで透明化するとかはフードテック領域ですぐ思いつきますが、上記のカオスマップを見る限りレストランテックではもっとダイレクトに収益アップ、客数アップ、コストダウンなどお金に直結する部分が必要そうです。

たとえばweb3について「所有」がWeb2以前との違いだと説明されますので「お店のファン顧客のバーチャルオーナー化によるRestaurant to Earn」はどうでしょうか。

・バーチャルオーナー権NFTの販売
お店のファン・常連から小口投資家くらいのイメージで、「お店のバーチャルオーナー権」をNFTで販売します。

開業のタイミングに限らずお店がある程度根付いた後のファンが生まれた後でも継続的に実施できます。

オーナー権は従来型の会員権に似た構造で事前に資金を集める機能を持ちます。

オーナー権の購入者のユーティリティは飲食の割引や優先予約権など従来からあるものはあってもいいですが、もっとオーナーらしいものを提供します。

・「飲食の割引券」や「優先予約権」を新規顧客に提供する権利
自分自身で割引券を使うのはお店の利益を減らす行為です。
新規顧客の開拓や常連客の来店頻度を上げるために割引券を活用したいというのがオーナーの本音ですので、バーチャルオーナーには新規顧客を開拓するための武器として割引券などを提供します。

オーナー権所有者が発行した割引券が使用された回数や客単価、その後の定着率、来店頻度に応じてオーナーはガバナンストークンを報酬として受け取ります。

自己消費をしてもガバナンストークンを獲得できますが、新規顧客開拓に使用する方がEarn量が多い設計とします。常連客として飲食してEarnすることも、レストラン経営者として集客でEarnしてもよい、というモデルです。


・新商品の先行試食、商品開発、来店キャンペーン企画に参加する権利
Earnしたガバナンストークンを使ってお店をよりよくするための意見を出すことができます。常連客の視点と経営者・オーナーの意見の両方を加味した改善に携わることができます。

これは本来従業員や外部コンサルタントにお金を払って行う行為ですから、飲食店の本来の運営予算を原資として、ガバナンストークンの所有量に応じてリアルな契約を結び法定通貨での報酬を支払うこともアリではないかと思います。to Earn原資がリアル運営予算というRestaurant to Earnのモデルです。

ただしバーチャルオーナーは飲食店経営のプロではないので間違った判断をする可能性があります。そこで実際のオーナーや経営者が最初はガバナンストークンを多く持っている状態からスタートし最終判断は実経営者が担う。徐々にバーチャルオーナーに任せて大丈夫な状態になればアロケーションを広げていく、というやり方になると思います。

・のれん分け、FCにもバーチャルオーナー権NFTを活用
Restaurant to Earnを通じてそのお店の経営方針や集客ノウハウを学んだ先にあるのは、本当にお店のオーナーになることです。

店舗ごとに同様にバーチャルオーナー権を発行する権利を有し、真のオーナーとしてガバナンストークンを多く持っている状態が究極。ここまで貢献してきたのであれば加盟金をガバナンストークンで支払ってもよいでしょう。

もちろん投資家のポジション、いち常連客のポジションを取る人も多いはずですが、出口が実店舗のオーナー権があるのも面白いですし、中間のto Earn部分を自動化できるのがweb3のスマートコントラクトやトラストレスな部分です。


■誰でも経営に参画できるRestaurant to Earnという民主性

実際にやろうとするとto Earnが配当金にならないか、NFTが証券と見なされないか、出資法に違反しないかを考慮する必要が出てきそうですが、自分が好きなお店を応援することを柱にしたweb3らしいオーナーシップエコノミーは作れるんじゃないかと思います。

DAO運営型店舗の実例も出てきていますし、小規模店舗であれば常連客からの意見を取り入れやすいところもあるでしょう。また大規模なケースでもFC本部との軋轢の解消にも使えそうな気がします。

レストランをはじめとするリアルなものとweb3が接点を持つとき「暗号資産で支払いできる」「ポイントが暗号資産で付与される」「来店スタンプがNFT化される」という実感しやすいものもあると思いますが、株式会社の仕組みを超えるものを実現するようなweb3の活用方法の方が夢があると感じます。

誰でも経営に参画できるRestaurant to Earnという民主性はweb3っぽい。街の住人に支えられている地元の商店街のいち店舗くらいのところから始まらないかな、と期待しています。

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