『新世代の太陽電池を搭載したKDDIの「ペロブスカイト基地局」』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.3.9
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■新世代の太陽電池を搭載したKDDIの「ペロブスカイト基地局」を見てきた
軽量で曲げられる第3世代太陽光発電であるペロブスカイト太陽電池を、携帯電話の基地局の電力供給に使う実証実験をKDDIが開始しました。
KDDI全体のCO2排出量の約半分が基地局起因であることもあり、基地局の電力を太陽光発電で現場生産できるようにすることでカーボンニュートラルを進めていくことや、能登半島地震のように被災した際でもできるだけ基地局が稼働できるようにする災害対策などが目的としていますが、副産物として得られる情報にも非常に価値があります。
携帯基地局でペロブスカイト太陽電池の耐久試験
ペロブスカイト太陽電池は発明されて日が浅いことから、長期耐久性が課題でした。
今のペロブスカイト太陽電池は5年~10年しか持たないと言われていますが、改善も進んでいます。
外部電源もあり、異常検知の仕組みと駆け付けメンテナンスの体制が整っている携帯基地局という場所で、年単位でさまざまな気候条件の中でテストを行うことで、耐久性試験のリアルなデータが採れます。
高耐久化した製品も次々に作られた際も、保守体制がしっかりした携帯基地局でデータを取れれば、想定通りの性能を発揮できるかを確認したうえで市場に投入でき、ペロブスカイト太陽電池の実用化と普及に寄与するはずです。
5G基地局の普及に寄与
より高速で低レイテンシー、多端末が同時接続可能という5Gが、肌感覚ですがあまり広がっていない気がします。首都圏でも郊外に離れると4Gだなという印象です。
3Gと4Gの違いほどキャリア側に切り替え動機が薄いこともあると思いますが、5G基地局の電力消費量が4Gの3~4倍に及ぶことも普及の妨げになっていると思われます。
仮にすべての基地局を5G化して消費電力が4倍になると、年間30億kWhが120億kWhに跳ね上がります。燃油価格上昇や円安で電気代が高くなって苦しいのは家庭だけでなく事業者も同じ。5Gを普及させて通信を次世代に進めたいとしても、今のままだと経営を大きく圧迫しかねません。
基地局の太陽電池による電力自活化はこれまでも行われてきましたが、ペロブスカイト太陽電池だと基地局の面積が狭くても発電パネルを設置できるため、より多くの基地局に太陽電池を導入できる可能性があります。
電気代に阻まれて5G化が進まない現状があるとすれば、ペロブスカイト太陽電池によって改善されることが期待できます。
5Gの低レイテンシーな特長を生かして地球の裏側とバンドセッションするデモンストレーションなど展示会などでたくさん見ましたが、新技術はやはり普及してナンボです。
今回の携帯基地局での導入実験が寄与することで、ペロブスカイト太陽電池そのものの普及と5G基地局の普及が加速することに期待です。
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