
『全国の自治体でリチウムイオン電池の回収実験開始「膨らんだバッテリー」対応を急げ』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2025.1.17
「先進テックで未来の生活はもっと良くなる!」と信じて、Web3・AI・ガジェットなどのデイリーニュースから毎日ひとつピックアップしてご紹介しています。
新規ビジネスのアイディアのタネがほしい方、未来を想像してワクワクしたい方、読んでちょっといいなと思った方、ぜひフォロー・高評価よろしくお願いします!
■使用済みリチウム電池収集で火災リスクも減! 埼玉の新たなレアメタル回収実験
埼玉県と荏原環境プラントは、家庭から出る使用済みリチウムイオン電池を専用収集ボックスで収集し、レアメタルを再利用する実証試験を実施する。収集ボックスは1月15日から加須市のまるたけ騎西店とさいたま市のファミリーマート埼玉県庁店に設置し、ファミリーマート埼玉県庁店は2月14日、まるたけ騎西店は3月31日までの期間限定で運用される。
近年ではリチウムイオン電池がさまざまなものに内蔵されています。スマホやモバイルバッテリーのようにリチウムイオン電池が入っていることを全員が認知しているものだけでなく、電子タバコ、電動歯ブラシ、電動髭剃り、夏場に活躍するハンディ扇風機など、あまり意識せずにリチウムイオン電池が入っている製品もたくさんあります。
これらリチウムイオン電池が入っている製品を捨てる方法は自治体によって異なりますが、1月15日に足並みを揃えるかたちで、全国の多くの自治体が一斉に回収実験を開始しました。
このように、いろんな自治体でリチウムイオン電池の回収専用ボックスを設置するというアナウンスがなされています。
バッテリー廃棄の課題
現状のバッテリー回収の課題は、膨らんだバッテリー、破損したバッテリー、分解して取り出したバッテリー、メーカーが回収を行っていないバッテリー、メーカーと連絡が取れないバッテリーは、捨てる方法がないことです。
膨らんだバッテリーなどは、発火する危険があります。膨らんだ部分には可燃性ガスが充満しており、爆発的に発火します。
こんなものは家の中に置いておきたくないので、すぐに捨てたいわけです。しかし、自治体や民間団体で正規に捨てる方法が提供されていないのが現状です。
危険なのに正規に捨てる方法がないので、不正にゴミに混ぜて捨てられ、その結果、ゴミ収集車が火災を起こす事件が多発するわけです。
「リチウムイオンバッテリーを捨てる際は、自治体の指示に従うように」と報じられていますが、自治体が「膨らんだバッテリー」などの捨て方を持っておらず、適切な指示ができていないことも、不正な廃棄方法が採られてしまう原因です。
今回の自治体の一斉実証実験のルール

今回の自治体でのモバイルバッテリー回収実験では、上記の資料が共通で使われています。リサイクルマークがついているものに限定されており、「膨張又は破損している充電式電池」が回収できないとしていることからも、JBRCルールに準拠しており、今回自治体で集めたバッテリーはJBRCに処理委託するのではないかと思います。
つまり、リチウムイオン電池の課題が解決されていないことがわかります。
膨らんだバッテリーが投げ込まれる可能性大

埼玉県加須市の騎西で営業しているスーパー「まるたけ」店舗前に設置されるバッテリー回収ボックスの例を見て分かる通り、廃棄するバッテリーを自由に入れられる方式が採られています。
JBRCに加盟している家電量販店では、店員にバッテリーを見せて回収可否を判断してもらう方法が採られており、リサイクルマークがついていないものや膨らんだバッテリーは回収を拒否されます。
しかし、今回の実証実験では、膨らんだバッテリーでも回収ボックスに捨てることが事実上可能になっています。ルールでは膨らんだバッテリーなどは捨てられませんし、このボックスにも回収口の下の部分に×印で受け付けない旨が記載されていますが、それでも膨らんだバッテリーが捨てられるでしょう。
膨らんだバッテリーが捨てられてしまうことは、自治体の方でも当然に検討したと思います。それでも無人の回収ボックスを設置する方法を採ったということは、もしかすると膨らんだバッテリーを暗黙的に諒解しているのかもしれないと感じます。
暗黙の了解ではなく、膨らんだバッテリーの公式な収集方法の確立を!
リチウムイオン電池を内蔵した製品やモバイルバッテリーは今後も増え続けるでしょうから、一定割合で膨らんだバッテリーも発生します。
捨てる先がない膨らんだバッテリーが各家庭に放置されると、火災の原因になります。火災が起きると、各家庭だけでなく自治体も広い意味で損失を被ります。今回の実証実験を通じて、密かに膨らんだバッテリーを回収するための実験も行っていると見るのは裏読みしすぎかもしれませんが・・・
【環境局】破損・膨張したリチウムイオン電池やモバイルバッテリーは市施設等で回収しますのでお持ち込み下さい。場所:市役所本庁舎12階(循環型社会推進課)、清掃事務所、地区リサイクルセンター、リサイクルプラザ宮の沢、ビックカメラ、ヤマダデンキ、マツヤデンキ市内店舗https://t.co/Fi1mCL0BGi
— 札幌市広報部 (@Sapporo_PRD) April 1, 2024
暗黙の了解として回収ボックスを通じて膨らんだバッテリーを密かに回収するのではなく、札幌市のように、他の自治体でも公式に「破損・膨張したリチウムイオン電池やモバイルバッテリーは市施設等で回収しますのでお持ち込みください。」と言えることが本来は必要です。
多くの自治体で一斉にリチウムイオン電池の回収実験を行うのは非常に良い取り組みですので、さらに一歩踏み込んで、本当の課題である「正式な廃棄方法がない膨らんだバッテリーの回収方法」の確立と提示を一日も早くお願いしたいと思います。