『PayPayが他社カード継続を検討-QRコード決済乱立の課題解消を目指すJPQRと合わせて考える』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.12.6
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■PayPayが「他社クレジットカード」への対応継続に向けた検討を実施 2025年夏以降の提供を目指す
PayPayが他社クレジットカードに再び対応するかもしれないというニュースが報じられています。
私はPayPayを使い始めたのが遅かったため、他社クレジットカードの新規登録ができず、結果PayPayは滅多に使いません。今回のニュースは初期からPayPayを他社クレジットカードとの紐づけで使っていた人を対象としたニュースですが、もし2025年夏に他社クレジットカードに正式対応するようになれば、私もPayPayの利用頻度が上がるかもしれません。
しかし、そもそもこのニュースの本質は、日本のQRコード決済乱立問題です。
PayPayが不便なら他のキャッシュレス決済を使えばよいのですが、PayPayしか使えない店があるから困るわけです。また、各店舗でどのQRコード決済が使えるかを常に意識しなければならないことも、ユーザーとお店の双方にとって大きなストレスです。
インドネシアでは、2019年からこのQRコード決済の乱立問題を解決しています。
インドネシアのQRISと共通化の重要性
インドネシアでは「QRIS」という、全てのQRコード決済を一つにまとめた共通規格が既に一般的になっており、現地ではどの店舗でも決済事業者を意識する必要なく決済が可能です。
インドネシアではQRコード決済の共通化によって個人商店や屋台、教会での寄付献金すらキャッシュレス化されています。いわゆる東南アジアのイメージや、翻って日本の先進国としてのイメージと、この日経新聞の記事にある実態は大きくかけ離れていることがわかると思います。
インドネシアの「QRIS」のようなQRコード決済の共通規格があれば、今抱えているQRコード決済の課題の多くを解決し、日本のキャッシュレス化をもう少し加速できるはずです。
実は、日本にも「QRIS」と同じQRコード決済の共通規格である「JPQR」というものが存在します。
日本のJPQRとは?
日本でも「JPQR」という、QRコード決済の共通化を目指す取り組みが進められています。JPQRはキャッシュレス推進協議会が策定したスマホ決済の統一コード規格で、総務省は2019年度からJPQRの普及推進事業を担っているという、インドネシアのQRISと同じ時期に着手されたものです。
JPQRのメリット
JPQRが普及すれば得られるメリットは多岐にわたります。
まず、QRコード決済の一元化により、どの決済サービスが使えるのかを気にする必要がなくなります。ユーザーは一つのQRコードを読み取るだけで、自分の使いたい決済サービスを選ぶことができるようになり、ストレスフリーな買い物体験が提供されます。
さらに、インバウンド対応も大きなポイントです。JPQRが普及すれば、訪日外国人が自国のQR決済アプリを使って日本国内で簡単に支払いを行える環境が整います。これにより、観光客にとっての利便性が向上し、観光地でのキャッシュレス化が進むことが期待されます。
支払い履歴や予算管理の一元化という点も見逃せません。JPQRを通じて複数のQRコード決済を利用することで、全ての支払い履歴を一元化することができ、個々のアプリで支出を確認する手間が省けます。これにより、月々の支出を把握したり、家計管理を効率的に行ったりすることが容易になります。金融管理アプリとの連携が進めば、さらに包括的な支出管理が可能となり、消費行動の可視化が進むでしょう。
PayPayの立場は?
もしJPQRが普及すれば、ユーザーは自由にd払いや楽天Payなど、他の使いやすい決済手段を選べばよく、PayPayのようなサービスが他社クレジットカードに対応しないままであれば、自然と選ばれなくなってしまう可能性が高まります。
さらに、他社クレジットカードを使うために追加手数料がかかるとなればなおさらです。
PayPayとしては、JPQRの普及に伴って競争力を維持するために、少なくとも他社クレジットカードに対応する必要があると言え、そのため今回の発表に至ったわけです。
JPQR普及を阻むPayPayの思惑?
こうした状況を踏まえると、PayPayがJPQRの普及に対して積極的でない理由も理解できます。
JPQRが普及すれば、ユーザーがPayPayに固執する理由はなくなり、他の決済手段への流出が進む可能性があります。これはあくまで推測の域を出ませんが、PayPayとしてはJPQRの普及を抑えたいという思惑があるのではないかとも考えられます。
事実、JPQR経由と直接PayPay決済で手数料を差別化し、JPQRの普及が進まない施策も展開しています。
PayPayの思惑通りなのか、結果的に「JPQR」が使えるお店はほとんどありません。
JPQRのリブートを強く願う
インドネシアのQRISと違い普及に失敗した日本のJPQRですが、今のQRコード決済の乱立が不便であることは間違いありません。
JPQRが普及しなかったのは、PayPayのように手数料の差別化をしたからだけではなく、店舗側がJPQRを導入することの不便さを解消できていないことも大きな要因です。
消費者にとってはJPQRの普及によって非常に便利になりますが、店側はむしろ不便になるのでは普及は進みません。
とはいえJPQRのようなQRコード決済の統一規格は必要なものだと日々痛感します。問題点の洗い出しはすでになされていますので、改めて消費者も店舗も真に利便性が高くなる、JPQR 2.0としてのリブートを強く期待しています。