『日産が「テスラの充電規格」を採用。規格統一と分散化のモヤモヤ』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.8.12
■日産が「テスラの充電規格」を採用、これはいったい何を意味するのか
「日産がテスラの充電コネクターを採用」と聞いたときはモヤっとしました。我が家のサクラが「古い規格」になってしまうの?と。
しかし実際は上記にある通り「北米市場に供給する車両において」テスラの充電企画であるNACSを採用するというものでした。
充電コネクターに限らず、自動車メーカーは北米向け、ヨーロッパ向け、日本向けなどで仕様を作り分けています。車種自体から仕向け地ごとに作り分けているほどですから、日産がNACSにした新型を日本向けに発売し、CHAdeMOを「古い規格」にしてしまうようなことは、ごく短期的には起こらないと考えてよさそうです。
エリアごとの規格統一
日産が北米向け車両にテスラ規格を採用した理由のひとつとして、テスラ独自規格が北米統一規格になったことを挙げています。
とエリアごとに規格は4つに分かれていますが、それぞれのエリア内では規格統一されているとも言えます。
日本は島国なので車での移動の範囲は概ね日本国内に限定されます。ヨーロッパでは国をまたいで走り続けることは日常あり得ることでしょうが、その移動範囲の中で規格が統一されていれば、ユーザーとしては弊害はありません。
将来的には日本の独自規格であるCHAdeMOが、巨大市場の中国に合わせて統一される動きはあるようです。自動車メーカーとしても、それなりに大きい市場ではありつつも日本だけの規格に合わせて車両を作り分けるのはコストがかかりますので、できるだけ少ない規格にまとまってくれることはありがたいと考えるでしょう。
統一規格と分散化のモヤモヤ
しかし上記の通り、規格統一は独占や寡占という弊害をもたらすことがあります。規格そのものは中立公平な組織が制定しながらも、規格で技術的な差異が生まれないなら採用した企業の資本力の勝負になり、結果的に特定企業による中央集権状態が生まれることはあるわけです。
メタの「Threads(スレッズ)」もActivityPubプロトコルを採用し分散型SNSの標準規格に準拠する姿勢を見せていますが、ActivityPub組の中でシェアを獲得するために独自仕様をその中で展開してしまうと互換性を担保しづらくなります。
完全に規格を統一しても独占状態が生まれ、規格を統一しなければ初めから資本力による独占が生まれる。どうやっても独占・中央集権化が進みがちなのが現在の仕組みのように感じます。
分散化の意義はとてもわかりつつも、なかなか理想通りには進まないなぁとモヤモヤするわけです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?