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『小売店×web3「DeStore」の挑戦に見るリアルとの組み合わせの可能性』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.10.27
■人気YouTuberだった18歳が渡米して挑戦、web3でつくる「未来の小売」
彼が現在運営しているDeStoreは、NFT(非代替性トークン)を会員権として発行し、NFT会員となったメンバーがDAOの店舗で販売するブランドや商品の選定、店舗の運営を行う、共同運営型の小売店プロジェクトだ。
約7か月前の3月15日にもご紹介したことのある、web3小売店ビジネスモデルに挑戦している「DeStore」の取材記事をご紹介します。
実店舗の運営にNFTを用いるというのが、NFTの取引がアート中心でオンライン中心だった3月頃では珍しかった覚えがあります。
■なぜ実店舗なのか
この取材記事の中でなぜ実店舗にweb3を掛け合わせようとしたのかの動機や勝ち筋が語られています。
商品だけを求めている顧客は、実店舗で商品を試して、オンラインで購入するサイクルでしたが、商品よりも体験を求めて来店する顧客が多いことがわかったのです。それは米国の大手D2C(Direct to Consumer、消費者直接取引)ブランドや、百貨店の役員などにヒアリングしても同じような回答を得ることができました。
コミュニティ中心で効率目的ではないことが実店舗と相性がいい
あらゆるものがオンラインECで買えてしまう現在、競合に勝てるECサイトを新たに作ることでの勝ち筋はなかなか見出しづらいものです。
手作りの一点モノを扱うであるとか、独占販売で他店では手に入らないだとかの差別化要素を持った上で、実店舗で売るより販路が広い・固定費が安いなど効率化のためにオンライン販売を選択するということになります。
しかし手作りの一点モノや他店では手に入らない独特な商品を扱うなら、店主との信頼関係やコミュニケーション、商品ファン同士のコミュニティが作りやすい実店舗の方が相性がよいでしょう。コミュニティやコミュニケーションは概して効率とは相反するものです。
リアルな実店舗という要素がNFTやDAOの理解を早める
加えて、NFT所有者が参加できるDAOで店舗の経営方針を決め利益を案分する仕組みというのも、実店舗に足を運べて顔を合わせられる間柄の中で運営される方が、最初はDAOがワークしやすいのだろうと思います。
Discordコミュニティのテキストコミュニケーションだけで意思決定するのも難易度が高いのに加えて、まだDAOやNFTがデジタルでバーチャルなもののように感じられる段階では、実店舗&会える人というリアルな要素を組み合わせた方がDAOとNFTの価値を感覚的に理解しやすいというメリットもあると思います。
NFTの売買自体で収益を上げることが目的化しない
NFT会員権を持っている人がDAOメンバーとなり店舗経営に携わることができます。そういう意味では株式に近い意味合いがNFTには持たされています。
しかしDAOの収益はあくまでも店舗での売り上げです。株式的なNFTを販売すること自体が目的ではありませんし、NFTの売買差益や二次流通ロイヤリティが経営基盤ではありません。
NFTアートプロジェクトやBGCなどNFTが中心的価値のサービスではNFT自体の売上が主な収益源です。難しいのはNFTの販売数量を限定しないと価格が下落するというメカニズムです。
たくさん売りたい、けれどたくさん在庫を用意すると価値が下がる。という売りたい動機との不一致を構造上はらんでいます。
NFTそのものを商品にしないことで、お客さんにはたくさん来てほしい、たくさん買ってほしい、という小売店の基本動機をNFTが邪魔することがありません。
そして経営がうまく行けば経営権NFTはきっと値上がりするでしょう。いい店舗に育てた貢献度がNFTの値上がり差益としてリターンされるストックオプションのような機能を持ちます。
あまり頻繁に経営権NFTが売買されると経営方針がコロコロ変わって店舗運営がうまく行かなくなるリスクはありますが、お客さん側を会員権NFTで制限したり売り物をNFT自体にするよりも、NFTの使い方としては合理的で美しいと感じます。
ウォレットの発行数は全世界でまだ3000万件
世界3000万人が利用する、と称していますが、MetaMaskの利用者数は全世界で3000万ウォレットしかない、という方が感覚的には正しい気がします。
世界人口70億人に対して3000万ウォレットですから出現率は23人に1人。1人で複数のMetaMaskアカウントを持っている人は多いので2000万人だとすると35人に1人がMetaMaskアカウントを持っている計算です。
さらにアカウントを作っただけで使っていない人、ETHなどを入れておらずその場での支払いには使えない人などを想定すると、MetaMaskを使える人を相手に商売するのは対象者が非常に少ないと言えます。
もちろん地域差や世代差などで濃度の濃いエリアがあるのも事実ですが、実店舗での商品販売の方が見込み顧客がMetaMaskユーザーよりは多くなる場合が多いと思います。
■バーチャルでメタ的なweb3だから、普及にはリアルが効果的かもしれない
人とリアルに合って会話ができる実店舗や、手に取って触れられる商品があり、それらに別のかたちでNFTが浸透している状態。の方がNFTがマスアダプション・社会実装される近道かもしれません。
オンラインでデジタルなアイテムがNFTだと言われてもピンとくる人が少ないこともありますし、NFTである必然性がない使い方(このインタビュー記事の中では「web3は「存在しない課題」を解決している?」と表現されています)も数多くある現状、リアルなものにNFTやDAOなどweb3要素を組み合わせたり、先日ご紹介した/Slash Web3 Paymentsのように実店舗の支払いに仮想通貨が使えるという方が実感が湧きやすそうです。
今回のインタビュー記事に関連してレコメンドされたこちらの記事を読むと、日本でweb3が本格普及するのはまだまだ先のような気はしますが、それでも普及し始めるとしたらリアルとの組み合わせ部分からなのでしょう。
NFTにフィジカルグッズを組み合わせると効果的とも聞きますしね。
めちゃかわ9タイプのステッカーが完成しました😻#LLAC のオンラインショップ近日スタートです😺🐟 pic.twitter.com/UeerVoLUF9
— 猫森うむ子🐱猫型クリエイター (@umuco_digital) September 12, 2022