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『「ポートピア連続殺人事件」RTA最速タイムを競う=AIはマシンである』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.4.28
■「ポートピア連続殺人事件」発売40周年のAI搭載版がRTAでわずか4分強でクリアされる
Steamでは無料デモが配信されていて、さっそくRTA(リアルタイムアタック)の題材となり、わずか4分台でクリアされています。
(中略)
RTAではヤスに話しかけるような時間がもったいないので「聞け」のように最も端的な命令を出すことになり、せっかくのコマンド入力は生かされることがありません。
閲覧注意!(笑)久しぶりに腹を抱えて笑いましたw
「ポートピア」に今流行りのAIを搭載!と多くの人が期待を膨らませたAI技術プレビュー版。しかし既報の通り一番の注目ポイントだった自然言語処理機能は削除された状態でリリースされた結果、ファンの期待を大きく外す結果となりました。
AIと自由に対話できる、というのは期待しすぎでしたが、コマンド選択式よりは幅が広がった「AI版ポートピア」をRTA(リアルタイムアタック)、つまり何分でクリアできるかに挑戦しています。
当初から「自由会話形式になったんだったら、AIに会話させる自動プレイでRTA最速タイムが出せるんじゃないか?」と言われていました。
しかし今回RTAで4分台を出したプレイ方法は「賢いAI」による攻略よりずっとトンデモナイ、AIハック的なやり方でした。
なぜこの言葉で通じるの?w
NLG機能は削除されましたが、今回の技術プレビュー版でも多少の言葉の揺らぎは許容することがわかりました。AIとは言わないものかもしれませんが、自然言語処理の一部は入っているのかもしれません。
するとRTA猛者プレイヤーたちがこぞってヤスへの会話命令文を1文字でも減らすトライを開始。結果「なぜこの言葉で通じるの?」という究極最短の命令文にまで追い込むことに成功しました。
聞き込みをしろ=「聞け」、
耕造を調べろ=「調査耕」、
新開地に行け=「新行け」、
一旦この場を離れよう=「出」、
時間短縮のためにコマンドを1文字でも短くしたいRTAではここまで削り切っています。これを「圧縮言語」と呼ぶらしいです。
単語か短文レベルでしかしゃべれない主人公の言葉をヤスが通訳しているような感じに。
AI連想で、操作現場でこんな風に話している出来の悪いロボット捜査官を想像してしまって腹を抱えて笑ってしまいました。ぜひgigazinの本文を一連噛みしめて読んでみてください。
結果、冒頭でご紹介しているgigazineの記事掲載時点ではきくさんが「4分7秒77」を記録したとあります。
さらに記録更新、3分30秒18!
そのきくさん、なんとさらに30秒以上記録を縮めて3分30秒18をマークしました。
4分4秒だった時は「調査耕」だった圧縮言語も、この新記録の時にはさらにブラッシュアップされ「査耕」で行けることを発見しています。
地味ですが「聞け」は「きけ」と無変換で行けることも発見されています。これで2ストローク短縮できます。
「ヤスの顔も見飽きただろうから」とこの動画の左側に表示されているNLU Visualizerという、どのコマンドが通用しそうかのパーセンテージ表示は面白いですね。AIの裏側を覗き見しているようです。
これがゲーム進行のヒントになるわけですが、RTAでは当然すべて無視して1文字でも短い圧縮言語でガンガン進めています。
AIというマシンに合わせるRTAでの皮肉を見た
AIに通じやすい言葉遣いを追求するのがプロンプトエンジニアリングの肝や楽しみでもありますが、圧縮言語でRTAを極めるのも同じようなアプローチのように見えます。
もともとはマシン語が人間に理解しやすくするために開発言語が開発され、プロンプトもより人間が普段使いする言葉を理解できるように進化したのがChatGPTの革新的な部分のひとつでした。
コンピュータ側に人間が合わせなければならなかった長い歴史を、ChatGPTが「普段の言葉でいいですよ」というレベルまで実現したのが驚きだったわけです。
しかし結局、マシンが理解しやすい言葉は確かにあって、まだ人間側の意図を完全に理解するわけではありません。
今回のRTAはマシン側に寄り添うことで最速タイムを出すという、ChatGPTによる革新を改めてひっくり返すような皮肉にも見えたのでした。