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『失敗写真複数枚からベストショットを生成できるAI「RealFill」』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.10.4


■失敗写真複数枚からベストショットを生成できるAI「RealFill」、Stable DiffusionのOutpaintingより圧倒的に正確

写真を撮影していると「写真Aは人物の顔が見切れて、写真Bは顔が写ったけど逆光で暗すぎる」といったようにベストショットを撮影できないことがよくあります。Googleとコーネル大学の研究チームが開発したAI「RealFill」を使えば、複数の失敗写真をもとにベストショットを後から作り出せるとのことです。

写真の「思い出補正」も生成AIで自動化できますね。

何枚かの失敗写真を食わせると、物陰に隠れてきちんと映っていない部分や逆光で見づらくなっている部分などを、文字通り生成AIが「生成」してくれるのがこの「RealFill」というAIサービスです。


物陰で映っていない部分をAIが生成

ベストショットが撮れなくても

たくさん写真を撮っても、少し物陰に隠れたり、全身が撮れても表情がよくなかったり、これぞベストショット!という1枚がないことはよくあることです。

これらの「失敗写真」をRealFillに食わせると・・・

AIで「大切な思い出を取り戻す」

映っていないところを複数の写真から学習して生成し、「ベストショット」を生み出します。


新たなポーズすら生成

 つま先はどれにも映っていないけれど

バレエダンスの舞台発表のシーンでは、4枚に共通しているのは中央の女の子。そしてその彼女のつま先はどれも映っていませんし、3枚はほぼ同じポーズです。

これをRealFillに食わせると・・・

華麗なジャンプシーンに

右上の写真の次のシーンを想起させる、ジャンプポーズを決めた写真を生成しました。

実際にこのジャンプシーンがあったかどうかはわかりませんが、思い出の中にはありそうです。そしてこういうジャンプシーンは、その瞬間をバッチリ撮るのがとても難しいですから、実際に飛んでいたとしても写真を残すことは難しかったかもしれません。まさしく思い出補正です。


肝心なところをいじらない賢さ

RealFillが賢いのは、人の顔や衣服などを維持したまま、それ以外の足りないところを補完していることです。

複数の写真の中での共通項目を見出しつつ、ベストショットとは何なのかの定義に従って出力しているようです。


RealFill内蔵カメラアプリがあれば

写真を撮ったそばから、自動補正を加えられるRealFill内蔵カメラアプリが出ると面白そうです。

現場に今いるわけですから、周囲の様子を無駄にたくさん撮って補完の正確性を上げるようにRealFillアプリ側が指示をしてくれると、あとからツブシが効きます。

さらに、「日付」を変更することで、中心人物以外の風景を「江戸時代」風にするような遊びもやろうと思えばできますね。生成AIでカメラアプリが新たな進化を遂げそうです。


全自動「消しゴムマジック」にも

Googleの「消しゴムマジック」も同じような発想で「不要なところを判断し、周囲から類推される画像で削除部分を補完する」ということをやっていますが、大きな違いは手作業が発生しないことです。

いずれ「消しゴムマジック」も、ボタンを押すだけで不要そうなところを判断して自動修正するようになるだろうな、と、RealFillで生成AIの進化から想像します。


業務用レタッチの効率化と低単価化

広告用写真などで、RealFillがやるようなレタッチ作業をPhotoshop職人が手作業で行っています。

最終的なフィニッシュワークは手作業が残ると思いますが、かなりの作業をRealFillで自動化できるようになれば時間効率は圧倒的に高まります。

そうするとレタッチの時間単価は下がるでしょうから、Photoshop職人は早めにRealFillのような生成AIを導入して市場対策を講じる必要がありそうです。

これまでの単価がもらえるうちに量をこなすか、RealFillを前提にした価格にして早めにシェアを奪いに行くか、AIレタッチ班+手作業フィニッシュワーク班をチーム化するなどの対策をして、業界の価格相場が崩れる前に対応しておくことを迫られそうです。


フェイク写真は注意が必要

これまでもPhotoshopなどで合成写真を作ることはできましたが、生成AIによって多くの人に手軽にできるようになると、SNSなどでフェイク写真を見る機会が圧倒的に増えるはずです。

複数の写真から新たなポーズなどを生成するという仕様上、ネット上や雑誌などに掲載されている写真をもとに別のカットを生成することも簡単にできてしまいます。

元写真に写っている人が行ったことがない場所に置き換えたり、会ったことがないはずの人と一緒に映っている写真にしたり、というAIフェイク写真を悪意を持ってSNSに投稿する人もきっと現れるでしょう。

AI画像かどうかを機械的に判定するのは無理でしょうから、生成AIによる合成写真がたくさん出回っているんだ、と見る側が意識して、アップされている写真を鵜呑みにしない、拡散しない、という対策しか今のところありません。

こういう危険性は念頭に置きつつも、新しい楽しみ方や新しい仕事のあり方をワクワクしながら考えるほうに注力したいものです。

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