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『バズワードなだけじゃない!ピザハットの「AIピザ!?」に隠された本当の価値』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.10.19

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■AI×ピザ職人がタッグを組んで導き出したピザのうまさの黄金比・最適解はチーズ130%に増量!

「AIの分析力」と「人の経験力」が融合し、ピザハットのピザ全品が「AIピザ」へとリニューアル!開発背景なども紹介した特設サイトOPEN!WEBムービーも公開!

『AIピザ!?』というキャッチコピーが目を惹きます。ピザハットがAIで面白い試みを発表しました。

AI味覚センサー「レオ」で「甘味、塩味、酸味、苦味、うま味」の5要素を数値化し、「レオ」が知るベストバランスからどこがどの程度ズレているかを把握、そしてズレているポイントを修正するためにモッツアレラチーズの量を変更するとピザ職人であるピザハットの商品開発員=人間が判断してチューニングしたことから「AI×ピザ職人がタッグを組んで導き出した」としています。

この取り組みは、AIを活用した先進的な試みとして大きく宣伝されていますが、表面的には「AIをプロモーショナルに使っただけ」という印象を与えるかもしれません。

しかし、その本質的な価値はもっと深いところにあります。

AI活用の本質 1: 試行錯誤の工程の大幅削減

まず注目すべきは、AIを活用することで試行錯誤の工程を大幅に削減できる点です。

今回のピザハットの取り組みでは、多くの人に好まれる味のバランスを学習させたAIによって味を分析し、どの要素がどれだけベストからズレているかを数値化しました。単に現状の値をセンサーで測定しただけなのとAIを活用したことの違いは、まずはココです。

そして、人間のピザ職人がズレを修正するためにはモッツアレラチーズの量を変更すればいいと判断しました。ここは人間の経験を活かしている部分です。

モッツアレラチーズの量をどのくらい増やすと良いのか、このシミュレーションにも「レオ」を活用しています。

ピザハットのプレスリリースより引用

AI味覚センサー「レオ」に130%近辺が良さそうだと仮説を出してもらうことで、膨大なパターンを実際に作る必要がなくなり、労力とコストを削減することが可能になります。

AIによる試作の大幅な効率化は、他の分野でも応用できるはずです。

  • 製薬業界における新薬の候補化合物の最適化にAIを用いることで、候補の絞り込みを効率化する。

  • 自動車エンジンの燃焼効率の最適化にAIを使い、試作回数を削減する。

  • 塗料の色調整にAIを活用し、理想的なカラーパレットを見つける。

  • 音響機器の音質調整にAIを使って最適な周波数バランスを見つける。

AI活用の本質 2: 職人技の保存・伝承・再現

次に、AIのもう一つの本質的な価値は、俗人化しがちな職人技を保存・伝承・再現できる点です。

職人の技術は感覚や経験に基づいており、技術の継承が難しく、職人の高齢化や後継者不足によってその技術が失われるリスクがあります。しかし、AIとセンサー技術を使えば、職人の感覚的な技術を数値化し、後世に残すことが可能になります。

味を数値化するという試み自体に意外性もあって、テレビなどでたくさん取り上げられました。まだ訝しく感じてしまうかもしれませんが、料理のレシピで「小さじ1杯」などと書かれているのは、誰が作っても同じ味になるように数値化したものに他なりません。味の数値化はレシピと同じだと考えると違和感はなくなるのではないでしょうか。

同様に、職人の感覚やセンスは数値化できないと思われていたものも、適切なセンサーと、ベストバランスを統計的に学習しているAIがあれば、料理のレシピのように数値化し再現可能にできる技術は案外多いはずです。

  • 陶芸で、職人の手の動きや粘土の扱い方をセンサーで計測し、AIが後継者の手の動きと比較し違いを教えることで、技術を後世に伝承する。

  • 旅客機の操縦で、熟練のパイロットの風を読んで操舵する技術を、センサーとAIの連携で再現することで、非常事態が発生した時も自動操縦で安全に飛行・着陸ができるようになる。

  • 農業で、農作物の最適な収穫時期や施肥量を職人の経験からAIが学び、次世代に伝えることで安定した生産を実現する。

まとめ

今回のピザハットの事例は、AIをプロモーション目的で使ったように見えるかもしれませんが、その本質的な価値は、AIによる試行錯誤の削減と、職人技の保存・伝承にあります。

『AIピザ!?』という言い回しは確かにAIブームに乗った宣伝臭はしますが(笑)、AIも実用性に裏付けられたものが生き残るでしょうし、今後は『AIピザ!?』と言うまでもなくAIを使って商品の開発や改善が行われるのが当たり前になっていくでしょう。

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