『グーグル幹部が「人々はAIについて聞きたくない」と語る理由~AIはAIと呼ばなくなったらホンモノ』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.11.8
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■グーグル幹部が「人々はAIについて聞きたくない」と語る理由
Google のChau氏のこの発言は、AIブームに乗って「AI」と冠するサービスや商品が乱立している流れに釘を刺す、本質的な指摘だなぁと思います。
「AI」と呼ぶことが売りになる時期はもうしばらく続くでしょうが、「AI」であることよりも、どんな課題を解決するのかの方に名前が付けられるようになれば、本当のAI時代に突入です。
技術名推しの歴史
これまで新技術が登場する度に、その技術名を全面に押し出したプロモーションが数多く行われてきました。例えば、自動車業界では、「ツインカム」「DOHC」といったエンジン技術をボディにバッジとして誇らしげに掲示したり、「ターボ」という言葉を車名やグレード名に組み込んだりしていた時代がありました。
これらの技術が推しになる時代は終わりました。最近では「ハイブリッド」という言葉も、多くの車種で電動化が進む中で、かつてのDOHCのように特別な呼称としては使われなくなりつつあります。
「AI搭載」の問題点
現在、「AI」という言葉を冠したサービスやソリューションが数多く登場していますが、その中には以下のような問題を抱えているものが少なくありません:
AIである必然性が見当たらない
AIならではの効果が明確でない
むしろAIを使用することで人間よりも精度が劣る
AIブームに便乗しただけで、AIという言葉以外に特徴がない
「AI搭載」というフレーズそのものが売りになってしまい、実際の価値や課題解決能力が二の次になっているケースが散見されます。本質的価値のないものに「AI搭載」をサービス名につけるブームは、「DOHC」のように終わるはずです。
望ましい方向性
Googleの『消しゴムマジック』や『かこって検索』は、AIを活用していますが、それを前面に押し出していません。代わりに、写真から不要な要素を簡単に消せること、画像から検索できることなど、直感的でわかりやすい価値の方に名前を付けています。
これからのスマートフォンには、AIが当たり前のように内蔵されていきます。しかし重要なのは、AIを使っているということではありません。これまで不便に感じていた課題が解決されることが重要です。
メタバースやブロックチェーンも
メタバースやブロックチェーン、暗号資産、NFTなども、技術名推しの悪しき例になりつつあります。これらの技術は本来、意義のある使い方ができるはずのものです。しかし、技術ありきのアプローチにより、本来の価値が損なわれているケースが散見されます。
例えば、メタバースという言葉に引きずられて、通常のECサイトを意味なく3D化し、歩いて移動する面倒を課し、商品を探すにも検索やソートができず利便性を損ねてしまうケース。
あるいは、ブロックチェーンの本質的な価値である「衆人環視による信頼の担保」を、プライベートチェーンの採用により形骸化してしまうケースなどが挙げられます。
「AI」と呼ばなくなったらホンモノ
Chau氏の「人々はAIについて聞きたくない」という発言は、AIに心配や恐怖を抱く人が増えているために、プロモーションでも「AI」と敢えて呼ばない方が効果的だという観点も含んでいるため、「DOHC」のような技術名推しよりは根深い問題です。
とはいえ、やはり技術そのものを売りにするのではなく、その技術によって実現される価値や、解決される課題にフォーカスを当てることが重要です。
これからも新しい技術が登場するたびに技術名推しに出くわすことになるとは思いますが、「この技術は何を解決するのか」「どのような価値を生み出すのか」という本質的な問いに立ち返る必要があります。技術は手段であって、目的ではありません。AIなサービスやソリューションは、「AI」と呼ばなくなったらホンモノです。