『ChatGPT Search正式発表、ハルシネーション問題が普及の壁となるか』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.11.1
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■オープンAI、ChatGPTに検索機能を追加-グーグルへの対抗強化
OpenAIがChatGPTへの検索機能「ChatGPT Search」の追加を発表しました。有料会員向けに提供が開始され、数カ月以内には無料ユーザーにも展開される予定です。
「SearchGPT」として7月末に発表されていたものですが、ようやく触れるようになります。OpenAI社は先に新技術をリークして、ユーザーが触れるまで結構待たせるという情報戦略を採っています。今回は発表から3カ月でのリリースとなりました。
ChatGPTに課金している私としては、Searchに対応してPerplexityに追加課金しなくて済むようになれば大変ありがたい反面、ChatGPTが未だに嘘の回答をする現状を知っているだけに、結局使い物にならないんじゃないか?ということを懸念しています。
検索機能追加の戦略的意図
ChatGPTはこれまで、情報の整理や多角的な分析といった汎用的なテキスト生成で強みを発揮してきました。ここに検索機能が加われば、ユーザーは1つのサービスで検索と情報処理の両方を完結できます。複数のAIサービスへの課金が難しい利用者にとって、この機能統合は魅力的に映るでしょう。
新機能では、OpenAIの「4o」モデルを活用し、フランスの有力紙ル・モンドなど複数のメディアとコンテンツ利用の提携を進めています。しかし、この戦略的な機能拡張には大きな課題が存在します。
根深いハルシネーション問題
ChatGPTの最大の課題は、ハルシネーション(誤った情報の生成)が頻発することです。Claude3やGoogleのGeminiでは既に改善が進んでいるこの問題が、ChatGPTでは依然として解消されていません。
具体例を挙げると、製品の機能について質問した場合、ChatGPTは複数の製品バージョンの情報を混ぜ合わせて回答したり、関連製品の情報を誤って適用したりすることがあります。また、ニュース記事の要約では、別の文脈の情報を補完として追加し、元の記事にない解釈を加えてしまうことも頻繁に見られます。
Perplexityとの決定的な差
一方、検索AI市場で高い評価を得ているPerplexityは、ハルシネーションを防ぐ機能に優れています。情報源を明確に示しながら、確認可能な事実のみを提供する仕組みが、Google検索の代替として支持を集めている理由です。実際、ソフトバンクのスマートフォンユーザーには有料版が1年間無料提供されるなど、一般利用者向けの検索エンジンとしても普及が進んでいます。
ChatGPTの信頼性の低さが普及の壁か
検索の形態は、単純なキーワード入力から対話型の情報探索へと移行しつつあります。しかし、検索において最も重要なのは情報の信頼性です。これまでハルシネーションに関して信用を失ってきたChatGPTが、検索AIとして信頼を獲得できるかには強い疑念が残ります。
機能の統合は確かに魅力的ですが、誤った情報が混じる可能性のある検索は、検索する意味自体を失わせてしまいます。ChatGPTが検索AI市場で真に競争力を持つためには、まずハルシネーション問題の解決が不可欠となるでしょう。
検索のAI化は必然のトレンド
検索がAIによって行われることは、もはや時代の必然といえるでしょう。ChatGPT SearchやPerplexityの展開に加え、GoogleもGeminiを検索に組み込む方向で動いています。また、Appleが次世代のiPhoneをAIスマホとして進化させようとしているように、主要プレイヤーは皆、この流れを加速させています。
特にスマートフォンでの利用において、AI検索は大きな利点があります。従来のキーワード検索では、検索結果の一覧から複数のサイトを開いて確認し、また検索結果に戻るという作業を繰り返す必要がありました。しかし、AI検索では必要な情報を要約して一画面に表示してくれるため、スマートフォンでの情報収集が格段に効率的になります。
このような流れの中で、最も重要なのは提供される情報の信頼性です。ハルシネーション問題を抱えるChatGPTが検索市場で成功するには、まずこの課題を克服する必要があります。検索のAI化は確実に進んでいきますが、その主導権を握るのは、情報の正確性を担保できるサービスになるでしょう。