『元日に建長寺詣で。改めて「トークン」とは何なのかを考える』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.1.2
■元日に建長寺詣で。改めて「トークン」とは何なのかを考える
昨日1月1日は、うちの裏山を抜けて鎌倉・建長寺~円覚寺の寺巡り散歩をしていました。
鶴岡八幡宮は大晦日の紅白歌合戦~ゆく年くる年の中継もあり大混雑だったようですが、我が地元の北鎌倉駅近辺は賑やかさもありつつのんびり歩ける程よい込み具合です。
その建長寺で上記の地域コイン「クルッポ」を使ったスタンプラリーが実施されていました。建長寺の建物ごとに設置されているQRコードを専用アプリでスキャンすることで「クルッポ」が貯まります。
貯まった「クルッポ」は鎌倉市内にある他のお店などで使用することができますが、物を買うためのお金のような使い方というより老人ホームに水を寄付するなど地域貢献して地域に「クルッポ」を循環させるような使い方が想定されているようです。
この「クルッポ」は、鎌倉に本社を置く面白法人カヤックさんが運営する「まちのコイン」という仕組み上で発行・流通しています。いわゆる「独自トークンを使ったサービス」ですが、暗号資産でも前払式支払手段でもなくゲームポイントのような扱いです。
ポイント制と仮想通貨型独自トークンの共通点は?
1.ポイントを発行・消費するシステムを開発し、
2.ポイントの原資を誰かが負担し、
3.ポイントが貯まる行動を定義し、
4.ポイントの使い道=ユーティリティを作り、
5.ポイント経済圏の中でうまく循環する仕組み=トークノミクスを作る
の5点セットでポイントや独自トークンを使ったサービスが構成されることが共通点です。
それを「地域」にフォーカスしてサービス開発したものが「まちのコイン」ですし、GameFiに応用したのが例えば「STEPN」です。
法律上、暗号資産・前払式支払手段にあたるポイント・それ以外のポイントには違いがありますが、「まちのコイン」のような地域通貨サービス、ヨドバシポイントのような店舗独自ポイント、楽天ポイントやドコモのdポイントのような使途横断型ポイントなど、広い意味での独自トークンが日本国内では以前から生まれていました。
つまり法定通貨以外の通貨っぽいものは日本では珍しくありません。しかし海外ではポイント制があまり普及していないそうで、お店で買い物をしてポイントを貯めるという常識はない(特にアメリカではポイ活は貧困層だけが興味を持つ、かなり貧しい行為だと捉えられている)と聞いて少し驚きました。
価値変動するのが仮想通貨系独自トークンの特長
いわゆるポイ活系ポイントの多くはポイント自体の価値が変動することは想定していません。楽天ポイントやdポイントは1ポイント=1円の前提ですし、Suicaなどチャージしたポイントも1ポイント=1円が前提です。
対して仮想通貨系独自トークンは法定通貨比での価値が変動することが特長です。
そのため、トークン自体の値上がり期待から投機マネーが集まることも起きがちですし、フィナンシェさんのトークンのように地元スポーツクラブが発行する独自トークンがクラブチームの活躍により値上がりすることで運営費を賄ったり資金援助してくれるファンを募ったりすることにも使えます。
つまり「推し活で人気が出たらトークンが値上がりする」という関係性が作れるのが、従来のポイ活系ポイントと違う仮想通貨系独自トークンの面白さです。
「まちのコイン」の場合はポイントの使い道=ユーティリティの自由度が高いおかげで1ポイントが1円なのかが感覚的に不明だというのは面白い可能性を感じます。
もし「まちのコイン」が仮想通貨系独自トークンのように為替市場で取引できるようになったら地域ごとのパワーでトークン価値が決まるようになり、地域振興・地元応援がそのまま金銭的価値を高めることに直結するとなれば「まちのコイン」が目指す社会的意義をより分かりやすく表現できるのではないかと思います。
ポイ活が浸透している日本で規制緩和したらweb3先進国になるはず
今年2023年の日本では、税制改正大綱で示された通り、独自トークンの発行による未実現利益課税の撤廃が行われるのは既定路線です。
しかし価値変動する仮想通貨系独自トークンの発行・保有を上場企業および上場を目指す企業が行うことはまだやりづらいのが実情です。監査法人が監査拒否する問題が解決されておらず、楽天・ドコモ・面白法人カヤックなど上場企業が独自トークンを扱うことは事実上不可能です。
日本独自の監査ルールを制定するなどして上場維持しながら独自トークンが扱えるようになり、ユーザー側も独自トークンに対する投資益を株式と同じ申告分離課税20%とする規制緩和ができれば、ポイ活が完全に社会実装されている日本では独自トークンを活用したweb3サービス爆発的に流行る可能性があると思っています。
独自トークンや仮想通貨というものがわかりづらい難しいものだと思われていますが、ポイ活になぞらえて考え、ポイントアプリをウォレットに見なして学べば、案外理解しやすいと思います。
囲い込みとポイント発行者の利益のために作られてきたポイ活系ポイントサービスに留まらず、推し活で価値が向上する独自トークンを活用したオープンな経済圏が作れる可能性があるのが仮想通貨系独自トークンを使ったサービスだと考えています。
2023年、うまくやれば日本はweb3大国に本当になれるはず!