『マルチチェーンでは不十分。「クロスチェーン」でweb3サービスが本質化する未来』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.9.12
■ブロックチェーンの縄張り争いに終止符を打つべき時だ【コラム】
暗号資産としての価値に関してはビットコインしか認めないマキシマリストはいるだろうなと思いますが、dAppsを動作させる基盤としてのチェーンについてもマキシマリストがいるよ、という話。
どこに課題を見出しどういう解決策を提供したかによってチェーンそれぞれに特徴がありますが、個人的には「家庭用ゲーム機のシェア争い」に近いと感じます。ユーザー視点だとゲーム機本体を所有する必要がないぶん「どれでもいいや」と更に冷めて見てしまいます。
web3がわかりづらい原因のひとつが「チェーンの乱立」ではないかと思います。
■「インターネットがやりたい」人は今はもういない
Web1.0と呼ばれる1995年~2005年くらいのインターネット黎明期では「インターネットがやりたい」人がたくさんいました。
「インターネットがやりたい」人向けに接続サービスプロバイダーが登場し、パソコンが売られ、インターネット企業なる会社が多数勃興しました。
しかし2022年の現代では「インターネットがやりたい」人はもういません。映画を見るためにNetflixを使ったり友達と連絡を取るためにLINEを使ったりする裏側にネット回線やネットテクノロジーがあるだけです。
インターネット企業なる会社も、受託制作会社・開発会社か、EC運営会社のようなオンライン専業会社を指すことはあるかもしれませんが、いわゆる非インターネット企業もインターネットを一切使わずにビジネスすることは稀です。
しかし今現在、web3企業やブロックチェーン企業がたくさん生まれています。web3がやりたい人もたくさんいます。
歴史を振り返ると、必ずや「ブロックチェーンやりたい」人はいなくなります。しかも従来よりずっと短い期間でいなくなるはずです。
■マルチチェーンすら意識されなくなる未来
記事に戻ると、特定チェーンの信奉者を「マキシマリスト」と呼び、他チェーンの信奉者を過度に攻撃することを批判、そしてより前向きで現実的な捉え方として「マルチチェーンの未来」を信じ、ブロックチェーン全体が活性化する「すべての船を持ち上げる」モデルを提唱しています。
ブロックチェーン全体のユーザー数が全人口の5%にも満たない中で、さらに細分化された個々のチェーンごとに争うのはナンセンス、ブロックチェーン全体のユーザーを増やさないといけない、という考え方それ自体はその通りだと思います。
しかし個人的にはこれもまだweb3が閉塞的になる原因の発想だなと感じます。
ブロックチェーンを使うことが目的化していると感じるからです。本来は、これまでの技術では実現できなかったことをブロックチェーン技術があればこそで実現するべきです。
マルチチェーンという考え方があります。
ひとつのWebサービスを複数のチェーン上で提供することを指すのが一般的で、わかりやすい例ではSTEPNがソラナ・バイナンス・イーサリアムの各チェーンでプレイできるというものです。
しかしこれもユーザー視点では複雑で面倒に感じます。
プレステ・Nintendo SWITCH・XBOX・PC・スマホそれぞれに移植されたゲームがバラバラに管理されていてランキングデータすら共有されないような状態です。
ゲーム機の世界では今でも起きがちですが、でも徐々に複数のゲーム機を横断してひとつのゲーム世界を共有する「クロスプラットフォーム」というゲームタイトルも増えてきています。
フォートナイトは代表的です。100人の対戦相手それぞれの使用しているゲーム機本体が違う、けれど同じフィールドで戦える。これが「クロスプラットフォーム」です。
マルチチェーンでは不十分。
ユーザー視点でチェーンを意識しないで済む「クロスチェーン」というサービス提供形態がだんだん広まってくるはずです。
■ブロックチェーン企業がクロスチェーン化でサービス企業に
クロスチェーン化が進み、ユーザーもチェーンを意識する必要がなくなれば、サービスの中身により注目できるようになります。
どんな課題があり、どんな解決策があるか。のみを磨けるようになれば、今のブロックチェーン企業というものはサービス企業化するはずですし、今ブロックチェーンを使わずにサービス提供している企業たちもブロックチェーンを特別視することなくサービスにブロックチェーン技術を取り入れていくことになるはずです。
常にフラット化するのが世界の法則。
ブロックチェーンを使うことを目的化せず、どのチェーンがいいかをマキシマリスト的に争わず、いいサービスを適切な技術で作ることが一番大事なことだと思います。