『ANAが11空港の地上職員訓練にVR導入 VR普及は施設導入から』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.10.9
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■ANAが11空港の地上職員訓練にVR導入、プッシュバック業務などで育成期間4割減へ
ANAは2024年10月、11空港で地上職員の訓練にVR技術を導入することを発表しました。飛行場で飛行機をけん引する車両の操作訓練(プッシュバック業務)をVR化することで、育成期間を約4割短縮することを目指しています。
従来の研修では、限られた実機の駐機時間にしか訓練ができず、実機での訓練が高コストだという課題がありました。VRシミュレーターを活用することで、いつでも・安価に訓練が可能になります。
VRゴーグルとワインセラーとの共通点
周りにワインセラーがあるお宅はどのくらいありますか?
VRゴーグルの普及率は現在約2〜3%程度で、ワインセラーと同程度とされています。メタバースが広がり始めた2020年頃、多くの人々はVRゴーグルがスマホのように普及し、誰もが気軽にメタバースにアクセスできる未来を期待していましたが、ワインセラーくらいの普及率にとどまりました。
つまり、みんながVRゴーグルをかぶり、メタバースに住むようなことは起きなかったわけです。
法人や施設でのVR導入の現実的な活用
一方で、ANAのVR研修のように、法人や施設での導入は効果的な普及方法と言えます。ANAは必要な数だけVRゴーグルを導入し、地上職員の研修に活用することで、訓練期間を短縮し効率を向上させています。
VRゴーグルが広くコンシューマーに普及することを目指すのではなく、VR研修を実施する施設が増えること、さまざまな機会で多くの人がVRを当たり前のように施設で利用するようになることが、現在考えられる現実的な社会のメタバース化のロードマップだろうと思います。
施設でのVR利用モデル
施設側が必要な台数を用意し、専用コンテンツを提供するモデルは、教育や医療、研修など特定の目的に結びついた分野で効果を発揮します。
ANAの例と同様に、VR化が適している導入候補としては、次のようなケースが考えられます。
学校教育の体験型学習:歴史的な場所のバーチャルツアーや科学の実験をVRで体験することで、生徒たちがより深く学べるようになります。
病院でのリハビリテーション:患者がVRでリハビリを行うことで、モチベーションを向上させつつ、リハビリの効果を高めることができます。
医療従事者のシミュレーショントレーニング:手術手順や緊急対応をシミュレートし、患者へのリスクを避けながらスキルを向上させます。
工場での新入社員研修:実機を止めずに機械操作を学び、生産性を維持しながら新人を育成できます。
交通機関の運転士訓練:実車を使わずに運転技術を向上させ、コストとリスクを削減します。
消防士や警察官の訓練:危険な状況を安全に再現し、訓練を行うことが可能です。
建設現場での技能訓練:重機の操作や高所作業など、リスクを伴う訓練をVRで安全に行えます。
VR普及の現実的なアプローチ
メタバース時代を思い描かれていた2020年頃の理想とは異なりますが、VRを現実的に普及させるには、法人や施設での特定用途への活用を進める方が効果的だと考えます。
実機や現場での研修の機会が得られにくい、危険が伴う、高コストなどの課題を解決するために、施設単位でVRが効果的に導入されることで、VRが徐々に日常生活に浸透し、体験者が社会全体に増え、身近になっていく。これがVR普及の現実的なアプローチではないかと思います。