『MetaSolareはGameFiとエンタメ業界を大きく変える可能性がある予想』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.8.24
■新たなWeb3プロジェクト「メタソレア」始動 エイベックス松浦会長やスティーヴ・アオキら参加
エイベックスが、というと正しくないのでしょうけど、エンタメ×web3の新しいプロジェクトを発表しました。
正確にはシンガポールに設立されたMetaSolare Pte.Ltd.という法人に業務委託するかたちで運営されるようです。
このニュースリリースには具体的なことは書かれていませんが、ヒントはたくさん散りばめられています。
どんなことをやろうとしているのかを読み取り、妄想込みで考察してみたいと思います。
もし妄想がある程度合っていたら、MetaSolareはto EarnやGameFiの在り方、そしてエンタメ業界全般の経済構造を大きく変える可能性があると思っています。
■ニュースリリースから読み取れるヒント
・ゲーム、アニメ、ミュージックというジャンルを扱う。
・スマホゲームの体裁を採る。
・Play to Earn、GameFiである。
・独自トークンがある。
・ユーザー(ファン)とクリエイター(アーティストやアイドルなど)という2レイヤーによるDAOっぽい形式
ということは読み取れます。
他にも
独自チェーンを作る、MetaSolare内の活動を可視化するウォレット、NFTマーケットプレイス、ガバナンストークンの存在について将来計画として言及されています。
「ハイクオリティなスマートフォンゲーム」と書いてあった通り、ゲームエンジン自体を作り「Metaverse Legends」という別のゲームと組み合わされるようです。
初期から企業との提携が組み込まれていることも特徴です。
顧客データ分析企業のABEJAが初めからいるのも、やりたいことを示唆しているなと感じます。
■MetaSolareはto Earnの何を革新するか?
1.SocialFiによるクリエイターエコノミーのto Earn化
2.MetaSolare内と外界の推し活の連続性
3.パートナリングで実現する外貨でのto Earn
4.データマーケティングでto Earn
5.他サービス連携によるリッチゲーム化
この5点に注目して予想・妄想しています。
そしてSTEPNと比較すると理解しやすいです。
1.SocialFiによるクリエイターエコノミーのto Earn化
STEPNではプレイヤーは1レイヤーでした。つまりゲーム内にはプレイヤーしかいない。
シューズを買って、歩いて、Earnする。これが基本です。
一時期「ミント工場」というシューズ生産者というレイヤーが登場したり、今だとミステリーボックスからGemを掘り当てて売るGem生産者というレイヤーが登場してもいますが、いずれもプレイヤーの延長線上にあるものです。
MetaSolareはおそらくこれと違って、ユーザー(ファン)とクリエイター(アーティストやアイドルなど)はもっと明確に区分けされるのだろうと予想します。
ユーザー(ファン)は推しのクリエイター(アーティストやアイドルなど)を見つけ、MetaSolare内で規定された「推し活」を行うことでゲーム内ポイント的な無限発行されるトークンをEarnするでしょう。これはSTEPNでのGST。
クリエイターも、MetaSolare内でファンを集め、MetaSolare内でのアクションやファンからの支援でゲーム内ポイント的なトークンをEarnするでしょう。
しかしゲーム内ポイントで稼ぐのは本流ではありません。
真の稼ぎ方は「推しのクリエイターが売れること」です。クリエイターが作った作品が売れること、でもあります。
そのためにゲーム内に閉じた経済圏として独自のNFTマーケットプレイスは用意されます。
初期にEarnするための参加権(STEPNでのシューズ)を売買する場所でもありますが、クリエイターが作った作品をNFTとして売買する場にもなります。推しのNFTを買うことが参加権となり、無名で安価なうちに買って、推し活で値上がり益を出すのが基本構造。
作品NFTが売れればクリエイターもファンもEarnできる、という構造がゲーム内経済圏では作られるはずです。
クリエイターごとに独自トークンを発行することもあるかもしれませんが、これは財務的にもゲーム的にも管理が複雑なので、トークンは共通化しつつクリエイターごとに割り当てられる「量」でコントロールされる予想です。
そうするとクリエイターのパワーがトークン量で可視化されます。
そしてトークンの価値が上がった時に最も得をするのはたくさんトークンが割り当てられた有力なクリエイターと、そのクリエイターを推していたファンです。
ファンとクリエイターは稼ぐレイヤーが異なりますが、一体化してEarnを目指すSocialFiの構造になると見ています。
(もちろんファンは複数の推しを持ってもいいですし、クリエイターも誰かのファンとして活動する、MetaSolare内でチームを組むという戦略もあり得ます。)
グローバルに展開できるため、共通通貨としてMetaSolare内トークンや売買のための暗号資産が有効に機能します。
2.MetaSolare内と外界の推し活の連続性
ならば、推し活やクリエイターの活動はMetaSolare内に閉じる必要がありません。
外界(現実世界でもデジタル世界でも)というMetaSolareの外で価値向上のアクションを行うことでもクリエイターの作る作品の価値が上がります。
SNS上で宣伝すること、現実やメタバース上で開かれるライブのチケットを買うこと、フィジカルグッズやウェアラブルNFTを買うことなど、外界を含めたクリエイターを推すすべての経済活動がMetaSolare内のトークンやNFTの価値を向上させます。
クリエイターの収益はMetaSolareの外でも当然生まれます。その収益源となる人はMetaSolare内のファンも、MetaSolare外のファンもいます。
無名なクリエイターほどMetaSolareの恩恵は大きいでしょう。ファンも無名な人を見つけて育ててEarnするメリットが大きくなります。
現実世界も巻き込んだ育成ゲーム状態です。
ですがこの段階ではまだMetaSolare内に「外貨」が入っていません。
クリエイターにはMetaSolareプレイヤー以外のお金は入りますが、MetaSolare経済圏に「外貨」が入る構造は次の項になります。
3.パートナリングで実現する外貨でのto Earn
パートナー、提携企業の存在が重要です。
提携企業は主にMetaSolareの外でビジネスをしています。そんなパートナー企業がクリエイターの作品を現実世界で販売するとしたらどうでしょう?
マーケティング活動をするために「外貨」をMetaSolare内に投入し、ファンへの認知拡大や推しの募集を行います。
ファンはクリエイターの価値向上のためにMetaSolareの内外で推し活を行います。
するとパートナー企業の外界でのビジネスもファン&ファンが開拓した新規ファンによって支えられ拡大します。
これはパートナー企業が直接特定のクリエイターを支援するパターンですが、MetaSolare印のレーベルを作りエイベックスの販路でマーケティングするとなれば、MetaSolare内のクリエイター全員が支援対象になります。
パートナー企業がMetaSolare内に投入する外貨がEarn原資になることで、ユーザーがNFTを買うために投じたお金を分け合うポンジ批判から一歩先に進める可能性があります。
4.データマーケティングでto Earn
ABEJAのようなデータマーケティング企業も、MetaSolare内のログデータや顧客データだけでなく、外界でのデータをMetaSolare内で展開・連携させることで、クリエイターにファンが付く流れを加速させることができるはずです。
クリエイターはファンの行動を精緻なログデータとして確認でき、デジタルマーケティングとして適切な打ち手を考える参考にできます。
この作品はファンの反応が良かった、この作品は新規がたくさん付いた、コミュニティでのこの投稿がイイネが多かった、使った用語や写真の傾向の共通点はコレだった、などデータドリブンマーケティングをクリエイター自身ができるようになれば、ファン獲得をマーケターやプロデューサーに任せず自律的にできる人も生まれそうですし、逆にMetaSolare内のデータマーケティングを担うファンが登場してEarnにつなげる人も登場するかもしれません。
データマーケティングは外界では普通に仕事になっていますし、価値を生む活動なのでEarnできるのは当然です。それをMetaSolare内で行い報酬を得る。マーケターの新しい職場の誕生です。これもto Earnの発展形と広く捉えると面白い。
5.他サービス連携によるリッチゲーム化
リッチゲーム化も、STEPNのように単独で閉じているGameFiの場合はEarn原資を開発費・運営費が食いつぶしてしまう恐れがあるためトライしづらかった。ユーザーもEarnが目的なのでリッチゲーム化は望んでおらず、結果GameFiはライトゲームの方が向いている、というのがコンセンサスでした。
しかし推し活が価値向上するという世界観では、クリエイター(アーティストやアイドルなど)が活動する場が広い方が効果的です。
クリエイターはメタバース上でライブを行ったり、ゲームそのものを作ったり、アニメ作品を作って上映したりします。この作品自体がそもそもリッチです。
作られた作品を体験する場は、MetaSolare内でも一部は提供されますが、外界や他のサービス上で展開されるケースも多くなります。
外界で別のゲームとして作られても、トークンやユーザーアカウントがMetaSolareと共通化されることで、別のゲーム側でもEarnできるという構造が作れそうです。
ミクロに見れば外界に作られたゲームのEarn原資はリッチゲームの構造上小さくなりますが、マクロに見ればクリエイターの価値が上がることでトークン全体の価格が上がるという結果をもたらすかもしれません。
そういうクリエイターが作った作品にトークンが連携されるという使われ方を想定した時に、
が活きてきます。
・MetaSolareの経済圏全体に最適化させられ、外部の混み具合・詰まり具合に影響されない独自チェーン
・クリエイターの作品を横断して閲覧でき、すべての作品への入場可否を判定できる独自ウォレット
・クリエイターの作品への参加権を販売・購入するための独自のNFTマーケットプレイス
として機能します。
ちなみにウォレットにブラウザ版があるというのはApple/Googleの税金対策だろうと思います。売買そのものはアプリではやらせずにブラウザで、と考えているのかもしれません。
■エンタメ全体のweb3プラットフォームになる壮大な計画
これら予想・妄想がどこまで当たっているかはわかりかせんが、音楽×web3、アニメIP×NFT、アイドル推し活×トークン、ゲームやメタバースのweb3化、スポーツ×web3など、エンタメ文脈でweb3と絡めて語られていたものが全部MetaSolareで実現できる可能性があります。
個別サービスで開発が進められていたものも、巨大資本とマーケティングパワーで収斂してしまう威力があるかもしれません。
そうなるとWeb2っぽいよね、みたいに捉えられるかもしれませんが、クリエイターがグローバルに稼げる道、ファンが推し活で食っていく道がMetaSolareで実現されるとしたら幸せになれる人も多いはず。
MetaSolareに競合するサービスが登場すればより活性化するし分散化もされますし、まずはMetaSolareの成功によってweb3が世の中に浸透することの方が重要かもしれません。
元のプレスリリースはさほど長くないのですが、久しぶりに妄想が膨らみワクワクしました。MetaSolareの大成功をお祈りしております。