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『ブロックチェーン分析ツールとdAppsのチェーン選び』~【新しいWeb3ビジネスのアイディアのタネ】・Web3ニュース2022.7.4
■ブロックチェーンデータの分析ツール
Nansen、ソラナNFTに対応開始
プロのトレーダーに愛用されるブロックチェーン・仮想通貨分析ツールNansenは30日、ソラナ(SOL)系のNFTデータを提供開始した。
Nansenは以前からイーサリアム(ETH)系のNFTデータに対応しているが、ソラナNFTの出来高や需要が急上昇しており、多くのユーザーからの対応要望に応えた格好だ。
暗号資産トレーダー向けの分析ツール、Nansenがソラナ系のNFTの取引データ分析に対応したというニュースです。
NFTの売買というとイーサリアムがメインでしたが、MagicEdenの登場でソラナ系NFTの需要が増えてきてきたため今回対応に至ったということです。
Web2の世界ではGoogle AnalyticsでWebサイトのログ分析を行ったり、自社サービスであれば独自に各種指標を一覧できるダッシュボードを開発したりというのが一般的に行われています。
Web3でも当然データに基づく各種判断を行う「データドリブンマーケティング」は重要です。しかしオフチェーン部分に加えてオンチェーン部分のログが別に登場すること、オンチェーンデータの開発者がまだそれほど多くなく、各サービスごとに独自開発
STEPNでおなじみDune Analytics
ブロックチェーン分析ツールはまだデファクトスタンダードが定まっていませんが、STEPNをやっているとよく目にするのがDuneですね。そのDuneでも
「ブロックチェーンのデータは理論上は公開されていますが、実際にデータを抽出、分析、消化することは非常に困難」
という課題を挙げ、その解決策として簡易かつ誰でも見られるログダッシュボードを開発・提供しています。
ダッシュボードをユーザーが自由に作れるというのがユニークな点で、例えばSTEPNのログについてはryotaさんという方が↓
のように日本語の解説付きでダッシュボードを作成されています。
他にも
↑こちらはDuneの中で「STEPN」と検索した時の結果一覧ページです。世界中の人がSTEPNについてのダッシュボードを独自に作成しています。
オンチェーンデータは公開情報なのでこのような作り方・サービス提供の仕方ができるというのがWeb3らしいところです。Web2サービスはログデータが運営者だけに握られているので外部の人が勝手にログ分析をすることができません。
ただWeb3でもオフチェーンデータは運営が非公開にしていると参照できません。また運営が非公開にするならオフチェーン+オンチェーンのサービス全体のログ分析ダッシュボードは運営自身で作る必要があります。
IntoTheBlockはオフチェーン連携も念頭に
①アナリティス、②予測、③DeFi分析、そして④キャピタル・マーケット分析、特に暗号資産投資を念頭に置いてサービス提供されているIntoTheBlockではオフチェーンデータと連携してダッシュボードを作ることも念頭に置かれているようです。
オフチェーンデータに関しては膨大な量のデータベンダーが存在するため、取得はそれほど難しくありません。
問題があるとすれば、データの取得先となる取引所の数が非常に多いことです。しかしCoingeckoやCryptoCompareといった適切なパートナーがいれば、この問題は簡単に解決できます。
我々は各パートナーと非常に良好な関係を築いています。だからこそ、取引所関連指標を頻繁に更新することができるのです。
そのおかげで当社のAPIは約1分に1回というペースで、何十もの取引所からデータを取得することができます。そしてITB Proの全ユーザーは、ほぼ即時にオーダーブックのデータを閲覧できるというわけです。
暗号資産投資向けダッシュボードの部分ではオフチェーンデータをAPI提供してもらいIntoTheBlock側で表示画面を作って提供しているようです。
■dApps向けダッシュボードの作りやすさもチェーン選定で重要に
IntoTheBlockはオフチェーンデータと組み合わせた表示もされているようですが、投資向けが主なので広く汎用的にdAppsでオフチェーンデータと組み合わせたダッシュボードを自由に作れるのは難しそうです。
Duneのユーザーが自由にダッシュボードを作れるコンセプトの方が近いと感じます。オフチェーンデータと組み合わせたダッシュボードを作れるようになれば投資以外のdAppsでログ分析が可能になります。
dApps向けにオンチェーン側の集計データとダッシュボード作成機能を有償提供するが今後のDuneのビジネスモデルになりそうな予感がします。
dAppsを開発する際に、広く使われやすいチェーンか、取引所でトークンが購入しやすいか、EVM互換など開発しやすいか、という観点でチェーン選定がされていましたが、これからは「ダッシュボードが作りやすいか」というポイントも加味されそうです。