『NFTは二次流通ロイヤリティで稼ぐのが正義?Sudoswapの「ロイヤリティ0%」が投げかけたものとは?』~【新しいWeb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.8.18
■昨日はたくさんの反響をいただきありがとうございました!
昨日の記事『web3やりたくて全力で勉強してnoteでアウトプットしまくったら9か月で夢叶った話』に大変たくさんの反響をいただきありがとうございました。
普段noteにweb3記事を書くのにGoogleアプリでAIがお勧めしてくるニュースの中からピックアップするという手順を採っているのですが、そのお勧めにこの自分のnote記事が出てきました(笑)こんなところからも反響の大きさを伺い知れて身が引き締まる思いです。
本日からnote記事も平常運転です。引き続きよろしくお願いします。
■NFTクリエイターを支えるロイヤリティ、必要か否かの議論が活性化
今回はNFTの二次流通ロイヤリティを0%にしたマーケットプレイスの話を取り上げます。
常識だと思われていた部分を変更してみる発想に興味を惹かれました。
■NFTの二次流通ロイヤリティ「有り」が標準になりつつあった
ひところはOpenSeaがシェア90%だと言われていたこともあり、OpenSea の実装仕様がデファクトスタンダードです。そのため「NFTは二次流通ロイヤリティが任意に設定できることがメリット」とNFT自体の特徴かのように説明されるまでになりました。
そのため、ジェネラティブNFTを数千枚~数万枚と大量に生成し一次販売では300円程度と非常に安価に売り出して完売させ、二次流通ロイヤリティで「本当の収益」を狙うというマーケティング手法が最善手である、ということも常識化していました。
この方法は確かにメリットが多くあります。
■二次流通メインでのNFTマーケティングのメリット
NFTプロジェクトから見た二次流通メインでのマーケティング手法でのメリット、成功パターンはこんな感じ。
[売り出しまでのメリット]
・一次販売価格が安いので幅広い購入希望者に行き渡りやすい。
・初期は手が届きやすい価格なので、販売前の事前にDiscordなどコミュニティで購入希望者を募集した時に人が集まりやすい。(高いと参加しない。)
・販売前から人がたくさん集まっていることで「熱気」を演出しやすい。
・事前に集まった人数に対して先行購入権=ホワイトリストの配布数を絞ることで「争奪戦」を作り出せる。
・「争奪戦」を起こせばDiscord内で発言などを頑張る人、外部SNSで宣伝活動を頑張る人などが自然発生し、宣伝コストをかけずに認知拡大ができる。
[売り出してからのメリット]
・単価が安いため、1人で大量に買う人が多く登場する。NFTを実際に買える人はそれほど多くない(一説では日本には8000人程度)ため、購入人数を増やすより1人にたくさん買ってもらった方が安全な戦略。
・大量に買った人は値上がり差益を狙うだけでなくSNS上で配布キャンペーンなど販売後の認知拡大→値上がりさせる販促活動を自主的にやってくれる。
・初期が安ければ値上がり差益も大きいため「爆益!」と話題になる。
・爆益マーケティングはNFTの絵柄やストーリーに興味を持たない人も巻き込める。
・継続的、長期間にわたり二次流通が行われることで、売り切り→次の作品を作る、の繰り返しサイクルから脱することができる。労働集約的になりやすかったグッズビジネスが寝てても儲かるビジネスに転換できる。
・最初は少数の買い占めでオーナーが少なくても、二次流通で徐々にオーナー数が増えていくことで「値下がりしてほしくない」と願うサンクコストを払った人数が増える。
・その結果、NFTの価値向上を願う人がコミュニティを再構成し、派生作品へとつながる。
・一次販売で買えなかった人が「次こそは」と派生作品で安値大量仕込みを狙い始める。
→最初に戻る。
と、NFTプロジェクトを成功に導くための効果が高そうなアクションが、二次流通ロイヤリティがあるからこそ発生する販売手法がテンプレ化していました。ほかの手法が間違っているかのように喧伝され、あまりにもこの手法が当たり前になっています。
でも、本当は二次流通メインでのマーケティング手法にもデメリットもあるはずなのです。
■二次流通メインで考えられるデメリット
NFTプロジェクトから見た、二次流通メインでのマーケティング手法のデメリットというか失敗するパターンはこんな感じだと思います。
・低単価ながら大量に一次販売するため、売り切れなかった時の収益が本当に少なくなる。
・似たようなプロジェクトが乱立し、数千枚のジェネラティブNFTを売り切れないケースが増えてきた。
・一次販売に成功しても少数の「仕込み屋」に買われただけで二次流通が盛り上がらない場合もある。
・二次流通に成功して大幅に値上がりしたとしても、上がり続けることはないため必ずどこかで値下がりする。
・遅れて二次流通で手に入れた比較的熱量の低い人が一番値下がり損を食らうため、作品への愛情不足もありネガキャンにつながりかねない。
・ネガキャンが打たれるとその作品だけでなく次回作も潰れる。
そしてそもそも
・手数料が乗っかるぶん高くなる。
これが場合によっては一番のデメリットです。
本体の価値以外のところで手数料がたくさん乗るのは、普通は避けます。住宅ローンや自動車ローンだって金利が安いところを選びます。
でもこれまでの洗練されたNFTの販売手法では、手数料があることが当たり前になりすぎていました。
売り手の都合から言えばその通りです。
でも買い手からすると手数料は安い方がいいに決まってます。
■SudoswapはNFT売買の差益を最大化させる投資用マーケットプレイス
作品への愛情や良し悪しと関係なく、AMMを使って売買差益を最大化させることを目的としたマーケットプレイスだということもあり、買い手の都合に最適化させた結果が二次流通ロイヤリティ0%という設定に現れています。
これはある意味真理です。
NFTコミュニティで愛情を全力で語りつつも実際は安値でホワイトリストを獲得し最大利益を狙いに行く人がたくさん集まっている、なんてことはザラです。建前にやられた人だけが本音で損する世界は不健全。
だったら全員本音で話そう。値上がり差益が欲しいなら作品のストーリーとか見ない。コミュニティやSNSで提灯宣伝しない。手数料は最安値がいい。そんな人に支持されてシェアを伸ばしているのがSudoswapだと言うこともできそうです。
■正解はひとつじゃない。デファクトスタンダードを疑え。
OpenSea のシェアが高すぎてデファクトスタンダードになっていた二次流通ロイヤリティと、それを前提としたNFTマーケティング手法の画一化に、Sudoswapは「本音」をくみ取ることで別のアプローチを提示しました。
しかしそれはそれで上記のようにデメリットも想定されています。
大切なのはいろんな選択肢があり使い分けられること。
これまで通り二次流通ロイヤリティを主軸とした販売手法に向いたNFTプロジェクトもあるでしょうし、場合によってはSudoswapの方が向いているNFTもあるでしょう。売り手も買い手も使い分ければいい。
二次流通ロイヤリティで稼ぐのが正義!とあまりにも常識化しすぎていたところに一石を投じ、ほかの方法もあるんだよ、と提示したSudoswapの視点は学びが多いと感じました。