『RWA(Real World Assets)のNFT化「Americana」高級コレクションをトークン化、物理的な保管サービスも提供』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.7.26
■高級コレクションをトークン化、物理的な保管サービスも提供
RWA(Real World Assets)の取引にNFTを活用するソリューションが続々登場しています。
高級コレクションを売りたい人・買いたい人は世界中に大勢いるはずですが、マーケットがどこにあるかがわかりづらく、また世界中からアクセスすることが難しいという課題がありました。
また、高級コレクションは偽物もたくさんあります。売る人は疑われ、買う人は疑心暗鬼になるという市場でもあります。取引履歴が不透明で盗品ではないかという心配もあります。
これらの課題解決を
・流動性の向上
・アクセス性の向上
・透明性の向上
という言葉遣いをします。
NFTをゼロから価値を生み出す錬金術のようなところに魅力を見出していた投機ブームは過ぎ去り、高級コレクションの売買のしづらさの課題解決に活用する、裏付け資産のある取引=RWA NFTのサービスに注目が集まっています。
RWA NFTの基本的な流れ
・[出品者]高級コレクションを送り鑑定を受ける。同時に出品者も「鑑定」を受ける(後述)。
・[Americana]本物であることが確認されればNFTを[出品者]に発行する。
・[出品者]NFT発行・受領と同時に、高級コレクションの保管契約を結び、保管料を継続支払いする。
・[出品者]高級コレクションを裏付け資産としたNFTをオンラインのマーケットプレイスに出品する。
・[コレクター]世界中の高級コレクション購入希望者はNFTを購入することで現物の所有権を得る。同時に現物の保管契約も引き継ぎ、保管料を支払う義務を負う。
・[コレクター]高級コレクションの現物が手元に欲しい場合は「引き出し」の手続きをする。
・[コレクター]現物が手元にある必要がなく長期所有して値上がりを待つ場合は、保管料を支払い続ける。
というのが基本的な流れです。
資産家向け倉庫業とRWAの違い
RWAビジネスには、高級コレクションの鑑定力、安全に輸送する技術、高いセキュリティと品質を維持する空調などを有した広い保管設備などが必要です。
これは日本では寺田倉庫のような、従来からある資産家向け倉庫業と同様です。
資産家向け倉庫業は資産家からの保管を担うことが主なビジネスでした。しかしRWAの場合は高級コレクションを流通させることがビジネスです。
ただし高級コレクションは投資目的で売買されることが多く、必ずしも現物資産を移動させる必要がない場合も多くあります。
高級品を長期に預かり安全に保管することで対価を得るという点は共通です。
RWAでは、高セキュリティな倉庫に保管したままNFTだけ流通させるニーズが見出されました。NFTであればNFT自体の偽造防止がしやすく、暗号資産建ての取引なら世界共通通貨で売買することができます。
インフレが進んでいる昨今、現金資産を現物資産にしておいた方が資産価値を守り伸ばせるという状況です。かたや現物資産は現金に戻すことが難しいことが課題でした。特にニッチな高級コレクションは買い手を探すこと自体が大変です。
NFTマーケットプレイスであれば世界中からコレクターを見つけることができますので、現物資産と現金資産の交換がしやすくなり、結果的に資産家の現金資産を集めやすく現物資産の流動性を高めることができます。
資産家向け倉庫業にNFTを足し算すると、高額な保管料が取れる従来の倉庫業ビジネスの需要自体も拡大でき、さらにNFTの売買手数料も取れるようになり、立地に縛られず世界中を商圏とすることができるようになる。
これが資産家向け倉庫業とRWAの違いです。
モノとヒトも鑑定
ビンテージカー、限定版スニーカー、高級美術品、高級陶磁器、そして「それらに似たあらゆるもの」に対応するとしているトークン化コレクションプラットフォーム「Americana」では、高級コレクションの出品物を鑑定するだけでなく、出品者もコンサルテーションを受ける必要があるとしています。
モノが本物か、盗品でないかなどの素性を、出品者を見ることでも鑑定しようとしています。このプロセスがあることで「Americana」の信用を高めます。
高級コレクションの安全な保管と輸送もビジネス
初期出品者も、NFTを購入した新しい現物の所有者も、倉庫の利用料を払います。NFTが売買されなくても、従来通りの資産家向け倉庫業と同じく保管料で収益をあげられます。
展示会に貸し出すことも資産家のビジネスですから輸送することも多く発生します。美術品など輸送に相当な技術が必要なものもあります。特別な輸送方法になるため高額で、輸送自体もRWA事業者の収益源となります。
ロレックスを担保に仮想通貨を借りる、NFTベースの分散型質屋
ロレックスなど高級時計を担保に仮想通貨を借りるサービスも始まりました。
・鑑定と現物保管を担当する「4K」に高級時計を送る
・「4K」が高級時計の鑑定書&預かり証としてNFTを発行
・時計のオーナーは預かり証NFTを受領する
・時計のオーナーは、そのNFTを専用マーケットプレイス「Arcade.xyz」に出品
・投資家は高級時計が担保になったNFTに対して仮想通貨を貸し出す
・時計のオーナーは金利を上乗せした額の仮想通貨を期日までに返し、預かり証NFTを回収、高級時計と引き換えて取り返す
・時計のオーナーの返済が期日に間に合わなければ、投資家は持っている預かり証NFTを高級時計と引き換える
という流れです。
売買だけでなく質草としてのニーズも資産家向け倉庫業の一環として行うことができます。ロレックスなど高級時計を専門にすることで倉庫は狭く、極端な空調設備も要らないというメリットもあります。
NFTをバブルから脱却させるRWA
RWAは現物資産の値上がり幅程度のボラティリティに留まるため、無から何億円も稼げるPFP NFTのような錬金術にはなりません。
しかし、資産家やコレクターが抱えていた流動性・アクセス性・透明性の課題を解決し、NFTに裏付け資産分の価値を担保するという、地に足のついたビジネスを実現します。
倉庫業としてのノウハウや鑑定眼などを必要とする点も、NFTを錬金術のイメージから距離を採れる良い点のように思います。
NFTをこれまでのバブルから脱却させ、資産性のわかりやすさと実需の課題解決につながるのがRWAです。今は高級コレクションから始まっていますが、遊びで集めるシールやカード、ミュージシャンのサインなど、コレクターがいる市場に徐々にすそ野が広がっていくことで、NFTが実需を伴って広まっていくのだろうと思います。
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