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『Keyp、ゲームボーイをハードウェアウォレット化する「Game Wallet」を発表』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.5.25
■Keyp、ゲームボーイをハードウェアウォレット化する「Game Wallet」を発表
Web3ゲーム関連企業Keypは19日、任天堂の携帯ゲーム機である「ゲームボーイ」を暗号資産(仮想通貨)のハードウェア(コールド)ウォレットとして利用可能になる専用のカセット(カートリッジ)を発表した。
ネタかと思いきや、案外本気でした。
Announcing Game Wallet 👾
— JOSΞPH from Keyp🍩 (@CupOJoseph) May 19, 2023
Turn any GameBoy into a secure offline cold wallet.
Sign up to be notified when sales start:https://t.co/t53Ee5Dcn0 pic.twitter.com/DjqqNI9R1T
上記のツイートの通り、1989年に発売された初代ゲームボーイを使って暗号資産のコールドウォレットを実現したものです。
ゲームボーイ本体はそのまま、ゲームカセットに「GBAssembly」というゲームボーイ開発用言語で暗号資産ウォレットを実装したとのこと。
インターネットに接続できないゲームボーイの安全性
物理的にインターネットに接続できないデバイスは、本質的にはより安全と言える。
その点、長年眠っていたゲームボーイは、ビットコイン誕生前に作成されたデバイスであり、セキュリティデバイスのサプライチェーン(製品やサービスの生産から最終消費者への供給までの一連のプロセス)における犯罪行為やデジタルフィッシング攻撃も不可能だからだ。
ゲームボーイ本体はインターネット接続機能を持ちませんので、確かにコールドウォレット的な安全性があります。
また基本的には過去に発売されたゲームで遊ぶくらいしか使い道がなく、新しいゲームやアクセサリー機器が通常の流通網で販売されることもないことから、今回の「Game Wallet」に悪影響を及ぼすために開発されたものが接続されることもなさそうです。
通信ケーブルを使ってデータを吸い出すアクセサリー機器は作れなくはなさそうですが、新発売された通信アクセサリーとはいかにも怪しげなので避けやすいでしょう。
心配なのはゲームボーイ本体があまりに古く、壊れた場合の対処がだんだん難しくなることです。中古市場で売られているうちはまだよいですが、そろそろ見かけづらくなっています。
暗号資産ウォレットの仕組み
何気なく仮想通貨の #ウォレット を触っている方も多いと思いますが、ざっくりと仕組みを理解しておくと防御力が高まるかもしれません。#STEPN #M2E #P2E #BCG #GameFi #NFT #NFTGame pic.twitter.com/JnzkAlhiaZ
— かみ@Kami | 図解おじさん (@shenfeng842) August 22, 2022
ご存じの方も多いとは思いますが、暗号資産はウォレットに直接入っているわけではなくブロックチェーン上にあります。ウォレットにある秘密鍵で取引履歴を参照するだけの仕組みです。
従ってゲームボーイのゲームカセットの中に多額のビットコインなどが入っているってことではありません。
上記のかみ@Kami|図解おじさんの図説が非常に分かりやすいです。
リカバリーフレーズもゲームで生成
リカバリーフレーズは、ユーザーがゲームプレイ時に操作した十字キーやボタンのハッシュを使用してランダム生成する。ゲーム内で冒険(クエスト)を完了した後に、ゲーム内の村人などNPC(CPU)キャラクターに話しかけるとフレーズを教えてもらえるといったギミックを取り入れている。
リカバリーフレーズとは、ウォレット作成時に生成される12または24の英単語からなるもので、シードフレーズ(ニーモニックフレーズ)とも呼ばれる。ユーザーはこれを入力することにより、ウォレットへのアクセスおよび別のウォレットで資産の復元が可能となる。
リカバリーフレーズの12または24の英単語をポンと表示することもできるはずですが、ゲーム機らしく村人に話しかけて英単語を獲得するRPGのような仕組みにしているそうです。
『ドラゴンクエスト』がファミコン用ソフトとして1986年(昭和61年)5月27日に初めて発売されました。その5月27日は「ドラクエの日」と呼ばれており、今週末でもうまもなく37年経ちます。その初代ドラクエにあった「ふっかつのじゅもん」のようです。
「ふっかつのじゅもん」も、1文字でも間違っていたらセーブデータが復活できずレベル上げしたのが無駄になるというハードでコールドな仕様でしたが、「Game Wallet」では「ふっかつ」できないとリアルにお金を失うので重々気を付けなければなりません。
暗号資産ウォレットは難しすぎる
「Ledger Recover」は、ユーザーが自分のシードフレーズを紛失した場合に、本人確認によりユーザーのウォレットを復元する新サービスとなる。このサービスでは、暗号化されたシードフレーズを3つに分割し、それぞれを3つの異なるカストディアン(Ledger、Coincover、EscrowTech)に保存する予定。
ハードウェアウォレット、コールドウォレットといえばLedgerですが、秘密鍵の管理を3つに分散させ、ユーザーがシードフレーズを忘れた場合でも残りの2者で回復させることができる「Ledger Recover」というサービスが発表されました。
しかしユーザー以外の2者が結託すればウォレットの中身を動かすことも技術的には可能な仕組みだと捉えられて炎上してしまいました。
ホットウォレットですがKDDIの「αU wallet」も似たような仕組みを採用しています。
「バックアップ(KDDI)」とは、(i)ユーザーのαU walletのユーザーアカウントに係る秘密鍵を、秘密分散(暗号技術の一つであり、それ自体は意味を持たないいくつかの乱数の断片に分けてデータを秘匿する方法)で複数の分散片に分け、当社が、その一部の分散片等の保存を行うサービス
「バックアップ」と称している機能によってユーザーがシードフレーズを忘れた場合も秘密鍵自体を分散所有させておくことでKDDI側で復活させられる仕組みです。
Ledger社もKDDIも問題意識は同じで、「多くのユーザーはシードフレーズを忘れることがある」ということです。忘れないとしても遺書もなく亡くなってしまうことだってあり得ます。
そんな時、運営にヘルプを求めることは現実的にあり得るし、運営側も「セルフカストディなので自己責任・自己管理です。助けられません。」とは言えないものです。
「Game Wallet」は旧来のシードフレーズ形式を採っているからこそ実現できたサービスではありますが、ゲームボーイでは不可能な生体認証、顔認証などの方が多くのユーザーにとっては簡単です。
今後は運営による復活を可能とする分散管理と、顔認証や虹彩認証などの生体認証がメジャーになるだろうと予想しています。そうじゃないとweb3は一般普及しなさそうですから。。