『部屋中どこでもワイヤレス給電 電源ケーブルから解放されるWPTは何に使う?』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.6.6
「先進テックで未来の生活はもっと良くなる!」と信じて、Web3・AI・ガジェットなどのデイリーニュースから毎日ひとつピックアップしてご紹介しています。
新規ビジネスのアイディアのタネがほしい方、未来を想像してワクワクしたい方、読んでちょっといいなと思った方、ぜひフォロー・高評価よろしくお願いします!
■部屋中どこでもワイヤレス給電 電源ケーブルから解放される日
昔「PLC」というインターネット通信の仕様がありました。当時まだWi-Fiのスピードが遅く、LANケーブルによる有線通信が欠かせない時代に登場した、電源コンセントとLANケーブルを1本で兼ねる通信方法でした。
パソコンを使うには電源ケーブルが要るし、ネットにつなぐにはLANケーブルを挿す必要がある、ならば電源ケーブルとLANケーブルを兼ねられれば1本ケーブルが減って、電源を挿すだけで通信できる!これは画期的!
と思うか思わないかの僅かな期間でWi-Fiとリチウムイオンバッテリーが進化してしまい、ノートパソコンは完全ワイヤレスになり、PLCがしぼんでしまったと記憶しています。
また、その後に密着させるワイヤレス充電「Qi」が登場しました。しかしQi充電でも結局ケーブルと電源が必要なので完全にワイヤレスだとは言えません。
今回発表された「WPT」と呼ばれる空中伝送型ワイヤレス電力送電システムは、対象に対して狙って電波を飛ばして充電する、本当に完全にワイヤレスな充電技術です。
海外での事例かと思いきや、「総務省の委託を受けて」とある通り日本国内での技術開発の事例でした。
完全ワイヤレス充電の現在の実力
今の開発状況では、動く鉄道模型でも充電できるそう。
距離は3~7メートル、電力は2ワットとのこと。
動いている対象でも充電できるのはスゴイですが、2ワットではスマホの充電には遅すぎますね。
来年度中には7.5WというQi(初代)くらいの充電スピードを達成したいのだそうです。
7.5Wは今でもちょっと心もとない印象はあり、2025年度時点ではスマホの充電スピードはもっと高出力が求められるようになっている予感もします。
2030年にはEVや家電に対応するレベルを目指す
EVや家電が充電できるほどの高出力になれば、ワイヤレス充電が活躍するシーンは増えそうです。
おそらく「走行中のEVに道路からワイヤレス充電する」を想定しているのだろうと思いますが、これは高難度でしょうし、車も道路も設備が揃わないと実現されないことから、2030年に「走りながら充電するEV」が走り回る状況にはならないはずです。
個人的に一番期待しているのはテレビのワイヤレス給電です。
テレビの下に伸びるケーブルをなくせます。壁掛けはかっこいいですが、このケーブルがとても残念だったのですよね。
テレビは位置も固定されるので走る鉄道模型を充電するよりは実現しやすいのではないでしょうか。
玄関のスマートロックをワイヤレス充電にできると安心
我が家にも導入しているスマートロックがワイヤレス充電に対応できると、電池切れでドアが開かず締め出されてしまうトラブルがなくなります。
実際に電池切れで家に入れなくなり、窓を割って入室したなんていう悲しい事態は、スマートロックがワイヤレス充電され続けていればほぼ起きないでしょう。
ドアの外側につける指紋認証パッドもワイヤレス充電できれば完璧です。
位置固定の充電器にワイヤレス給電がベストでは
走る鉄道模型に充電する実験から、持ち歩いているスマホを追いかけて充電し続ける使い方を想像してしまいますが、スマホは手に握りしめられていたりカバンの中にあったりもしますので、実際スマホを完全ワイヤレス充電するのは難しいのではないかと思います。
挙げられている例もカフェや新幹線と「座席」のあるシチュエーションです。これなら各席に「配線不要のワイヤレス充電器」を設置するというWPTの使い方の方が、電気工事代が浮いてよいのではないでしょうか。
テレビやスマートロックも位置が固定されますので実現は比較的容易なはず。動くものに追従して充電するところはあまり深追いせず、配線不要というワイヤレスのメリットの核の部分を追求した方が実用化も早そうです。