『Threads(スレッズ)の本質は分散型SNSの思想にあり。Web3時代の本格化』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.7.10
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■Meta『Threads』を使ってみた感想ーー“世界”が変わる予感! 踏み出した大きな一歩は「Twitterの代用」を超える意味を持つか
Threadsに関する冷静な考察記事の中でも、Threadsが登場した意義や位置づけについて、Web3文脈に引き付けて一番興味深かったものをご紹介します。
7月6日のThreadsサービスインのその日に書かれた、Threadsを分散型SNSの本格的なスタートだと位置づけた分析をする、リアルサウンドテックに掲載された三沢光汰さんの記事です。
前半はThreads初日らしくThreads自体の解説や特徴、Twitterとの違いなどがまとめられていますが、注目は後半です。
人類が歩みだした「分散型SNS」普及への大きな一歩
と位置付ける後半の記事は、Threads公開初日に書かれたものとしては慧眼。
私もThreads初日に注目したのは「ActivityPub」プロトコル採用によるWordPressなどとの相互運用性の部分でした。Threadsだけ使っていても「ActivityPub」に対応したほかのサービス上のコンテンツを表示でき、SNSメディアとしてユーザーが広げやすい構造にあるというところに関心を持ちました。
三沢光汰さんの記事ではコンテンツの相互運用という実利的な部分だけではなく「Threadsは分散型SNS」と位置付け、Twitterが中央集権型で運用されていることの弊害と、その弊害を解消するためのソリューションであると見立てています。
Twitterが社会的な情報基盤というポジションを担っており、そのTwitterが単一の私企業が運営していること、そして私企業であるからこそ、経営者であるイーロンマスク個人の影響を大きく受けるのだと。
単にTwitterに似たサービスをGAFAMの一角であるMeta社が始めたというだけでなく、今後の情報サービスのインフラになるようなサービスはGAFAMであっても分散型を志向するのだと見ることもできます。
マークザッカーバーグという個人に目を向けても、メタバースへの傾倒とブームの急速な失速、AIブームにやられた感などによって「GAFAMでMetaひとり負け」という雰囲気も漂っていた中で、Threadsを虎視眈々と準備し一発大逆転。というストーリーとしても非常に興味深いと感じます。
分散型SNSはTwitterの後継足り得るのか? 僕らがSNSを使う理由とともに考える
同じリアルサウンドテックに今年の3月20日に掲載された白石倖介さんの記事です。「フェディバース」とはどういう概念なのか、分散型SNSとは何なのか、Twitterのような中央集権型SNSにどんな課題があり、どのように解決するのか、また分散型SNSが抱える問題についてもわかりやすく整理されています。
この記事が公開された3月20日時点ではThreadsはもちろん存在していませんが、「ActivityPub」を採用した分散型SNSの仕組みをThreadsが採用するとしているため、上記でMastodonなどを例に説明されていることがThreadsでも実現されることが期待されます。
つまりMeta社がThreadsを運営するというかたちだけでなく、インスタンスという話題単位で「ActivityPub」規格に則ったThreadsサーバをいろんな人が立てることができる形式。アカウントや書き込みの運用方針はMeta社だけでは事実上決められず、インスタンス単位でアカウントを作成・運用し、インスタンス同士が相互接続することでお互いのユーザーとコンテンツを交換する構造。
見た目はTwitterにそっくりなThreadsも、この裏側の仕組みやフェディバースが目指す思想性を知ると、まったく別のものに見えてきます。
Threadsが分散型SNS思想で登場したのはWeb3時代の表れ
Threadsの記事検索ができない、ハッシュタグが使えないなど機能的にはまだ不十分な面も、この大きな方向性の前では些細な話に見えます。機能はいずれ追加されるでしょうし、先日ご紹介したようなJASRAC登録によって音楽を使った投稿ができるなどTwitterになかった機能すら追加されます。
奇しくもイーロンマスクが超中央集権型の失敗を犯したためにTwitterのユーザー離れが現実化してしまったこと、そしてその後釜として登場したThreadsが分散型SNSの思想と仕様を備えて登場したことは偶然ではなく、来るWeb3の時代性の表れだと捉えています。
Threadsはまだ始まったばかりですが、Web3・ブロックチェーン・暗号資産・NFTなどにも何らかの影響を与える存在になるのではないかと思います。それが何かはまだわかりませんが、少なくとも「Twitterの代用」で留まるものでは全くないことだけは確かです。
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