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『STEPNアプリはなぜApple/GoogleからBANされないのか?』~【新しいWeb3ビジネスのアイディアのタネ】・Web3ニュース2022.7.12
■Apple税/Google税問題
プレイヤーとしてSTEPNを楽しんでいるだけだと気づきづらいかもしれませんが、課金が絡むアプリ開発をやったことがある人ならSTEPNアプリがAppStoreやGoogle Playストアからリリースできていることを不思議に思ったことはないでしょうか?
STEPNの場合は法定通貨ではなくソラナ(※)という暗号資産ですが、ユーザーはSTEPNアプリ内のウォレットにソラナを入金し、そのお金を元手にシューズNFTやGEMをアプリ内にあるマーケットプレイスで買うという「課金」をします。
(※)話をシンプルにするためにBNBやE国は置いておいて今回はソラナを代表として取り上げています。
これらいずれも、AppleやGoogleが手数料、いわゆる「税」を徴収できていません。
Apple/Googleの課金システムを通さず独自課金収益を上げる機能や導線を実装するとアプリがBANされるのは有名な話ですが、STEPNアプリの場合はWeb迂回課金でもなく堂々とアプリ内で課金させているのにBANされていないのは不思議じゃないですか?
■STEPNはウォレットアプリ+Web2ゲーム
STEPN内ウォレットについて
ユーザーは海外のBinanceや国内のLiquid by FTXなどでソラナを購入し、STEPNアプリ内で作ったソラナの個人ウォレットのアドレスに送金します。
STEPNアプリ内のウォレットはソラナチェーンにきちんと記録される本物の暗号資産ウォレットです。
Phantomでも操作できる
少し話が逸れますが、
MetaMaskというウォレットは有名ですが、ソラナチェーン用のウォレットで有名なものとして「Phantom」というものがあります。
これをスマホにインストールして、STEPN内のソラナのウォレットアドレスをPhantomに紐づけるとSTEPN内のウォレットに入っている通貨がPhantomでも参照できるようになります。なんならPhantom上でORCAなどDEXにつないでSTEPNで稼いだトークンをSTEPNアプリの外で両替することもできます。
Phantomを入れてSTEPNウォレットとつなぐとSTEPNが本物のブロックチェーンゲームなんだなということが実感できて面白いので試してみてください。
Wallet~Spending間の「移動」
話を戻します。
STEPN内のウォレットに入金したソラナを「Spending」というSTEPNゲーム側に移動することでSTEPNアプリ内のマーケットプレイスでシューズやGEMを買うことができるようになります。
確かに金銭価値があるソラナという通貨を自分のSpending口座に移動したように見えていますが、実際はSpending側で表示されているソラナは「名前が同じ、STEPNのゲーム内でしか使えないポイント」です。
見方によっては「STEPNソラナポイントをソラナトークンで購入した」というようにも見えます。もしそう捉えられたら(暗号資産課金に対応できるかはともかく)Apple/Googleが「うちの課金を迂回してるからBAN!」と判断してもおかしくないギリギリなことをやっています。
今のところBANされていないので、「売買ではなくユーザーの資産値と1:1のゲーム内ポイントを無償で付与しているだけ」という説明しているのだろうと予想しています。
Spending側に移動された「ソラナ(という名前のSTEPN内ポイント)」を使ってシューズやGEMを購入しますが、ゲーム内ポイントでゲーム内アイテムを買っているだけなのでApple/Googleが規定する課金にはあたりません。
ドラクエの中で「1100ゴールドではがねのつるぎを買う」のにApple/Googleが文句言うわけない、という論理です。
STEPNにNFTは本来不要
さらに、シューズやGEMは一応NFTということになっていますが実はSTEPNゲーム側にいる間はNFTではありません。単なるゲーム内アイテムです。そのため資産性はない扱いです。
シューズをウォレットに移動して初めてソラナチェーンに刻まれてNFTになります。
NFTになったからといって外部のNFTマーケットプレイスで売買できたり、DiscordなどでNFT所有者だけが入れるVIPルームが作れたりはしません。あくまでもSTEPNで使うというユーティリティしか持っていない限定的なNFTです。
ウォレットに移動させてやっとNFTになったシューズを他人にプレゼントする際はソラナウォレット間で移動させます。この時はSTEPNアプリはウォレットアプリとして機能します。
もらったシューズはSpending側に移動させて資産性をゼロ化、単なるゲームアイテムにしてしまったあとに歩いて稼いだりゲーム内マーケットプレイスで売却したりできますが、それは単なるゲーム内の営みです。
極端な話、STEPNではシューズがNFTである必然性がありません。また多くのユーザーもシューズが(ウォレットに移動すれば)NFTだということを意識しません。
STEPNに必要だったのはFTだけ
STEPNが実態として暗号資産ウォレットアプリ+Web2ゲームという構造であるため、シューズなどNFTの要素は本来不要です。必要なのはApple税/Google税を迂回し世界共通通貨である暗号資産で取引するためにFT(ファンジブルトークン)=ソラナ・GMT・GSTだけです。
■STEPN構造にすればアプリは出せる?
Apple/GoogleからBANされないかどうか、という意味では前例であるSTEPNがやっていることを踏襲すれば、Apple/Googleから指摘が入った時に適切な説明ができればアプリとして出せるんじゃないかと思います。
ただ、暗号資産がもっと普及してこのやり方が広まってきたらApple/Googleは税を取る方法を変えたりBANする基準を変える可能性もあるかもしれません。
Apple/Googleも大きな収益源を失うのはイヤですからね。
そうなったら今度は暗号資産に最適化されたスマホのニーズが高まります。
■ブロックチェーン最適化スマホがApple/Googleの牙城を崩すか?
通称「ソラナフォン」をSolana Labsが発表。このスマホでは当然暗号資産課金を実装するとBANされるなんてことはありませんし、ウォレットをより簡単・安全に扱える機能を標準搭載します。
Polygonでもスマホを出す計画があります。
チェーンごとに別々のハードウェアになるのはさすがに不便すぎるのでいつかは統合されると思いますが、Apple/Googleが自分たちの税が取れないからといってブロックチェーンなアプリを排除するように動けば、市場はApple/Googleから離れる可能性も大いにあります。
GAFAのうちハードウェアとエコシステムを持っているのが強みだったApple/Googleの牙城がブロックチェーンによって崩れるかもしれません。
スマホの次はVRゴーグルかARグラスか。いややっぱり被るガジェットにスマホが置き換えられる未来よりブロックチェーン最適化スマホの方がリアリティあると思いませんか?
次の10年でWeb3が台頭するなら、Web2の代表だったGAFAを代替するガジェットは2030年には普及している、かもしれません。