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『嫌われない広告実現?「デジタル・プレイスメント広告」でNFT活用』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.2.14

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■嫌われない広告実現? 「デジタル・プレイスメント広告」でNFT活用

Web3事業を展開するSBINFT(東京・港)とデジタル広告事業のガイエ(東京・千代田)は、収録済みの映像にAI(人工知能)を使って違和感なく広告画像を入れ込む「デジタル・プレイスメント広告」とNFT(非代替性トークン)を組み合わせた広告商品を共同で開発、2024年1月30日から販売を始めた。消費者に、なるべく自然な形で広告を見てもらい、NFTを取得してもらうことで、その後の行動変容につなげる狙いがあるという。

「デジタル・プレイスメント広告」という言葉はご存じでしょうか?

広告に詳しい業界人なら「プロダクト・プレイスメント広告」という言葉をご存じの方も多いと思います。映画やドラマで俳優が身に着けている服やアクセサリーが実は広告主の商品だったり、登場するクルマが特定メーカーのものだったりするアレです。

対して「デジタル・プレイスメント広告」は

株式会社ガイエのプレスリリースより引用

収録済みの映像をAIを使って解析。カメラの動きや背景、露出時間なども考慮し、違和感なく映像に広告画像を入れ込むことができる。ビルの壁面の屋外広告や街のポスターなどを、映像の中に「後付け」できるのだ。

AI技術を使い、撮影後の映像に広告画像を入れ込む手法です。上記の例ではビルの壁面に看板を後から挿入しています。AI技術の進化とローコスト化によって、リアルタイムに広告を挿入する映像処理が可能になりました。

「AIで広告が変わる」と言われていますが、その大きな一例です。


デジタルプレイスメント広告は既に実用化

2021年から福岡PayPayドームで行われるソフトバンクホークスのネット中継試合でリアルタイムに広告が追加される「バーチャル広告」が開始されています。カメラアングルが固定で、平面に看板を設置するという比較的実現しやすいところから始まっています。

AbemaTVでは立体物を後から配置する実験も行われています。上記では何もないテーブルの上にピンクのコスメボトルが後から挿入されています。ボトルの影、テーブルへの映り込み、ボトルの向こう側の透過具合もリアルタイムに処理するという高度な表現になっています。

もっと高度化するならば、たとえば俳優に別の服を着せるようなこともリアルタイムに処理できるようになるでしょう。

先述のプロ野球の看板広告も、視聴者にパーソナライズされた広告主の看板が出た方が広告効果が高いはずです。全員一律に同じ広告を見せるのではなくなれば、広告在庫や広告販売の在り方にも変化をもたらします。


生成AIで広告制作を自動化

生成AIで広告制作が自動化されたりパーソナライズされる時代が来る、という記事を昨年末に書きました。

テレビCMのような30秒の映像を生成AIで作るのは無理だろう、だから生成AIが広告を自動生成するのは当分先の話だ、と考えた人も多かったのではないかと思いますが、「デジタル・プレイスメント広告」であれば今でも実現可能だということが伝わると思います。


印象の悪いSNS広告1位は「過剰な購買煽りがある」

自然なかたちで広告を映像の中に入れ込むことは「嫌われない広告」の重要なポイントになります。

「過剰な購買煽り」というのが、買え買え!今買わないと損する!みたいな文字通りの購買煽りの表現でなくても、いわゆる普通のテレビCM程度の「これは広告です!」というかたちで出すスタイル自体が「過剰な購買煽り」と捉えられつつあるように思います。

動画サイトでは「案件動画コンテンツ型広告」もありますが、これも「過剰な購買煽り」に見えないようにする工夫であり、いわゆるCM映像は相対的に見られなくなるのは間違いありません。

「過剰な購買煽り」が嫌われているというデータに応答して、広告はコンテンツ化するか、またはデジタル・プレイスメント広告のように全体に馴染ませるように変化するはずです。


NFT連動はWeb3広告の自主規制ガイドラインを変えるか

また、今回のSBINFTとガイエ社は、NFTを組み合わせることによって広告への関心や好感度を高めたり広告商品への感心度合いを可視化することにも挑戦しています。

「デジタル・プレイスメント広告」は映像に潜んでいますから、発見する楽しみもあります。見つけたらNFTがもらえる、NFTを集めるとプレゼントがもらえたり抽選に参加できる、というような仕掛けで、広告を見つけると嬉しくなるゲーミフィケーション化を図っているのも興味深い点です。

加えて、Web3関連広告規制の緩和や撤廃にもつながるのではないかと期待しています。

Web3サービスは現状、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌のレガシーメディアはもとより、多くのメジャーSNSでも広告出稿を受け付けてもらえません。

YouTubeやTikTokなどインターネット動画はもちろん地上波テレビでも、NFT連動のキャンペーンスタイルが広まることで、副次的に「Web3、暗号資産、NFT、ブロックチェーンに関連する広告を事実上禁止している自主規制」が撤廃されればいいと考えています。

単なるデジタルデータはOKで、ブロックチェーンに書き込んだNFTだとNGというルールは非合理。投機を推奨するようなプロジェクトでなければ、スマホゲームがたくさんCMを打っているように、Web3プロジェクトも自由に広告を打てるべきです。


広告らしくない広告への時代の流れ

デジタルプレイスメント広告を見つけてNFTを集めてプレゼント、という一連がすべてうまく行くかは未知数ですが、デジタルプレイスメント広告もNFT収集によるゲーミフィケーション化も、売らんかな広告から脱却しようとしているという点は時代性に沿っています。

NFTの部分は、ポイ活でインセンティブがあったとしても広告を見ることも苦痛に感じはじめている今、薄すぎるインセンティブだけでは厳しいのではないかとも感じますが、生成AIの広告への応用の部分は間違いなく普及するだろうと思います。

2020年頃のデジタルプレイスメント広告登場初期よりも生成AIが高度化し誰でも使える状況になったのは現在の大きな違いです。

Suno AIのようにボーカル付きの楽曲すらその場で作詞作曲してしまえます。CMソングもその場でパーソナライズ作成されるなど、生成AIをフル活用したこれまでにない「広告らしくない広告」が発明されていきそうです。

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