『相互運用可能な「デジタルユニバース」Avalonが1,300万ドルを調達。オープンメタバースはどう作られる?』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.3.5
■メタバースは一社で作れないーー相互運用可能な「デジタルユニバース」Avalonが1,300万ドルを調達
「メタバースは一社で作れない」というのは開発規模感が大きいということもさることながら、無数のメタバースが相互運用されている姿を「メタバース」と呼ぶべきだというのが今回1300万ドルの資金調達をしたAvalon社の思想の現れです。
オープンメタバースと呼ばれ、さまざまなメタバースプラットフォーム間がシームレスにつながっている状態を指すことが多いように思いますが、明確な定義はありません。
オープンメタバースとは?
オープンメタバースこそメタバースの真の姿だという考え方はずっと以前からありましたが、メタバースはWeb2.0型の中央集権プラットフォームビジネスを目指しがちで、どのプラットフォームが覇権を握るかの競争が未だに続いているように見えます。
上記の「オープンメタバースとは?」の記事の中でもオープンメタバースを目指す企業例としてEpic Gamesが挙げられています。
巨大な1社がオープンメタバースを謳うのはまだ疑いの目で見てしまいます。
フォートナイトのアイテムをマインクラフトで使えるようにするのがフォートナイトの影響力を上げたい思惑からなのか、何らかの共通規格や業界標準を定めたうえでEpic Gamesとしての独占具合を低減させてでもオープン化を推進したいのかでいうと、前者なのではないかと見てしまいます。
共通規格は必要だが大手の独自ルールの排除が難しい
例えていうならiPhoneを中心としたApple経済圏をプラットフォームとして提供し、iOSアプリや周辺機器をサードパーティが販売することも(Apple仕様の中では)オープンな市場だと見ることもできます。
仕様や規格、ガイドラインは複数社の合議なのかW3CやIEEEなど国際規格なのか、それともAppleのような巨大な1社なのか、いずれにせよ必要になります。
ヨーロッパでiPhoneもUSB-Cを採用しないと違法という状況を作り規格標準化を進めようとしても、Apple社が採ろうとしている対応は「MFi認証チップ入りUSB-Cケーブル」です。
何らかのコンソーシアムでオープンメタバースの標準規格を作り、多くの企業がそれに準拠して相互運用性があるメタバースが作られれば理想的な状態になるかもしれません。
しかし大資本の1社が、標準規格に最低限準拠して外部からの参加を促しつつ、独自ルールを設けたり、市場参加を禁止する権限を持ったりすることは容易に想像できます。その1社が作った経済圏が大きければユーザーも事業者もそちらを選ぶのが現実でしょう。
Avalonはオープンメタバースを目指すのか、第2のEpic Gamesを目指すのか
Avalon社に投資したHashedのコメントでも、結局強いところが生き残るということを言っています。
メタバースコンソーシアムのリーダーとしてAvalon社が中心的役割を果たし多くの企業を巻き込んで強くなる方向なのか、AppleやEpic Gamesのように自社が巨大な市場影響を持つまで成長することで、事実上の標準規格化を狙うのかは定かではありません。
投資家の発想はAvalon社の株価が上がることが目的なので、成功確度が高い方ならどちらでもよいのでしょうが、せっかくなら「ピュアにオープンなメタバースが作られる環境が生まれることに投資した」という動きで、web3にも呼応する分散型で非中央集権的なメタバース環境ができあがると面白そうだなと個人的には思います。