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『イーサリアムを選ぶプロジェクトが増えている印象。これからのチェーン選びのポイントとは?』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.10.22

■イーサリアムキラーはいまやゾンビ【オピニオン】

ベストなテクノロジーが勝つのではないとしたら、規格となることをめぐる戦いにおいて、長期的な勝者となるものは他と何が違っているのだろうか?
私は、2つの答えがあると仮説を立てている。まず、開発者エコシステムの成熟度。2つ目は、経営・管理チームだ。

開発者サイドに関しては、イーサリアムは支配的なシェアを抱えており、その数は増加を続けている。経営・管理チームサイドでは、イーサリアム財団が長年にわたり、エコシステムの成熟と、すべてをまとめる力を見せている。ゆっくりとだが、そつなく実施された「Merge(マージ)」も、この力強さを世界に示した。

このことは、ソラナやアバランチなど、潤沢な資産を抱える競合にとって何を意味するのだろうか?私の考えでは、彼らはゾンビだ。まだ生きてはいるが、終わりは時間の問題である。どれほどの時間が残されているのか?かなりの年数になるかもしれない。

最近、これから春先くらいにかけてローンチを目指すweb3サービスの話を伺う際に「イーサリアムチェーンで行く」というプロジェクトが増えているなぁという印象を持っています。

パブリック&EVM互換チェーンであることは大前提として、今年の前半のチェーン選びはもっと幅があったように思います。STEPNがソラナから始まりバイナンスに広げ、イーサに手を広げるも盛り上がらず再びソラナ回帰していたり、SweatcoinがNEARを選んだことも話題でした。

AvalancheやFantomも名前はチラホラ挙がっていましたし性能比較やどれがいいのか解説動画などもよく出ていました。春~夏頃には「web3を国家戦略に」と渡辺創太さんが自民党の平将明議員と会談したことが報じられた際にはAstarやポルカドットが話題に挙がり、さらにその前はNBA Top Shotが売れているという話題からFlowも挙がるなど、チェーンどれいいのか話が花盛りでした。

それが先日のイーサリアム「The Marge」完了後から急速に「イーサリアムチェーンで行く」という話をたくさん聞くようになったなぁと感じます。

「イーサリアムキラーはいまやゾンビ」という刺激的なこの記事では、過去の歴史などを根拠に「イーサリアムしか勝たん」と主張しています。踏み込んで「マルチチェーンもない」「よりよい性能のチェーンも勝たん」と痛快に言い切っています。開発者にとって魅力的なグラントについても「顧客のいないチェーンでローンチすることになっては、配備のコストがタダになっても意味がない。」と一蹴しています。

この記事だけを読むと、イーサ派のポジショントークとして一歩引いて捉えておきましょう、とするのが冷静な判断だろうと思います。しかし実際のプロジェクトが急速・一斉に「イーサリアムチェーンで行く」と言い出しているのを目の当たりにして、イーサの勝ちシナリオが現実味を帯びて来ているなぁとも感じます。


■独自トークンブームからチェーンネイティブトークン活用+NFTという流れも

チェーンの収斂感に合わせて独自トークン発行しIEOさせるブームも変化しているように感じます。

DeFiに注目が集まり、Axie InfinityとSTEPNの一時の成功によって独自トークンを発行して投資家から資金調達する一攫千金ブームが起きていましたが、今はトークンだけで資金調達することが困難になりつつあります。

独自トークンを発行するためのスキームが非常に複雑になりがちであることや、独自トークンがサービスごとに乱立している現状から結局エクイティも絡めないと投資が受けられなくなってきているという事情もあります。

そんなに苦労して独自トークンを発行するなら、NFTとチェーンネイティブトークンでエコノミクス設計し、サービスをブラッシュアップする方にコストをかけた方がいいと考えるようになってきているのかもしれません。

NFTを扱うならイーサリアムチェーンで発行した方がOpenSeaでの売買されやすいのが現状。ガス代はネックですが、なにしろCrypto初心者にとってのETHの入手のしやすさが圧倒的に有利です。

MaticやSolanaを手に入れようと思うとETHよりひと手間かかりますし、ましてやBNBはさらにCrypto初心者にとってハードルが上がります。これから徐々に暗号資産に触れる初心者が増えていくに従って、一層「ETHしか買えない・ETHなら買える」というユーザーが急増すると予想しています。

独自トークンを発行しない・NFTとネイティブトークンで行く、と決めたプロジェクトでは、チェーンはイーサリアム・トークンはETHを選びやすい市場環境になっているし、新規ユーザーへの広がりを考えるとその流れはますます加速しそうです。


■イーサリアムの進化に合わせるのが王道か

今後のイーサリアムの更なるバージョンアップで、ガス代が下がりトランザクションスピードが上がるとしたら、この記事が主張するようにますますイーサリアムキラーを選ぶ理由がなくなります。

幸いEVM互換で開発していればイーサリアム本体に乗せ換えることはできます。しかし他チェーンの「技術的優位性」たとえば超高速処理やガス代の安さに依存した仕様で作られたサービスは、互換性があったとしても乗せ換えることが事実上できません。

将来イーサリアム本体がより進化するのに合わせて徐々にトランザクション量を増やしていくようにサービス側を設計しておくことが、現時点では必要かもしれません。技術のボトムに合わせるのはちょっとモヤっとはしますが、これまでのwebサービスでも「最新最強のスマホを全員が使っている」ことを前提には設計しないのと同じく、メジャーな環境に合わせて設計しておくことがマーケットシェアを採る、ユーザーを獲得することに必要な発想なのだろうと思います。

来年春ごろにはチェーン周りの環境や初心者ユーザーの拡大など市場環境がかなり変わっていると思います。あまりにも流れが速いweb3では先読みをすることが非常に難しいですが、先進に興味を持ちつつ保守的な視点も持つというバランス感覚が一層に重要になりそうです。


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