『京王電鉄のデジタルトレカNFTは経験値を積む良策』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.2.22
■京王電鉄初の「鉄道NFT」を発売 全種類揃えると京王資料館に招待
NFTを難しく考えず「デジタルトレーディングカード」として販売するシンプルなプロジェクトです。NFTやりたいけど難しそうだと考える事業者にとって参考にしやすいのがよいところ。
デジタルトレーディングカードなら印刷コストよりも安く作れて在庫リスクもなく、店頭流通販路の確保もいらず発送の手間もありません。
1328万円の売り上げが見込める
完売すれば、既存デザイン4種類+限定デザイン4種類の合計8種類×100個×1500円=1200万円の売上が立ちます。
加えて動画版NFTは2種類×100個×5000円=100万円の売上、
さらにゲームコラボのNFTが5種類×10個×5600円=28万円の売上。
単純計算で1328万円の売上が見込めます。
うまくいけば第2弾、第3弾と続けてやっていくことで年間予算化もできそうです。
決裁者向けに鉄道ファンの可視化
NFT購入者にリアルイベント招待というユーティリティを提供することが予定されています。NFTを売る京王電鉄側も、NFTを買う鉄道ファン側も、これ自体が主目的ではないはずですが、リアルイベントで接点を持つことはNFTの分かりづらさを払拭するのに良手です。
NFTに懐疑的な決裁者に対して、リアルイベントに集まった人の様子を見せることも効果的でしょう。
会員権化テストにも
加えて「NFTを持っていることを確認して入場可否を判断する」「NFT所有者のみに連絡する」というプロセスを経験しておくと、NFTを会員証としたサービス展開のイメージが付きやすくなります。
京王電鉄の中だけで会員組織を作るなら従来通りの会員データベースや独自の認証システムで対応できますが、今回の「駅メモ!」アプリとのコラボなど他社サービスとの連携では、NFTという共通仕様で所有確認をするフローを作っておくことで次回以降もひとつのシステム・ひとつのオペレーションフローで対応することができるようになります。
さらに加えて、せっかく京王資料館(八王子)に鉄道ファンがリアルに訪れるなら、近隣の飲食店なども巻き込んでNFT所有者向けのサービスキャンペーンを広く実施するとNFTのユーティリティが拡張でき購入動機を強くすることができます。
NFTなら独自システムは不要で、近隣店舗でも「スマホでQRコードを読み込むと持っていることが確かに証明・確認できる」くらいの簡単オペレーションにできるはずです。(そういう確認システムを作らなきゃいけませんが)
これはNFT会員権のテストです。しかも従来の会員権と違ってコンプするとグレードが上がったり、長期保有しているとVIP化したり、要らなくなったら一般市場で売却できるなど新しいカタチの会員権が作れます。
鉄道ファンの熱量、鉄道という地域に根差したサービスを活かしたNFT会員権としてのテストを今やっておけば、1328万円分の売上以上の価値を生み出せる可能性が高まります。
デジタルトレカ販売を入口に経験を積む
NFTは難しそう、何から取り掛かればいいかわからないけれど興味がある、という事業者も未だ多いと思いますが、今回ご紹介した京王電鉄のようなデジタルトレカ販売という比較的シンプルな取り組みから始めるのはやりやすいはずです。
単に売っておしまいではなく「京王資料館に招待」や「駅メモ!コラボ」などのようなかたちでリアル・バーチャルでの相互運用性も試すことで、将来の会員権としての運用の勘所も掴めてきます。
NFTは単なる画像の売買に留まらず実用的に進化しつつあります。できるところから早めに試しておくことで、今後NFTがもっと広まった時に経験が役に立ちます。
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