
『AI搭載と謳った「ポートピア連続殺人事件」テックデモ版公開も期待外れで炎上』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.4.26
■「期待外れ」「騙された気分」AI搭載版『ポートピア連続殺人事件』に厳しい声。Steamレビューは「非常に不評」と異例の事態
Steam上では配信初日から低評価レビューが多く集まり、4月24日23時時点で総レビュー数は218件、総合評価は「非常に不評」という異例の事態となっています。
先週お伝えした、「ポートピア連続殺人事件」にAI搭載の残念な続報です。
4月24日にSteamに公開されプレイ可能になりましたが、「どこがAI?」と不満続出、「非常に不評」という評価となっています。
「AIでヤスと会話ができる」という期待
公式サイトでは「相棒があなたの言葉を理解し、意図を汲んだ返答を返してくれます。相棒との会話を繰り返すことで物語を前に進めることが出来ます」とアピールされており、リリース前から「ChatGPTのようにヤスと会話しながらゲームが遊べるのでは」と大きな期待を集めていました。
決められたワードをビンゴで当てなくても自由な言葉遣いで会話ができることをウリにしていると理解しました。そして
完全一致でなくても文脈が合っていればAIがそれを理解してくれるようになったようです。また行き詰った場合は「何をすればいい?」的な問いを投げればゲーム進行のヒントを与えてくれたりも可能になるため、完全なフリー入力の不親切さも解消されそうです。
と予想していました。そして多くの人が同じ期待を持っていたようです。
それこそ最近の対話型AIで一番進化が実感できた部分ですし、前稿で触れた通り、「原作ポートピア」の「一字一句あっていないと先に進めない、という超高難度で不便なゲーム性」をAIで解決したところが目新しかったわけです。
公開版ではAI会話機能は非搭載
しかし。
ヤスが反応してくれるのはあくまで「特定の言葉」だけで、自由に会話をしようとしても「え?」「うーん」と首をひねるばかりでなかなかゲームは進みません。確かに、オリジナルのヤスに比べれば多少は賢くなっているのですが……。
と、公開された「新ポートピア」はAIとの対話で期待するものとは程遠い体験で、かつ「原作ポートピア」の持っていた課題を解決していません。
本テックプレビューでは、自然言語生成(Natural Language Generation)による雑談会話機能を有していましたが、AIの非倫理的な発言の可能性を考慮し、NLG機能は削除された状態でリリースされています。
との表記があり、残念ながら現時点ではChatGPTのような「自然言語」によるやりとりは不可能(※初報段階から一応、「リリース時点では自然言語生成は未搭載」との説明はあった)。
非倫理的な発言は裏技的に追い込めば出る可能性はなくはないですが、期待した対話体験ができないのであればAI期待を煽らない方が良かった。
時代がまだ追い付いていなかった
企業が製品版にAIを使う際、現状のクオリティでは使用できないと判断されるレベルであるということはわかりました。
AIが非倫理的なことを言わなくなる制御も大切ですが、一般ユーザーのリテラシーが上がり「そんなもんだよね」という分別がつくことも必要です。AIの技術面、ユーザーの理解、そのどちらもが今はまだ追い付いていないということでしょう。