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『やめられない磁気きっぷ、SuicaにQRコード、さらにVisaタッチまで「全部乗せキメラ改札」』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2023.11.29


■QRコード、タッチ決済 鉄道はキャッシュレス乗車でどのように進化するか

今回はときどき取り上げる駅の改札システムの話題、とはいえネタ回です。
改札に関する過去記事はこちらなど↓

「QRコード、タッチ決済 鉄道はキャッシュレス乗車でどのように進化するか」と題され、真面目に考察しても興味深いものではあるのですが、新型改札機のデザインが衝撃的過ぎまして。


UXを完全に無視した魔改造改札機が衝撃的過ぎた

切符の処理速度をいくら上げても。

この改札機、どこに何をどうすればいいか、わかります?

ここまでUXを破壊した公共設備は初めて見ました。過去に改札機を開発していた人の苦労を完全にぶち壊しています。

磁気きっぷ、Suicaに加え、QRコードきっぷ、Visaタッチによるクレカ乗車に対応させようとした結果、不格好にボディが延長され「全部乗せ」改札に魔改造されてしまいました。


過去の改札機の開発努力

こんな複雑な機械なのに0.7秒で切符を処理

磁気きっぷの時代でも、ラッシュアワーの通勤客を捌けるよう、1分に45人を通過させられるように設計したそうですよ↓

人が1メートル歩くと1秒かかる。だから放出口に人が到着する0.3秒前にきっぷが出てくる。

文字通り「秒」を争う通勤ラッシュに対応すべく、改札1メートルの通過時間1秒の間に切符を0.7秒で処理し0.3秒前に出口に送るなんてことをやってたわけです。Suicaでも同じ水準で設計されました。

しかしその後、QRコードでローコスト化だ!海外客にはクレジットカードのタッチ決済だ!と足し算し続けた結果、先ほど見てもらった、魔改造された全部乗せキメラ改札が出来上がってしまいました。

磁気きっぷ、Suica、QRコード、クレジットカード、それぞれは0.7秒以内に処理できるんでしょう。

でもこんな全部乗せキメラ改札機だと、どのきっぷをどの部分に使えばいいのかを判断するのに立ち止まって5秒は悩んでしまいそうです。

個々の性能は良くてもUI/UXがイケてないと全体として性能目標に到達しない、だとか、コスト制約が厳しすぎて無理な設計になった、などはアプリやWebサイト、自動車などなどいろんなものでも起きますね。


実践投入されている全部乗せキメラ改札機

こんな妙な改札機も、開発中の実験機なら研究室に暫定的に置かれていることもあるでしょう。でもこれ、東急電鉄で8月から実際に使われているのだそうです。

もう一度見てもらいましょう。

まとまったデザインにしてから実践投入を。

東急電鉄が設置した改札機。いかにも後付けな姿だが、普及すればまとまったデザインになるだろう(出典:東急電鉄、「クレジットカードのタッチ機能」「QRコード」を活用した乗車サービスの実証実験を8月20日(水)から開始

「いかにも後付けな姿だが、普及すればまとまったデザインになるだろう」じゃなくて、これをそのまま実践投入しちゃダメでしょう。観光客など他エリアから来た人だけでなく、地元住人でさえ戸惑うUXデザイン。

この新型改札機の形状について、SNSなどで「魔改造された改札機のなれの果て」のような扱いをされていたのを見かけるが、これは仕組み上仕方ないということをフォローしておきたい。

やっぱり「魔改造された改札機のなれの果て」と言われているのですね。仕方ないとフォローされても、やっぱりこれはアカンと思います。

通勤ラッシュなど、この改札のせいでトラブルになったりしていないのでしょうか?この改札が設置されている路線のユーザーさん、使い心地はいかがでしたか?ラッシュアワーで乗り遅れるなどトラブルは起きていませんか?

もしこの全部盛りキメラ改札でもサクサクと使えて1分47人ペースで通過しているなら、人間の処理速度と適応力はもっと高く見積もらないといけないですね。



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