『「余市町ふるさとCNP2022」3分で完売した理由』~【新しいweb3ビジネスのアイディアのタネ】2022.11.4

■NFTを用いたふるさと納税「余市町ふるさとCNP2022」3分で完売

北海道余市町、国内最大級のNFTプロジェクトCryptoNinja Partners(以下、「CNP」)、『NFTによる地方創生』を推進する株式会社あるやうむ(本社:北海道札幌市、代表取締役:畠中博晶、以下「あるやうむ」)が、コラボしたふるさと納税の返礼品「余市町ふるさとCNP2022」は、10月21日(金)18時00分より寄付受付を開始。3分ほどで222個全ての返礼品に対して、寄付が集まったことを報告します。

ふるさと納税にNFTを返礼品にする取り組みを耳にする機会が増えてきました。今回は日本最大級のNFTプロジェクト「CryptoNinja Partners(CNP)」とのタイアップで、過去にもNFT返礼品を設定したことがある北海道余市町が寄付受付した事例です。

これまでのNFT返礼品と今回のCNPで進化・改善した部分がいろいろあるようです。


■過去のNFT返礼品の事例

北海道上士幌町が日本初となるNFTのふるさと納税返礼品の提供を2022年4月22日に開始し、5月7日からは全国で2つ目の事例となるNFTアートの返礼品の提供が北海道余市町で開始される。

日本初の事例は北海道上士幌町の300機のクリスマスドローンショー映像のNFTアートです。

北海道上士幌町
300機のクリスマスドローンショー映像のNFTアート
寄付金額 4,350,000円

2021年12月に北海道上士幌町で実施された、日本最大級のドローンショー。真冬の澄んだ夜空を300機のドローンが彩ります。期間限定で行われたドローンショー映像を、「NFTアート」という形でお送りいたします。NFTのお礼の品として掲載されるのは、本品が日本初となります。
対応NFT規格 Ethereum (ERC721)

※Adam by GMOでの受け取り限定となります。
※二次売買等に関する注意事項はお礼の品の詳細ページをご確認いただくか、直接自治体へお問い合わせください。

ふるさとチョイス

・数量は1点のみ
・価格は4,350,000円と超高額
・8分間の映像が見られる(だけ)
・Adam by GMOでの受け取り
・現時点では売れていない

売れない理由がたくさんあります。

高すぎます。1人しか買えません。
純粋な寄付目的なら別に動画は要りません。上士幌町としてもお金だけが欲しいような構造になってしまっています。
動画が見られるだけのユーティリティではNFTである意味や価値がまったくありません。
Adam by GMOだと流動性が低すぎて二次流通も期待できません。出庫するまでNFTとしてmintされておらず、出庫手数料が高額すぎます。
Adam by GMOの代理店手数料とふるさとチョイスのプラットフォーム手数料がかかってしまい寄付貢献額が減ります。
これだけ高額な寄付ですから、自身の減税効果もさることながら地元応援をしたい人向けです。ならば435万円を直接上士幌町に振り込んだ方がいいです。

この初号事例から以降、ふるさとチョイスではふるさと納税+NFT返礼の事例がかなり増えています。

北海道上士幌町、北海道余市町、岩手県遠野市、岩手県紫波町、兵庫県加西市、大阪府泉佐野市、長崎県佐世保市、茨城県桜川市のNFT返礼品が見つかります。


■「余市町ふるさとCNP2022」と過去事例の違い

1. 国内最大級のNFTプロジェクトCryptoNinja Partnersとのコラボ

今回の企画では、NFT発の新世代IPであるCNPをメインキャラクターとして採用しました。CNPの派生元であるNinja DAOのコミュニティ会員4万人に登り、日本で最も熱量の高いプロジェクトとして知られています。

日本で最も成功しているNFTプロジェクトとのコラボレーションであることが効果的でした。

まだNFTを買ったことがある人が非常に少ない現在、NFTを欲しがる人にリーチするにはNFTの理解や扱いのリテラシーがあることが必須です。

CNPを知っている、持っているという人をターゲットにすることでNFTについての説明が不要、かつCNPなら欲しいという見込み顧客が多数いるコミュニティへの販促で完売を目指せます。

CNPは当初300円から半年足らずで40万円まで値上がりしているプロジェクトですから、将来の値上がり期待で買う人も多いはずです。寄付したのに儲かるDonation to Earn状態。1年間は転売できないロックがかかっていますし、おそらく1年後も手放したくなくなる仕掛けを入れてくると思いますが、払ったお金以上に返ってくる可能性があると考えると財布が緩みます。

つまりリテラシーが高い見込み顧客が万単位でいて値上がり期待もできるのがCNPコラボの強いところです。今回3万円で222体のNFTが発売されましたが、CNPなら3分で売り切れるのも納得です。


2. アートの価値に留まらない「使えるNFT」「変化するNFT」

「余市町ふるさとCNP2022」で用意されたNFTは、アートとして楽しむことができるだけでなく、NFTに保有者特典が付与されています。

具体的には、余市町の人気ワイナリーが手掛けるワインの優先購入権の抽選券、CNPのコミュニティ「NinjaDAO」のCNP保有者のみ参加可能なdiscordチャンネルを1か月体験する権利が挙げられます。

また、返礼品として受け取ったNFTを持って余市町を訪れることで、NFTの柄が変化する仕掛けも実装予定です。

さらに、寄付開始を記念して、余市町内にCNPのキャラクターがデザインされたマンホール「CNPマンホール」を設置予定です。ふるさとCNP保有者が余市町を訪れたくなる仕掛けを施すことで、自治体の関係人口の増加、観光誘致にも繋げます。

値上がり期待で売買したりデジタルデータを見るだけではないユーティリティが持たされています。

特に面白いと思ったのが「余市町を訪れることでNFTが変化する仕掛け」と「CNPマンホール」です。現地に行きたくなる、関係人口を増やせる仕掛けは、ふるさと納税で地元に寄付する以外の効果をもたらします。

今回は222体しかNFTが発行されませんでしたが、関係人口を増やす目的ならもっと数量が欲しいところです。これは地元の実力を徐々に上げながら取り組むのだろうと思います。


3. NFTに特化したポータルサイト「ふるさと納税NFT β版」

あるやうむが自社開発したNFTに特化したポータルサイト「ふるさと納税NFT β版」を活用することで、通常暗号資産で取引されることの多いNFTを日本円で決済できるようになりました。

また、ポータルサイトの利用特典として、初心者向けのNFTセミナーを用意することで、多くの方がスムーズに返礼品のNFTを受け取ることができるようにしました。

なお、ポータルサイト「ふるさと納税NFT」は11月中の正式リリースに向けて開発を進めることが決まっております。

※「余市町ふるさとCNP2022」の詳細は、寄付受付前に出したプレスリリースを参照ください。
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000091165.html

これまでのふるさとチョイスやAdam by GMOではなく、あるやうむが独自に開発したNFTマーケットプレイスで販売されたことも大きかったと思います。

日本円決済できるのはこれまでとも同じなのですが、「NFTを持って余市町を訪れることでNFTの柄が変化する仕掛け」をスマートコントラクトで実装したNFTを販売・配布することができ、かつ日本円で決済できるというNFTマーケットプレイスは今のところ独自に作るしかなかったかもしれません。

独自のNFTマーケットプレイスがあることで、単なるJPEG画像や動画データに留まらないユーティリティを提供でき、NFTアートでも珍しい位置情報または現地の何らかのトリガーで絵柄が変わる仕掛けを用意でき、かつ日本円で決済できるという「使える・すごい・便利」の3点セットを実現できました。


■旅先納税にもNFTが広がるか

ふるさと納税は主にネットショッピングのように返礼品を選ぶのが主流だと思いますが、ふるさと納税や節税に興味がない人にはリーチしにくいという課題があります。

対して旅行先の現地その場でふるさと納税を受け付け、今楽しんでいる旅行での飲食やお土産の買い物で割引を受けられるバウチャーを提供する「旅先納税」はネット通販型ふるさと納税では捕捉できなかった人にふるさと納税を促せる強力な展開方法です。

旅先納税にNFTを組み合わせられれば、旅先として偶然訪れた街の「会員証」のようなユーティリティを提供することで再来訪を促せます。また割引を受けられるお店が後日拡大しても、会員権NFTを持っていれば拡大したお店すべてで使えるようにもできそうです。

訪れると進化する・絵柄が変わるという面白さに会員証のユーティリティを組み合わせたふるさと納税NFTを、旅先そのばで買える。となればふるさと納税の利用者も増え、2度3度と訪れる人も増え、クチコミなどで周囲の人にもお得情報として広まる可能性があります。

その流れの中でNFT自体が認知され広まっていくというシナリオもあり得ます。ふるさと納税、旅先納税がNFTを広めるきっかけになるかに注目です。

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