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『鉄道の線路で発電!スイスの実験から日本の可能性を試算:発電量は消費の2.6倍に』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.10.24

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■スイスが鉄道5000キロに太陽光パネル、原発1個分の出力に

スイス運輸省は10月2日、鉄道のレールの間にソーラーパネルを置いて発電するパイロットプログラムを承認した。まず2025年春から3年間、スイス連邦鉄道(スイス国鉄)の約100メートル区間に48枚の太陽光パネルを設置する。ゆくゆくは1テラ(兆)ワット(100万キロワット)と、原発1個分の電力の発電を目指す。フランス、スペイン、韓国などでも同技術のパイロットプログラムの具体化が進みつつある。

スイスでは、鉄道のレール間に太陽光発電システムを導入する試みが進められており、原子力発電所1基分の発電量を目指しているそうです。

鉄道の線路に太陽光パネルを設置するというアイデア、これは面白いですね。鉄道は日当たりがいいところが多いですし、まとまった面積を確保できます。発電した電気を車両運行にその場で使えて送電ロスもなく、大電力を処理する設備があらかじめ整っています。「太陽光発電×電車」はとても相性が良く、目のつけどころが素晴らしいと感じます。

スイスでも100メートルの区間から慎重に実験を開始する段階ですが、もし日本の鉄道に太陽光パネルを導入した場合、どのくらいの電力を発電できるのかを試算し、そのメリットについて考えてみます。

日本の鉄道に太陽光パネルを設置した場合

まず、日本の鉄道の地上区間の総延長は約20,000 kmとされています。この広大な鉄道網を活用すれば、大規模な太陽光発電システムを構築することが可能です。具体的にどのくらいの発電が期待できるのか、試算してみます。

試算の前提条件

  • 鉄道の総延長距離:20,000 km

  • 太陽光パネルの設置幅:線路のレール間や周辺に設置すると仮定し、パネルの幅は2メートルとします。

  • 発電効率:一般的な太陽光パネルの発電効率は約200 W/㎡です。

  • 年間平均日射量:日本の年間平均日射量は約3.6 kWh/㎡/日(全国平均)です。

1年間の発電量の試算

  1. 設置面積の計算

    • 20,000 km × 2 m = 40,000,000 ㎡

  2. 1日の発電量

    • 設置面積 40,000,000 ㎡ × 日射量 3.6 kWh/㎡ = 144,000,000 kWh

  3. 年間の発電量

    • 144,000,000 kWh × 365 日 = 52,560,000,000 kWh(約52.6 TWh)

消費電力量の2.6倍を発電可能!

日本の鉄道全体での年間消費電力量は約20 TWhとされています。この数値と比較すると、太陽光パネルによる年間発電量は鉄道の消費電力量の約2.6倍に相当します。もちろん、太陽光発電は昼間しか行えないため、夜間の電力供給には蓄電が必要ですが、少なくとも昼間の電力は余裕を持って賄うことが可能です。

線路への太陽光発電導入のメリット

太陽光発電を鉄道に導入することで得られるメリットは多くあります。

1. 運賃の引き下げの可能性

発電した電力を鉄道の運行に利用し、余剰電力を売電することで運行コストを削減できます。このコスト削減が利用者に還元されれば、長期的に運賃の引き下げが期待できます。特に、電力価格の変動リスクを軽減し、安定したコストで運行が可能になることは大きなメリットです。

2. 発電事業への参入

鉄道事業者が発電事業に参入することも考えられます。鉄道沿線で発電した再生可能エネルギーを地域社会に供給することで、エネルギーの地産地消を実現し、地域経済の活性化に寄与できます。鉄道会社が発電事業者としての役割を果たすことで、新たな収益源を確保することができます。

3. 災害時のバックアップ電源

太陽光発電設備は、災害時のバックアップ電源としても役立ちます。鉄道網は都市部から地方まで広がっており、災害時に停電が発生しても、太陽光発電を利用して地域の重要な施設に電力を供給することで、地域社会の安全を支えることができます。

4. 環境に優しい鉄道の実現

鉄道はもともと環境に優しい交通手段ですが、再生可能エネルギーを利用することでさらにカーボンフットプリントを削減できます。これは鉄道の魅力を高め、環境に配慮した移動手段を選びたいという利用者からの支持を得ることにもつながります。

鉄道事業者が地域の発電事業者に

試算した結果、鉄道が消費する電力の2.6倍も発電できるというのは驚きでした。

夜間に発電できず蓄電設備が必要になることは課題ですが、車両側にバッテリーを積むようにすれば、蓄電設備を設置する場所は不要になります。送電トラブルが起きた時でも内蔵バッテリーで自律して走行でき、災害に強い交通網を構築できます。

自家消費量の2.6倍もの電力を発電できることで、鉄道事業者が交通インフラの提供者から地域のエネルギー供給者へと進化する可能性があるのも興味深いと感じます。これから人口減が進む日本において、運賃の引き下げや新たな収益源の確保による鉄道網の維持、災害時のエネルギー供給といったメリットは、地域社会にも大きな利益をもたらすでしょう。

技術的な課題や初期投資の大きさはあるものの、長期的な視点で見れば、日本の鉄道網に太陽光発電を導入することは非常に実現性の高い未来のビジョンといえます。

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