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『[社説]生成AI検索巡る懸念に真摯に向き合え、と言われましても。AI時代の現実的な解』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.12.17

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■[社説]生成AI検索巡る懸念に真摯に向き合え

2024年12月16日付けの日経新聞社の社説で、「AI検索」の課題について取り上げられていました。

その中でも私が注目したのは、「原典にあたることの重要性」です。生成AI検索の要約された検索結果には出典元は明記されていますが、多くのユーザーはそれを確認しません。この社説では「原典にあたれ」と促していますが、人々が原典にあたるようになる可能性は低いと言わざるを得ません。

「楽をする」技術進化は不可逆

歴史的にも、「楽をする」技術が登場した際、その変化は不可逆的であることはよく知られています。たとえば産業革命における機械化は、手作業の時代に戻ることを不可能にしました。同様に、生成AIや検索エンジンによる利便性が一度浸透した後で、原典確認を徹底するような行動変化を期待するのは非現実的です。

情報効率優先の現代的傾向

「No.1」表記の調査事例でも、消費者の半数以上がその根拠を確認しないという結果が出ています。この現象は、単なる怠慢ではなく、人々が情報を「効率的に摂取する」ことを優先している現代の行動様式を反映しています。

SNSによる風評の固定化

原典にあたらない傾向は、SNSや消費行動を含むあらゆる場面で一貫して見られるものです。特にSNSでは、情報の真偽が確認されないまま広まりやすく、たとえばセブンイレブンの「底上げ弁当」問題のように、一度広まった印象が事実とは異なる形で固定化されるケースが顕著です。

このセブンイレブンのケースでは多くの検証が行われ、YouTuberや消費者が実際に商品を購入して調査した結果、一部の商品で具が少ないエラー品が見つかったものの他のコンビニ各社にも見られるもので、意図的な不正ではないと結論付けられました。にもかかわらず、誤った風評の印象だけが残り続けるという問題が浮き彫りになっています。

反証コンテンツはバズらないし、原典は顧みられないのです。

AIが果たすべき役割

原典にあたることを期待できない以上、人々が求める「楽」を利用してAIがサポートする方が効果的で現実的です。人々が検索やSNSなどで情報に触れるのは多くがスマホです。であれば、スマホに内蔵されたAIが、「楽」に守ってくれるのがよいだろうと考えています。

  1. フェイクアラート AIが閲覧中のコンテンツを分析し、詐欺的なリンクやフェイクニュースが含まれている場合に簡潔なアラートを表示します。例えば、「このリンクは信頼性が低い可能性があります」というシンプルな警告を出します。

  2. バランス情報の提案 アルゴリズムの偏りを防ぐため、AIが異なる立場や新しい視点の記事を自動的に提案。「このトピックについての別の意見はこちらです」といった形で、ユーザーが多様な視点に触れられるよう促します。

  3. リスク情報 AIが特定の話題について危険性を感じた場合、「この情報にはこういったリスクが含まれます」と提示。危険性をシンプルに説明します。

  4. 対話型アドバイザー 情報に不安を感じた場合、AIチャットボットが会話の中でさまざまな見方を提示します。たとえば、「このニュースは本当ですか?」という質問に対して、「現在のところ出典が明確ではありません。」「別の意見も出ています。」と説明します。

原典にあたらないままでも、ユーザーがAIのサポートで「楽」に、安全かつ信頼性の高い情報にアクセスしやすくなるのがベストな解ではないでしょうか。

mixi2の登場と「原典にあたらない時代」の必然

昨日新たにリリースされたSNS「mixi2」も、こうした時代背景に応じたサービス設計を反映しているなと感じます。

mixi2は、レコメンドエンジンによるタコつぼ化を排除し、紹介制で知り合い中心のつながりに回帰し、知り合いからの投稿を時系列順表示を採用するという、mixi「1」最盛期のような純粋なコミュニケーションを重視しています。この仕様は、SNSが抱えるアルゴリズム依存の問題への反動として生まれたものであり、原典にあたらない時代において「信頼できる知り合い」を重視するという別の解決策といえます。

AIに守られ、人間は立ち止まれるように

AIは賢く「楽」を使って人々を守るべき存在です。シンプルなアラートやカウンターによって、ユーザーが安心して情報に触れられるようサポートすることが求められます。一方で、人間側も「一度立ち止まる」「印象ではなくエビデンスや数字で考える」という習慣を持つことが重要です。

「原典にあたらない時代」は避けられませんが、AIによるサポートと人間の慎重さが両輪となることで、より安全で健全な情報環境を構築できるはずです。

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