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『「自動配送ロボ」で国交省が“仕様変更”高精度デジタルマップはユーザー参加型で作成すべき』~【web3&AI-テックビジネスのアイディアのタネ】2024.9.24

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■始まった「歩道」争奪戦、Uberら「自動配送ロボ」で国交省が“仕様変更”のワケ

 歩行空間ネットワークデータとは、歩道などの位置関係だけでなく道幅、段差、傾斜などの情報を一体化したデータ集のこと。具体的には、歩行空間の形に合わせてノード(結節点)とリンク(経路)を配置し、そこに属性としてノードの緯度や経度、階層数や、リンクの幅員や段差などの情報を含んでいる。

 国交省設置の検討委員会による2015年の提言をきっかけにデータ整備が動き出し、仕様策定のみならず、自治体向けガイドラインの作成や、各地での実証実験が進められた。2018年度のバリアフリー法改正により、各地でのバリアフリーマップ作成が進んだことにあわせ、歩行空間ネットワークデータも整備。実証実験などで集めたデータは「歩行者移動支援サービスに関するデータサイト」に登録され、オープンデータとして誰でも利用できるようになった経緯がある。

宅配物流の急激な増加に反してトラックドライバーの減少が進む現在、ロボット配送がSFの世界の話ではなく国を挙げた現実的なソリューションとして社会実装が進められています。

宅配ロボットの方が目立ちますが、ロボットが配送するのに使用する詳細なデジタルマップの整備が非常に重要です。マップが充実すれば、ロボット配送の実現のみならず、車椅子・ベビーカー・視覚障がい者などのバリアフリー対応にも役立ちますし、都市のデジタルツインのマップとして活用することもできるようになります。

国土交通省資料

マップ整備をレベル1~4までの4段階に分けており、レベル4ではリアルタイム情報も共有される運用を想定しています。

リアルタイムが「まさしく今」なのか「1日前」なのかの程度はあると思いますが、これを実現させるには、センサーやカメラを常設するか、調査ロボットが定期巡回するか、または一般人によるデータ投稿を活用するかが想定されます。

一般人がマップデータを収集するポイ活サービスが相性よさそう

マップデータをみんなで作るポイ活サービスにした「User Generated Map=UGM」という形式が、ロボット配送用マップをスピーディーで安価に充実させるのに良いのではないかと思います。

ポイ活UGMの利点

一般人が参加することでデジタルマップ作成に多くの利点が生まれます。

第一に、専門家や専用のロボットに頼る必要がないため、低コストで広範囲にデータを集めることが可能です。
第二に、リアルタイムで多くのデータを集めることができるため、道の変化や新しい障害物などがすぐに反映され、マップの更新が迅速に行えるでしょう。
また、地域の住民が自らデータ整備に関与することで、地域への愛着が増し、参加意欲が高まる可能性もあります。
さらに、複数の視点から多様なデータが集まるため、通常の調査では見落とされがちな情報も網羅できるという利点があります。

  • ローコストで広範囲なデータ収集: 一般人の参加により、専門家やロボットを使うよりも低コストで広範囲にデータが集められる。

  • スピーディーなデータ更新: リアルタイムでデータを提供できるため、マップの更新が迅速に行える。

  • 地域社会への貢献意識向上: 地域住民が参加することで、地域への関心が高まり、参加意欲が向上する。

  • 多様な視点からの情報収集: 一般人の多様な視点から、従来では得られなかった情報が集まる可能性がある。

ポイ活UGMの欠点

一方で、一般人がデジタルマップ作成に参加することにはいくつかの欠点も存在します。

まず、データの正確性に関する問題です。専門家によるデータ収集に比べて、一般人が提供するデータは不正確だったり、バラつきが出たりする可能性があります。
また、プライバシーやセキュリティの問題も懸念されます。データ収集時に通行人や住居が写り込むことで、個人情報が漏れるリスクがあるからです。
さらに、ポイ活などのインセンティブが効果を持続できない場合、参加者のモチベーションが低下し、長期的な参加が難しくなることも予想されます。
また、都市部や一部の地域にデータが偏り、他の地域でデータが不足する可能性もあります。
最後に、集めたデータの精査と統合にはコストがかかり、それをどう管理するかが課題となります。

  • データの信頼性の低さ: 一般人の収集したデータは、専門家によるものほど正確性や一貫性が保たれない可能性がある。

  • プライバシーやセキュリティのリスク: 写真に歩行者や住居などの個人情報が含まれるリスクがある。

  • モチベーションの持続困難: ポイ活などの短期的なインセンティブが長期間維持されない可能性があり、参加者が減少する恐れがある。

  • データ収集の地域的偏り: 都市部にデータが集中し、地方でのデータ収集が不足する可能性がある。

  • データの精査・統合にかかるコスト: 集めたデータを精査し、統合する作業に多大なコストがかかる可能性がある。

欠点を補うためのアイデア

これらの欠点を補うためには、いくつかの対策を講じる必要があります。

まず、データの信頼性を向上させるために、同じ場所のデータを複数のユーザーから収集し、整合性を確認するシステムを導入する必要があります。また、AIを活用して誤ったデータや不適切な情報を自動的にフィルタリングすることで、正確なデータを確保することも効果的でしょう。

プライバシー問題に対しては、個人情報が含まれるデータを自動的に匿名化したり、モザイク処理を施したりする技術の導入が必要です。また、データ収集に関するガイドラインを明確にし、参加者に教育することも重要です。

さらに、参加者のポイ活によるモチベーション維持には、長期的な報酬体系を導入することが有効です。例えば、ランク制度やボーナス報酬を設定し、継続的に参加することで得られる特典を増やします。また、デジタルマップ作成をゲーム化し、ランキングシステムやバッジを導入することで、楽しみながら参加できる環境を整えることも一案です。

データのバラつき問題には、特定の地域に特別なインセンティブを設けてデータ収集を促進することが効果的です。また、ロボットやドローンを併用して、参加者が少ない地域でのデータ収集を補完することも可能です。

  • データの信頼性向上策

    • 複数のユーザーから同じ場所のデータを集めて整合性を確認。

    • AIを活用して誤ったデータや不適切な情報を自動的にフィルタリング。

  • プライバシー・セキュリティ対策

    • データを自動的に匿名化し、プライバシーに配慮したモザイク処理を導入。

    • プライバシー保護のガイドラインを設け、参加者に徹底的に教育。

  • モチベーション維持の方法

    • 長期的な報酬体系やランク制度、ボーナス報酬を導入。

    • ゲーム化し、ランキングシステムやバッジ制度で楽しさを増強。

  • 地域的偏りの解消策

    • 特定の地域に対して特別な報酬を設定し、データ収集を促進。

    • ロボットやドローンを併用して、参加者が少ない地域でのデータ収集を補完。

  • 精査・統合コスト削減策

    • AIや自動化ツールを活用し、データ精査・統合を効率化。

    • クラウドソーシングを活用し、複数の人によるデータ精査でコストを削減。

データの売り先が一番の課題

最後に、データ販売先を確保することが最も重要です。

ポイ活の原資は基本的にマップデータの利用料金で賄われるはずですが、マップデータを公共財として国が一本化する場合は国が民間企業にデータ利用料を支払うモデルが組めるのか、UGM自体をはじめから国の事業に位置付けるように働きかけるのか、はたまた複数のUGMが乱立してしまうのかなど、売り先次第でUGM事業の作り方が大きく変わるため、先に売り先を検討しておく必要があります。

まとめ

一般人を巻き込んだデジタルマップ作成プロジェクトは、低コストで迅速なデータ収集が可能な一方、データの信頼性やプライバシー問題などいくつかの課題を抱えています。

しかし、高品質なデジタルマップが完成した暁には、世界最先端のロボット配送環境が実現します。マップ作成を専門家や常設センサーだけに頼らないUGMは、その実現を加速するはずです。

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