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インド人と数学

10年ほど前でしょうか、、
インド式数学がはやりましたね。
インド人は2桁の掛け算まで全部暗記している、
だから、インド人の数学能力は非常に高い、
というものですが、
果たして本当なんでしょうか。

正直なところ、それほどでも、、と思います。
正確には2桁の掛け算を全部記憶している
のではなく、地域や学校によるのでしょうが、
15×15までだったり、19×19までだったり
するようです。
日本の九九より多くはありますが。
数学のノーベル賞と呼ばれる、
フィールズ賞を見ても、2022年7月で
最多はアメリカ人の14名、続いてロシアの9名。
アジアでは日本の3名が最高で、イラン2名、
ベトナム1名で、インド人の受賞者はいません。

私が駐在していた時ですが、
大学の情報系の学科を卒業している
若手社員が、何か数学を勉強しており、
何かの試験のようなのですが、
「これに受かると、数学の能力の証明に
なって、いい転職もしやすくなるんだ」と。
テキストを見てみると、
sinθ、cosθ、tanθの計算を
やっておりまして、概念がよく分からず
四苦八苦しておりました。
日本だと高校1年生か、2年生の
教科書の内容です。
ちょこちょこっと教えてあげましたが、
「ボス、すごい数学の力があるんだね」
彼は特に数学が苦手なようでもなく、
普通に入学試験も数学の問題が
あったようですが、
三角関数は全く分からないそうで、
ふーん、そうなんですねぇ。
まあ、カリキュラムがどうなのか、
よく知らないので何とも言えないのですが、
盲目的にインド人の数学能力が高いと
いうわけではないようです。

ただ、ちょっと違うのは、
日本だと小学校高学年ぐらいから、
算数の分野で問題が難しくなってくると、
算数好きがどんどん減っていき、
算数・数学が得意な子以外はみんな嫌いに
なっていってしまい、
高校生にもなると、何に自分が興味がある、
という前に、数学ができるかできないかで、
理系か文系か進路を選択してしまう、
ということが多いと思いますが、
数学がとかく面白くなく苦労して学ぶもの、
と感じる人が多いのに対して、
インドでは先の若手社員の例のように、
数学が面白いもの、できると誇らしいもの、
であるということでしょう。
数学に限らず、理数系の学問に対する
興味や関心が高く、自身のレベルに関わらず、
身につけたい技能として捉えている、
ということでしょう。

付け加えると、インド人の数学者として、
ラマヌジャンが有名ですね。
南インドのクンバコーナムという街で、
ヒンドゥー教のカースト最上位の
バラモンの出身で、貧乏なため気に入った
数式だけを紙に書き留めていた、
という数学者です。
正式な学問を学んでいなかったため、
数式の証明は書いていなかったものの、
3000以上の数式を書き溜め、
彼の数式が全て正しいと証明されるまでに、
死後80年弱かかったといいます。


ラマヌジャンの生家①
ラマヌジャンの生家②


ラマヌジャンの生家③


ラマヌジャンの生家付近の街並み

インド人の数学能力は高いとは言い切れませんが、
数学を含めた理科系の学問に対する
関心の高さ、尊敬の念、そういったものが
インド人の数学はすごいと
思わせているのでは、と思います。

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