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インド人と娯楽#5(IPLはすごい)

インド人が大好きなクリケットですが、
とりわけ人気があるのが IPL
Indian Premier League です。
インド各地に本拠地がある10チームで行われ、
世界各国のスター選手が集まります。
毎年、3月後半~5月後半の2ヶ月で開催されます。

IPLでの年棒(といっても2か月ほどですが)は
スター選手で2億円から3億円、その他、
CMや広告収入などを入れると
20億円を超えると言われています。
まさに、インディアンドリーム、ですね。

IPLの球場風景

IPLでいろいろと面白いのが、そのシステム。
チームは10ですが、試合はホーム7試合、
ビジター7試合、その後のプレーオフ4試合、
しかありません。
試合自体は少ないのですが、
すべての試合が別の時間帯で行われます。
平日は1試合、土日は午後と夜で1試合ずつ。
そう、リーグ全体で平日は1試合、
土日も2試合しかやらないのです。
会場よりも、TVなどでの配信に
重きを置いているわけですね。

試合数を減らすことで、IPLに集まった
スター選手が最高のコンディションで
プレーできるようにし、
また、少ない試合数でも時間を重ねず、
毎日試合を実施することで、
ファンは試合をTVで毎日楽しめ、
リーグ全体の試合を満遍なく
見れるようにしています。
1試合、2試合しかないわけですから、
どのチームの試合も満遍なく見るのです。
日本のプロ野球だと、セリーグは分かるけど、
とか、自分が応援しているチームなら
分かるけど、他のチームは、、が
IPLの場合ないのです。

また、TVや配信に重きを置くことで
いろいろと利点もあります。
コロナ禍だったり、選挙などで国内では
テロ対策が大変な場合は、
なんと、リーグの全試合を
ドバイで開催したり、と、
そんな手がありますか?!と驚きです。

また、タイアップやスポンサーの獲得にも
力を入れて収益を確保しています。


レプリカユニフォーム
商品ともタイアップ

面白いのは、チーム所属の選手ですが、
各チーム前年のメンバーから4名だけを
残すことができ、
残りの選手はオークションで獲得します。
年棒総額は全チームほぼ同額になっています。
先のどの試合も、に絡みますが、
一部のスター選手以外は毎年チームの
戦略で大幅に入れ替わるのです。

日本のプロ野球やMLBでは実績を積むと
FA権を取って、所属チームだけでなく、
他のチームと交渉することができますが、
IPLはチームの中心選手が高額で残留交渉をして、
残りの選手は完全シャッフル。
年棒総額の上限もあり、入札制ですから、
特定のチームに選手が
偏ることもない仕組みです。

シーズンが始まる前から、
どの選手をいくらで残すか、
残りの金額で誰を獲得するのかで、
大盛り上がり。
また、この選手獲得の盛り上がりや、
スター選手が各チームに散らばることから、
クリケットファンはどの試合を見ても
なかなかに楽しめる、となっているわけです。

ちなみに、IPLのTV放映権については、、
2022年の6月に、これまた放映権の
オークションがあり、
インド大陸でのTV放映権を Disney系列の
Star が獲得しました。
金額は 2357.5億ルピー(4000億円強)。
また、インド国内のデジタル放映権を
インドNo.1の財閥リライアンスグループの
Viacom 18 が 2050億ルピー(3500億円強)、
その他、インド以外の世界各国での
TVとデジタル放映権をTimes Internet と
Viacom 18 が105.8億ルピー(180億円程度)
となっており、トータルで、
8000億円程度となりました。

日本ではどうかというと、
サッカーのJリーグは
2017年~2028年の12年間での
DAZNとの放映権料が総額2,239億円。
また、DAZNとプロ野球との契約は公式には
明かされていませんが、一説では、
読売巨人が年間20億円、と言う話も
ありますので、単純に12倍すると
年間240億円の計算です。
こうしてみてみると、インドの IPL の放映権料は
まさに巨額ですよね。

こうした巨額の放映権を背景として、
選手に高額のサラリーを払い、
世界中からスター選手を集め、
また、試合数を少なくして
スター選手を消耗させず、
最高峰のプレーで視聴者を引き付ける、
という好循環を生み出しています。

広告もクリケット選手が多い

昭和時代の接待需要のため、
平日を含め、TV放映に適していない
夕方の早い時間に実施。
会場への入場者を収入の柱とするため、
年間の場所数を増やすことで、
(年6場所 = 90日もやっている)
マンネリ化、とまではいいませんが、
対戦が多く新鮮味が少ない、
優勝の価値も薄くなり、
試合数が多いので、上位力士でもケガがちで、
最高のコンディションで対戦するのが難しい。
その結果、人気が回復せず、
収入も上がってこない、
そんな日本の国技も時代に合わせて
見習ってもらいたいものです。。

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