見出し画像

インドと地域性#2(北と南)

前回のおさらいですが、
インドは人口10億人を超える大国で、
言語も民族も多様です。
そのため、主に言語の観点で州を分けています。
言語州、ですね。
そして歴史的にも、インドを統一した王朝は
存在しておらず、イギリス植民地としてのインド、
しかありませんでした。
なので、インドという統一した感覚も
独立してからのでつい最近、ってことですね。

特に経済的にも人口も多い、
南インドのドラヴィダ系(タミル・カンナダ)の
方と、北インドのパンジャブ系では、
気候風土も違い、趣向も違うので、
全く別の国と言ってもおかしくないほどの
という違いがあります。

分かりやすいのは食事ですが、
これは以前ご紹介しましたね。

北インドは、西はペルシア・ヨーロッパから
北はモンゴルなどの遊牧民から、
何度も侵攻されて来たわけですが、
それにより、外部から様々な文化が伝わり、
文化も民族も影響を受けて来ました。
平野が広く小麦や酪農が盛ん。
派手好きで、原色系のビビッドな色が好き、
豪華で金銀など光り物が好き、
音楽もガンガン賑やかに、と、
いわゆる日本から見た典型的なインド人。

家の中は無数の派手な装飾で飾り、
食器や家具も飾りがしっかり入ったもの、
着る物ももちろんで、アクセサリーも
たくさんつける、とまあ、
そういう趣向が強いですね。
民族的にも、ヨーロッパ系の流れを受けていて、
割とすらっと背が高い人も多くいます。
周辺他民族の影響もあり、
ノンベジ(チキンが中心ですが)の方が多いですね。

一方、南インドは植民地になるまでは
外からの侵略を受けた経験もなく、
(17世紀のムガル帝国の全盛期に、一時期支配下に
なったことがありますが)
昔からのその土地に定着した民族が主で
外部との交流が少なく、伝統的なものを
重視します。
農業も米が多く、広い平野が少ないので
酪農よりはコーヒーや果実の栽培が
多くなっています。

外からの影響が少なかったためか、
昔からの素朴な文化が色濃く、
シンプルにスッキリしたものが好まれます。
家では余計な装飾や飾り付けはせず、
質実剛健の家具、バナナの葉を食器として使い、
食べる物も身につける物も、
あっさり、さらっとしたものが好き。
真っ白服にワンポイントのアクセサリーなど。
体格としてはやや浅黒く、丸顔で、
背が低くてぽっちゃりした人が多い印象です。
また、南インドはベジタリアンの方が
北よりも多いですし、飲酒にも
あまり寛容的ではない雰囲気がありますね。

こうした文化の違いもあり、
北の人が南の人を見たら、何も持ってない貧乏人?
って感じで見えますし、
逆に南の人が、北の方を見ると、
ゴテゴテした悪趣味な人、のように
感じるでしょう。
南北インドの違いをテーマにした映画もあり、
これはインドを知りたい人には必見です。

インドの南と北の地域性はこれだけ違います。
東、西ももちろん特徴はあり、広いインドは
何かとひとくくりにすることは、難しく、
その違いを感じるのも面白いところです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?