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DX経営図鑑

2019年に経済産業省がDX推進指標を発表し、いよいよ日本にもDX時代到来といった様相ですが、海外企業は10数年以上前からDXには取り組み始めています。コロナ給付金交付の遅さには日本のデジタル推進の遅れが露呈したわけですが、幸か不幸かコロナをきっかけに日本のデジタル化もようやく進んでいきそうです。

今回ご紹介する本は、各社から出ているいわゆるDXの企業への導入方法が記載されたノウハウ本、というよりもどちらかというと各社の具体的な事例を集約し、「ペイン(苦痛)」と「ゲイン(利得)」の考え方を分析している内容になっています。様々な業種業態の事例が出ているので何か参考になる事例もあるでしょうし、特に、ペインを取り除く考え方は頭の中が整理されます。

個人的に面白いなと感じたのは飲食の章に掲載されているHEYTEA(喜茶)という中国企業の会社です。HEYTEAはチーズティーという甘いアイスティーや烏龍茶、ジャスミンティーの上にクリームチーズやパウダーチーズが乗っている見た目はまるでビールのようなドリンクが主力製品です。

HEYTEAは中国で火が付き、多くの店舗で3時間待ちの行列ができ、苦情が殺到して、社会問題になってしまったようです。この問題をテクノロジーで解決しようと、スマートフォンで決済し、受け取りが完了する無人店舗を導入しました。ユーザーは既に2000万人を超えているようです。決済が終わっているためレジも不要で、接客は完全なる0です。

このシステムを導入し、空席待ち、レジ待ちをなくすどころか店舗でくつろぐ価値すらなくしてしまっています。代わりにインスタ映えするスポット探しや移動時間にあててもらうため、商品をカラフルでデザイン性の高い商品にすることで顧客におしゃれ体験を提供する戦略です。

これはスターバックスと真逆の戦略です。スターバックスはくつろげる空間を売りにしていましたが、このコロナ禍ではなかなかスターバックスは苦しかったのではないかと思います。中国企業の環境に合わせた事業転換のスピードには感心させられます。顧客の苦痛を取り除いてあげる考え方はとても大切だと感じました。

デジタル化が進む中で、新たな価値が創造できなければ生き残れない、じわじわとそんな時代が日本にも来ているのではないかと思います。世界的にはコロナの終息はまだまだ見えてきませんが、日本はワクチンの接種率がうなぎ上りで上昇してきています。第6波の予測がされていますが、いずれ終息していく中で、従来通りただ商品を並べておけば売れる時代は終わりを告げているのではないかと思います。本当のアフターコロナを考えていかなくてはなりません。

今回もお読みいただきありがとうございました。

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