矜持を繕って仮面を被る若者〜人生初めての海外、ドイツ留学にきて感じること〜
ドイツに来て最近感じることについての将来のためのメモ。
今までろくに作文も書かず、国語も受けてこなかった自分が書く拙い日本語文章ではあるが、15年後に今感じていることを振り返るためにも書き上げたいと思う。
そしてこれを継続することで、鈴木健や松岡正剛のような滑らかな文体でものを書けるようになりたいと思う。
前置き
人生で初めて周りにはほとんど外国人しかいないというInternationalかつ圧倒的に自分がマイノリティであるという稀有な環境に身を置いている状況の中、世界中から集まる学生や教授と話す機会、これこそが自分が求めていた環境である。日々、脱構築的なプロセスでどんどんバイアスや無知な側面に、新しい刺激が入ってくるこのサイクルは、たいへんに自分の知的探求が満たされ、自己実現的幸福を感じる。中でも街の景観や人々の服装、料理や生活スタイルなどどれをとっても新鮮なことばかりで、違和感(広義的意味での)を感じるたびに、何をしているのか、なぜそれをしているのかを尋ねては学ぶ。そんなすごく前向きな粉飾決算的世界の再構成がおきているという幸せな毎日を、周りに恵まれ過ごさせている。これはすごく主観的ではあるが、西洋の人間は政治や宗教、歴史など日本ではしにくいセンシティブなトピックに真剣に議論することを厭わない。
日本で政治やビジネス、宗教の話をすると大抵知らないというか飽きた表情を見せることが多く、最難関の大学に行っている人ですらあまり社会に興味がない。そしてそういったトピックとして称賛されやすいのは否定的態度を取ることである。
例えば『自分はこの政党のこの政策案についてすごく感動しているからここに投票しようと思うんだ。』なんてことを言ったら、おそらくこいつはカルト宗教に入ったのかMLMの末端なのではないかと思われる。
これが全くといっておきないドイツは、こういった面に置いて非常に居心地がいい。かつて落合氏がドイツ人は政治の話しても笑いながら楽しく話してくれるみたいなことを話されていたが本当にその通りなのかもしれないと思う。
この日本の見えないけど存在はしている重い空気は、どこからきているのだろうか。
マズローでいう大衆が欲求階層説の下層に止まっている状況なのか、社会学でのかの有名な社会実験による1990年頃以降からの日本人の若者が少しずつ他者と目を合わせなく立った統計が示すようなことなのか、もしくはソーシャルメディアによる脳のドーパミンスパイク中毒なのか。
正確な理由はわからないが明らかに他者ないしは予測困難な可能性の事象に対する寛容さをいうものがなくなってきていることがわかると思う。費用対効果、コスパ、タイパ、ROI、効率性、インスタ映え。こんな言葉ばかりが先行し資本主義から片足も抜け出すことすらできない状況にある人は増えている。
資本主義の原理を考えるとこの問題は非常に恐ろしくインスタに最適な広告をぴったり簡単に合わせられる個性のない均一化した人間がこのままでは増えてしまいかねない。
日本人の持つ曖昧さがもたらす文化的価値観を持ち合わせている人も減っているように思う。幸い自分はそのようなものを持ち合わせた友人に恵まれているが、意識的な文化的な構造改革でしか様相というものは変え難いだろう。
もっと簡単な例を出すと、友人同士の会話にて『どこどこ行かない?』の提案に対して、『いいね。』の前に『いくらかかる?』『何のために?』こんな質問が起きることがあるとたまに小耳に挟む。その割には恋愛においては、口ではドラマのような出会いを求めているといい、行動ではマッチングアプリに自己を社会の理想像に、カテゴリーやタグを背伸びして近づけ”世間的”に魅力である事を繕う。
そうではなくいかにして非合理的な要素を孕む複雑さを受け入れ、寛容になれるか。そちらの方が明らかに重要だと思う。
ではなぜこんなエラーや誤謬、バグが起きているのか、この辺りについてはまた別の記事で整理したいと思う。
ドイツへの渡航
人生初の海外への渡航。道中では思った以上の質と量の機内食を食べフランクフルトへ。空港ですら思った以上に英語表記がない。そしてGoogle Mapを頼りにホテルに向かうとFrankfult Hbfの駅を出た瞬間。片目がなくて顔がこけ異臭のする男性が、青い注射を持って近づいてきて試さないかと話しかけてくる。明らかにヤバいやつだと反射的に感じて一年分の荷物が入ったかなり重いスーツケースを持って走って逃げた。あれドイツってヤバい国なのか。普通の感覚では間違った国を選んだと思うはずだが、なぜかその時面白い状況であると何だか一年間が楽しみになった。
ホテルをAgoda経由で一番安くて駅近のとこを予約した。インターンや旅行で節約したいときによくやる方法で宿を予約したがこれも間違った意思決定だったことにすぐ気づく。
まず道中ずっと臭い。そして道に横たわっている人にひたすら物乞いされる。早歩きでホテルに着いてパスポートを見せると、何で日本人なのにここに泊まるんだ?とロビーで聞かれる。これが初めての海外でよくわからないから安くて駅に近いところを選んだと説明すると、拙い英語で気をつけろ平和ボケしすぎだ的なことを言われた。なんと寮に移れるまでの三日間もここを予約していた。そして夜遅くに外出しないことを勧められおすすめのご飯屋さんも教えてくれたが、異臭がする青い注射もった人の横を通ってレストランには行けないと思いパン屋でパンを買い込み、薬局で必要なものを買い出した。マクドナルドやコカコーラのロゴの安心感はすごかった。ブランディングやマーケティングが生物学的観点から脳の意思決定をハックすることが重要だという教訓が身をもって理解できた。
そして二日目の朝、金融街をランニングしてみるとテストステロン値マックスの男たちが6時半からスーツ着てコワーキングスペースでMTGしていた。この地域だけのジニ係数を図るとしたらとてつもない数値が出るだろう。
そして安めのコワーキングスペースを予約し作業。スタートアップのエコシステムが整いつつあるフランクフルトはその環境は素晴らしかった。そこであった30代くらいの起業家は作業している自分に頑張れよ的なことを言ってくれた(のではないかと思う)
そして食料の買い出しついでに駅まで散歩すると15人くらいの男が跪き手をあげドイツ警察に拳銃を突きつけられていた。そこには昨日の青い注射の奴がいた。おそらく薬物販売で捕まったのだろう。
そして真横を通らないと、GoogleMapで星の多かったソーセージ屋に行けなかったので恐る恐る真横を通った。警察にものすごく怪しまれたのでドイツに住んでる日本人であるように演じて歩いた。
そんなドラマのようなスタートだったが、今では慣れて最高に楽しいドイツでの生活が送れている。
学んだことは、安全はある程度お金で買えるし買うべき。くれぐれも同じようなことにならないことを祈る。
続編
今回はここで一旦区切り以下のテーマごとにまた書いていこうと思います。
自由主義陣営と社会主義陣営の動き
自己啓発書意味ないのに読んでしまう日本人
国境と移民とアイデンティティ
西洋と日本風アメリカビジネスの違い
リアリティを孕んできた台湾有事
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