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ミロカロスをLv.100にする人生

ポケポケ、やってますか。
僕はやってます。

ポケポケがリリースされたのが10月30日で、自分は11月末に始めた。
インスタのストーリーで皆がこぞって投稿しているのを目にした時は(なんだこれ絶対やらないわ)と斜に構えていた。ApplemusicとSpotifyの今年の振り返りを投稿している人も同じ角度で見ている。何であれって12月になった途端に投稿すんだろうね。普通に年末で良くない?

話をポケポケに戻す。そんな感じで(絶対やんねー)と決めていたのに、11月末に友達のポケポケでパックを引かせてもらったらフリーザーEXが当たり、それがちょっと羨ましくて直ぐにインストールした。
今のトレーナーレベルは20で、集めたカードは700枚。無課金なのに二週間でこれは明らかにやり過ぎている。

ポケポケの面白いところの一つにポケモン自体のレベルが上がらないことがあると思う。GBAやDSでやってたポケモンとは違い、時間を費やした分だけポケモンが強くなることはない。どれだけバトルを重ねようが経験値が溜まることはなくフリーザーEXはずっとHP140のままで、ふぶきの威力は80で、カスミの機嫌次第では容赦なく負けたりする。

同じカードのポケモンには個体差や種族値なんてものはなく、デッキの組み合わせの妙こそあれどポケモンにどの技を覚えさせようかとか、どのポケモンのレベルを先に上げようかとか、そういう育成要素はない。あまり時間をかけなくてもカードさえ揃えば闘えるという点では、ゲームとしてのハードルの低さに繋がっているとも感じる。

自分はGBAやDSのポケモンをガチでやっていた人間ではない。先述した種族値などもワードでは知っているが、厳選(理想のステータスを持つポケモンを探すこと)をしたこともない。ただ普通に好きなポケモンを育てて、ストーリーをクリアして、いつの間にかやらなくなる。そういう遊び方しかしたことはない。

そういった具合に、昔やっていたポケモンとポケポケの違いについて考えていたら、ある一匹のポケモンのことを思い出した。




小学生の頃、同じマンションに住んでいた友達がフライゴンをレベル100にしていた。名前の横に「Lv.100」と書かれたフライゴンはどんな相手を倒しても水色の経験値ゲージが動かなかった。他の友達もガブリアスやエンペルトなど百レベのポケモンを持っていて、それが羨ましかった。

一方、自分の手持ちポケモンは良くてもLv.80前後だった。彼らを百レベにしたい欲望はあったが、そこまでの熱量を注ごうとは思えないでいた。いや、正確には何度か目指そうとしてみたものの、目標の達成に掛かる途方もない時間と労力を想像して諦めていた。

中学生になった自分はBWを始め、そこで一匹のポケモンと出会う。
ミロカロスだ。

ミロカロスはルビーサファイアで出てくるポケモンだが、BWにも出現する。見た目が煌びやかで手持ちに強い水タイプが居なかったので、ストーリーの中盤から使うようにしていた。

ストーリーを進めながらポケモンを育てていく中で、ミロカロスのある異変に気が付いた。レベルが上がり易いのだ。以前から育てている手持ちポケモンに比べて、レベルの上昇幅が全然違う。

気になって調べてみると、ミロカロスがLv.100になるまでの必要経験値が他のポケモンよりも低いことに気が付いた。例えば、当時の手持ちだったエンブオーやケンホロウはLv.100になるまでに105万の経験値が必要になるが、ミロカロスはなんと60万だ。ドラゴンタイプのサザンドラに至っては125万の経験値が必要となる。同じ労力をかければLv.100のミロカロスが二体も出来る計算だ。「百レベのポケモン」という同じ括りであっても育成にかかる経験値は種別によって異なると、この時初めて知った。

そこからは、とにかくミロカロスをLv.100にすることに尽力した。不思議なアメを買ったり集めてはミロカロスに与え、ポケモンリーグやチャンピオンロードを周回した。

しばらくして他のポケモンがLv80前後になる頃に、ミロカロスはLv.100に到達した。このことは自分の中で嬉しい出来事として残っていて、周囲のクラスメイトに自慢したり、同じマンションに住むフライゴン持ちの友達にもわざわざ報告しに行ったような覚えがある。途中で飽きたり諦めたりすることが多かった中で、明確にゴールというものを達成したような、成功体験にも近い思い出だ。




あれから10年以上が経ち、大人になって当時のことを振り返ってみると、今の自分を象徴するようなエピソードだなと思える。

真っ当な努力は面倒なので、したくはない。だが「百レベのポケモンを持っている」というステータスは欲しかった。だから育てやすいミロカロスをLv.100にすることで「俺も百レベのポケモン持ってるよ(笑)」と周囲に自慢したかった。

こんな風に、目の前の目標を達成できる最短の道を探して、出来るだけサボりながら生きて、それっぽい易いステータスを身に纏ってしまうの、当時から今日までずっと変わらない。同じことを繰り返しながら生きている。

必要な努力もせずに大学に合格した時も、流されるように就業した新卒の時も、今の仕事も。格好付けたくて始めた煙草やフィルムカメラ、集め始めたレコードや、訳も分からず書いている小説も、全部気軽に手に入れられるそれっぽいステータスみたいな何かだ。身近な見栄を集めてるペラペラの大人のまま2024年も終わっちまうぜ。どうすんのさ、おい。っていう話です。

あの時、ミロカロスじゃなくて、エンブオーとかサザンドラをLv.100にしてたらもっと本気出せる人間になってたのかなーとか思ったりもして。大人になってからポケモンってコンテンツに触れるの初めてで、そしたら今の自分の薄さを説明できるだけの理由が見つかった気がしたんだよな。

まぁ普通に考えすぎか。ミロカロスは悪くないし、フリーザーEXは強いし、相手の時は表3枚とか出すのに俺のターンでは裏しか出さないカスミは許さないです。はい。

ポケポケでは、明日新しいパックがリリースされるっぽい。
もしミロカロスがいたら使ってみようと思う。



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