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大学を卒業する1週間前まで就活が終わらなかった話【その4】

これは、就活に挑んでいる21卒、これから就活に挑むことになる22卒の学生に対して、僕の経験を伝えるために書きました。


今日は【その4】です。
前回のお話はこちら。


2019年7月

体験入社で『自分のしたいことは何なのか?』という大きい壁にぶち当たった僕だったが、それでも『楽しく働きたい!僕にとって楽しいのはイベントだ!』と盲目的にイベント会社を受け続けていた。

自分にはイベント会社が一番合っていると信じていたし、ここで志望業界を変えることは今までの自分を否定することと同じような気もして、他の業界に舵を切ることができなかった。


7月はイベント会社を2つ受けた。
そのうちの1つは東京の端にある小さめの会社だった。

第1志望群として説明会兼選考に挑んだある日。
オフィス内に足を踏み入れると、デスクワークしていた社員が一斉に立ち上がって

『『『いらっしゃいませ!!』』』

と挨拶してきた。

『マジで無理だな』と思った僕は、説明会が終わった瞬間に帰った。

後でホームページを見直してみたら『毎朝、全員でハイタッチをしています!』と訳の分からない儀式の写真が掲載されており、選考を辞退して良かったと心より思った。


もう1つは、東京の某三井ビルに入っているイベント会社だった。

しかしこの日、僕は場所を間違えてしまい説明会に15分ほど遅刻してしまった。途中入室した瞬間、他の就活生の『こいつには勝ったな』と言いたげな目が刺さる。あの冷たさは一生忘れないだろう。


僕は一人寂しく端の方で話を聞いていたのだが、説明会終了後に採用担当の女性の方が個別に会社説明をしてくださった。

だが、説明途中に好きなバンドが同じことが発覚し、会社に全く関係ないところで盛り上ることになる。その方と仲良くなり過ぎた結果、別れ際にエレベーターホールで『絶対また会おうね!』と卒業式を終えたばかりのクラスメイトの距離感で握手をされた。

僕は恥ずかしがりながらも、またこの人と会う気がする……そんな予感を胸に抱き、浮かれた足取りでオフィスを後にした。

しかし僕はESで落ちてしまい、それ以降その方と会うことは無かった。


2019年8月

2018年の8月は『夏!海!君と夏フェス!!』と最高の夏を過ごしたのだが、2019年は『夏!スーツ!僕と就活!!』と現実と不安がごちゃ混ぜになった夏だった。

この時期になると周りで就活をしてるのが僕くらいになる。

6月くらいに「お前なら大丈夫だよ~!ハッハッハ~!」と笑っていた友人が、気を遣ってか就活の話をしないようになった。バイト先のパートさんやサークルの後輩なども、僕の就活の話になるべく触れないようにしてくれていた。

その心遣いは非常に有り難かったが、僕としては「周りの人に気を遣わせている事実」が申し訳なかった。とにかく自分が情けなかった。

就活は周りからのプレッシャーがキツい。実際、本人たちにその気は無くても「就職どうなった?」と聞かれる度に精神的に参っていた。


この頃の僕は『もしかしてイベント会社向いていないのでは……?』と、やりたいことなのに自分に向いていないというジレンマに陥ることになる。


自分のやりたいことなのに、向いていないというジレンマに陥ってしまった僕だったが、時期も時期だったのでそれについて考えている時間は無かった。

これを読んでいる就活生の方には、自分のやりたいこと自分に向いていることは必ず一致するわけでは無いことを知っていてほしい。その上でどちらを優先するのか?あなただけの答えを導いてほしい。


当時の僕は『イベント会社は向いてないかもしれないけど、諦められない。似たような業界を受けよう。』と結論付け、マーケティング業界を受け始めた。

マーケティング業界のことは良く知らない上、特別興味があったわけでは無い。
しかし、体験入社先のイベント会社の方に『イベントとマーケティングは似てるよ』と言われたことにより、マーケティング業界を受けるようにしていた。オファーボックスの第1希望もマーケティング業界にしていた。


もう8月ということもあり、僕はかなり焦っていた。
オファーを頂いた企業や、就活エージェントに紹介された企業の選考に片っ端から参加していた。以下ダイジェストである。

A社 
人材やWEBマーケティングを扱っているベンチャー オファーボックスにて

志望度0で挑んだ上、1次選考のGDもうまくできなかったのに通った。
1次を通過した訳を聞きたくて2次選考に挑んだ結果、あらゆる質問の回答に対して『なぜ?どうして?』と何度も詰問されて苦しかった。

その場で不合格という結果を言い渡されたときは驚いた。だが「考えられそうな視点は持っているのに、行動が伴っていない。勿体無い。」といったようなフィードバックを詳しく教えてくれたので、良い経験になったと思っている。

B社
デジタルマーケティング会社 オファーボックスにて

最初の2、3年は必ず営業をやらないといけないらしく、そこが懸念だった。1次選考は通過したが、2次選考で「君本当は営業やりたくないでしょ?」と急に突っ込まれ、正直に「はい」と答えたらその場で面接が終わった。なぜかスモーカーさんを思い出した。

Z社
人材サービス会社 就活エージェントにて

就活エージェントに紹介された企業だったが、募集職種がBtoCの全国転勤の営業だったので選考を辞退した。
アンケートくらいはしっかり答えようと思い『喫煙者である』に〇をして提出したら、後日就活エージェントからこんなメールが届く。

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僕が選考の辞退を希望したのに、なぜ会社側が不採用にしたかのような書き方をしているんだ?そして喫煙者なだけで不採用になる就活があっていいのか?と色々理解ができなかった。一言で言えば『ヤバすぎて草』だ。

匂いが臭いだのタバコ休憩のせいで作業効率が下がるといった言い分なら理解できる。しかし、何の説明も無しにメールのみで伝えてくるのが気に食わない。マイナビの採用ページに『喫煙者は採用を見送らせていただきます』とでも書いておくべきだ。ていうか多分社内に喫煙者いるだろ……。

今でこそネタにできるが、当時はこんな会社があるのかと結構ショックだった。これが志望度の高い企業じゃなくて良かった。


2019年9月

9月。そろそろシャレにならない時期だ。

プライベートではBBQに夏フェスにゼミ合宿と学生最後の夏を満喫していたが、来年のことは何も決まっていない。

みんなと遊んでいる時も、バイトをしている時も、飲み会で顔を真っ赤にしている時も、頭の左上の方の「で、お前来年からどうすんの?」という現実の声が離れなかった。

夏フェスで好きなバンドに体を揺らしていても、飲み屋の便器とにらめっこをしていても、その言葉はずっとずーっと離れなかった。


このあたりで『音楽業界やイベント会社に行きたい』『楽しいことを仕事にしたい』だった就活の軸が、『選択肢があること』に変わる。

とはいうものの、『自分のやりたいこと』が分からない以上は動機づけが出来ないし、『結局やってみないと分からない』というのが当時の結論だった。

なので、もし自分が向いていない職種に配属されたとしても、会社の中で別の仕事が出来るのか、他の選択肢が用意されているかを軸に会社を選ぶようになった。


9月は6つの企業を受けたが、特に印象に残ってるのは2つだ。

1つはマーケティング会社だ。独自の広告運用コンテンツを所持しており、マーケティングそのものというよりも、マーケティングにおける広告分野の運用をビジネスとして扱っている会社である。


そんな会社から送られてきたメッセージがこちら。

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僕の頭の中のノブが『小泉進次郎みたいにすなぁ!』と言ってしまいそうな文面だ。隣の大吾も『言語化という言葉を昨日覚えたんか?』とツッコミを入れている。


こんなメッセージを送ってくる会社であったが、採用担当者の雰囲気やマーケティングという分野に惹かれていたこともあり、志望度は高めだった。

しかし、「やってみないと分からないので、とにかく経験させてください」という志望理由を突き付けたところ、「もしやってみてダメだったらどうするつもり?」と優しく諭された。2次選考でお祈り。


もう1つはゲームやインターネット広告、広告運用のなどのウェブサービスなど、幅広い事業を扱っている会社だった。
ESを通過した時は嬉しかったし、何より会社が扱っている事業に幅があるのが良かった。

1次選考で「自分の可能性を広げるためにも、様々な事業を取り扱っている会社を探しています」とお話したところ、人事の方の共感を得ることに成功する。

1次選考はすんなり通過した。
僕はこの会社にすべてを賭け、就活を終わらせることを決意する。


そして続く10月。
22歳の誕生日を迎える僕に、忘れられない事件が起こる。


その5へつづく、

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