雲の上のまち:高知県梼原町
投稿者:文生堂 片山豪
代表の佐藤和歌子さんは「森林」を愛している方ですが、和歌子さんにも負けず劣らずの人が溢れる、とある町の紹介です。
―高知県梼原町。高知市から西に、1時間半ほど車を走らせたところにその町はあり、標高が高いことから「雲の上のまち」と呼ばれる、自然資源に溢れた場所です。
縁あって、この町に置くベンチデザインの依頼がありました。初めて足を踏み入れた時の、あの衝撃は忘れられません。瑞々しい木々、雄々しく積まれた木材、そして何より、住民の方々の木に対する誇りと熱量に、稲妻が走りました。
実はこの町、今でこそ木質建築の代名詞となった隈研吾の、その作家性の源泉となった場所でもあります。「ゆすはら座」や「雲の上のギャラリー」に始まり、近年では「梼原町立図書館」と言ったように、現在まで続く隈建築への転換点がこの町にあります。
生意気ですが、そこまで影響を受ける気持ちがわかる気がします。
どんなに美しく建築しても、その建築を愛で続けてくれる人がいないと、社会的・環境的な循環から外れ、死んでしまいます。建築家は、この「環」をデザインすることも使命の1つですが、簡単ではありません。
しかし、この町には、そんな「環」の「土壌」が根付いています。「自前の資源を活用して建築し、壊れれば直し、使い倒していく」という、当たり前のことが、当たり前にできていない現状にとって、この町の思想は、建築の明るい未来を体現しているように感じました。
確かに、惚れます。
私にとっても、大きな契機でした。みなさんも是非、訪れて、肌で感じてみてください。
次回は、そんな梼原町と向き合ったからこそ生れた、「XX bench」について記します。