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映画『灼熱の魂』 元気な時にぜひ見るべし
【映画おしゃべり第3本目】
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『灼熱の魂』は、2010年のカナダ映画でございます。
監督はドゥニ・ヴィルヌーブ。
正直、ひじょーにすばらしい映画です。
ワシは見た後、しばらく床にひれ伏しましたよマジで。
ここまで作り込む体力&知力&技術に敬服。
ストーリーはシンプルにいうとこんな感じです。
カナダに住んでいる双子の母が死に、遺言状が渡されます。
そこには、「父と兄を探して、母の手紙を渡せ」という内容が。
そして双子は母の故郷へと旅立つ——というものです。
で、構成としては
・現代パート(双子が主人公)
・過去パート(母が主人公)
という二部構成で(もう一つ視点が入るのですが、これはナイショ)、
これが交互に現れて「父と兄って誰?」という
ミステリ仕立てのメインストーリーを軸に、
中東での凄惨な内戦が描かれます。
ドシリアスです。画面も、ずっと曇り空って感じの色合いです。
表現はとても上品なので、暴力シーンで過剰な暴力をみせる、
要するにスプラッタなシーンほとんどありません。
しかし【過剰な暴力があったこと】ははっきりと示唆されます。
正直言葉を失います。
ドキュメンタリーではないので事実ではないかもしれません。
でも「これは事実の一部だな」と感じます。
事実の積み重ねがこの「フィクションを作った」のだな、と。
だから見ていてヒジョーに心が痛みます。
もうね、途中で見続けるかどうか、悩んだくらいに。
しかし。
この映画の本当に上手&すばらしいところは、
メインストーリーの「父と兄って誰?」という謎が、
少しずつ、少しずつ姿を現してくるんです。
最初に兄という存在が。
そして父という存在が。
その隠し方、その見せ方が本当にうまくて、
最後にそれが全部いっぺんにバン!とはじける瞬間は、
ひいっ!と声が出たほどです。
正直、「癒し」なんていう言葉からは100光年くらい離れた映画です。
観たらこちらも傷を負う映画。
でもその価値がある、
それだけのエネルギーと理由が詰まっている映画です。
見るだけで傷を負える映画、なかなかないですよ。
【おススメ鑑賞法】
夜、静かな部屋でぜひお一人で。飲み物は暖かいココアか、ウィスキーで。