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2024年の観劇・ベスト10(+勝手に各賞)

1/6の『ウィキッド』から12/30の『レ・ミゼラブル』まで、観るも観たり、80演目のべ104公演。
その中でとくに印象に残った10本を選んでみました。
(基本的に新作・新演出。同じ顔ぶれでの再演・ロングランは除く。上演順。個人名は敬称略)


『パートタイマー・秋子』(二兎社)
面白いのに切なくて、最後にはグサッと。倫理観が問われる今だからこそ刺さる上演。

『中村仲蔵〜歌舞伎王国 下剋上異聞〜』(ホリプロ)
歌舞伎俳優が多数出演のテレビドラマ版に比してどうなるかなと思ってたけれど、エネルギッシュで鮮烈!

『インヘリタンスー継承ー』(東京芸術劇場)
『エンジェルス・イン・アメリカ』以降、世界は変わったか? 前後編で1日がかりの大作でしたが、身じろぎもせず一気観。

『スプーンフェイス・スタインバーグ』(KAAT神奈川芸術劇場)
《肝心なのは私が死ぬっていうことじゃなくて、私がまだ生きてるってことなのーーそして、私が、みんなを輝かせることができるってこと》
Wキャストでそれぞれまったく違う「火花」を生み出したカンパニーに拍手。

『デカローグ』(新国立劇場)
隣人の愛と人生を想う10の物語。見終わった後、初台から新宿まで歩きながらすれ違う人の顔を見る時間がとてもよかった。とくに1、3、10が好み。https://www.nntt.jac.go.jp/play/dekalog/

『王様と私』(東宝)
倫理観のギャップを超え、古典(的傑作)のよさを伝えた新演出。セットも衣裳も音楽も贅沢な上演。

『ゴースト&レディ』(劇団四季)
今年のNo.1。スケールもクリエイティブも、世界に問える一作になると思う。

七月大歌舞伎『裏表太閤記』(松竹)
46年ぶりの上演。エネルギッシュな若手を揃えて楽しさてんこ盛り。花道横で観られて眼福。

『三人吉三廓初買』(木ノ下歌舞伎・東京芸術劇場)
これも一日がかりの大長編。台本を読んで、巴白浪と廓話を人生の裏表にした河竹黙阿弥って天才!と今さら。

歌舞伎NEXT『 朧の森に棲む鬼』(松竹)
歌舞伎役者ってすごいなぁ。底力をガーン!と見せつけられた思い。


年間ベスト1は、『デカローグ』『三人吉三廓初買』と迷って、『ゴースト&レディ』に。次点は来日版『RENT』に差し上げたい。
https://www.youtube.com/watch?v=QgQy5h-7viU&t=31s


再演・残念賞・見逃して残念だった作品も。

再演賞(ロングラン含む)

『Le Fils 息子』(東京芸術劇場・『Lα Mare 母』と同時上演)
進展目覚ましい岡本圭人。若村麻由美さんと組んだ『ラヴ・レターズ』のアンディもよかった。
ほかに、ともに藤田俊太郎演出のVIOLET(梅田芸術劇場)、天保十二年のシェイクスピア(東宝)も新しいカラーに塗り替えられていて見応えあり。

残念賞

錦秋十月大歌舞伎『源氏物語 六条御息所の巻』(松竹)
私が紫式部だったら墓から出てきて呪うレベルの改変。美しければいいというものじゃない。


見逃して残念賞

『ハムレット』(ホリプロ・彩の国さいたま芸術劇場)①
『ケエツブロウよ 伊藤野枝ただいま帰省中』(劇団青年座)②
『この世界の片隅に』(東宝)③
『白衛軍』(新国立劇場)④

①演出家で警戒せず観ておけばよかった柿澤ハムレットの熱演。
5月は仕事でぜんぜん時間がなく、②、③を観られなかったのは本当に心残り。
④観るべきなのはわかっていたけれども、同じく時間的余裕がなく断念。のちに読んだ岩崎MARK雄大さんのツイート(https://x.com/yudaimiwasaki/status/1870034180543049846)には考えさせられた。観客の時間も資金も有限な中、どうバランスをとっていくかは上演側にも観客にとっても大事な課題。


さらに勝手ながら、個人賞も。

主演女優賞
沢口靖子(『パートタイマー・秋子』秋子)
無敵の「姫」感がラストのやるせなさに。

主演男優(幽)賞
萩原隆匡(『ゴースト&レディ』グレイ)
歌、ダンス、演技の三拍子揃った天下一品の幽霊! お茶目でセクシーなのもいい。

助演女優賞
木村花代(『王様と私』チャン王妃)
主人公と好対照の高貴さ。「Something Wonderful」が絶品。

助演男優賞
池田成志(『中村仲蔵〜歌舞伎王国 下剋上異聞〜』コン太夫)
助演は「その人を観るためだけにチケットを増やせる」かどうか。終盤の語り、毎回圧巻だった。

新人賞
北村一輝(『王様と私』王様)
50代で初ミュージカルながら、公演終盤はオケと駆け引きするまでに。いくつになっても挑戦は可能と教わった。

Wキャスト賞
片桐はいり・安藤玉恵(『スプーンフェイス・スタインバーグ』スプーンフェイス・スタインバーグ)
神の誕生を見届けるラストと、親しい友達を見送るラスト。どちらも最高。

バディ賞
田中俊介・須賀健太・坂口涼太郎(『三人吉三廓初買』和尚吉三・お坊吉三・お嬢吉三)
若い命の熱気と切なさと儚さを3人で存分に体現。代役の坂口さんがとくに光ってた。

カムバック賞
横田栄司(『オセロー』オセロー)
おかえりなさいませ。本当によかった。

観客(の熱気)賞
神田祭(二月大歌舞伎)&ムーラン・ルージュ! ザ・ミュージカル(大阪公演大千穐楽)
歌舞伎座の空気がピンク色に&プレショーから屋根が吹っ飛ぶほどの熱気。

スタッフ賞
有村淳(『王様と私』『リア王の悲劇』『ヴェニスの商人』の装)
年間最優秀うっとり賞。

脚本(脚色)賞
高橋知伽江(ゴースト&レディ)
青年誌掲載の原作コミックを現代女性の生きづらさに繋げて普遍的な物語に。

演出賞
スコット・シュワルツ(ゴースト&レディ)
優れた演出家は言葉や文化の壁なんてものともしないのか。東京公演終盤の客席で「♪心の羅針盤~」のフローと一緒に体を揺すっていた姿に胸熱。


コロナ禍で中止になった演目も、今年でほぼ出揃ったのかな? 来年以降は複数の劇場の改修や建替えがあり、観る場所もずいぶん変わりそうですが、それでも、どんな出会いがあるか楽しみです。

#観劇録
#2024年振り返り


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