小さな世界 #2 【おばあちゃんの背中】
昨日から突然思い立ったように自分の小さい頃のことを書き始めた。
別に書きたいこともあったが、うまく言葉にできず、気づけばまた昔の記憶をたどっている。
今日は朝から雨が降っていた。
晴れていても、雨が降っても子どもたちは元気だ。毎日同じテンションで接してくれるから、こちらも自然と笑顔になる。
雨が降る庭を見ているとまた呼び起こされる記憶があった。
おばあちゃんとの思い出だ。今年90歳になる。
おばあちゃんとの思い出
両親が共働きだったこともあって、小さい頃はおばあちゃんとずっと一緒にいた。
幼稚園の送り迎えもおばあちゃんだ。
毎日、自転車の後ろに僕を乗っけて、おばあちゃんが幼稚園と自宅を行き来してくれていた。
田んぼを横に見ながら、自転車をこぐおばあちゃんの背中の記憶がある。風を切りながら走る自転車はすごく楽しかった。
多分、今日みたいな雨の日もあったはずだ。そんな日はカッパを着て、自転車をこいでくれていたんだろうか。
頭が下がる。
家に帰ってもおばあちゃんと一緒に過ごした。
天気のいい日はおばあちゃんと一緒に畑に行って、僕は虫取りをしたり、草むしりをする。特に草むしりはむちゃくちゃ得意で、延々やっていられた。
おばあちゃんは、夏は蚊取り線香を腰にぶら下げて、麦わら帽子をかぶっていた。
蚊に刺されるといけないから、離れすぎず、農作業のじゃまをしないような距離感にいるのがポイントだ。
雨の日は家の中でジグソーパズルだ。
物心ついた時には既にパズルが好きだったが、3歳の時には300ピースを一人でやるくらいの神童だったらしい。
今ではその面影もなく、賢さのピークを僕は3歳で迎えてしまった。
小さい頃から怒られた記憶はまったくない。
かと言って、何か特別なことを一緒にしたという記憶もない。
日常に溶け込むように、おばあちゃんとの時間があった。
自転車の後ろから見た姿、畑で作業する姿、家事をする姿が蘇ってくる。
たくさんのことを背中で教えてくれていた。
残されている時間は長くない。僕に何ができるか。
一回でも多く実家に帰って顔を見せることくらいだろうか。そう考えると泣ける。
(つづく)
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