0147「ファクトリー」
わたしの妹は工場員で
あいさつとシュシュと
電球の色とマツタケと
螺旋階段と改札と
首輪と菜箸と
CANMAKEと白い巨塔と
ラバーダムと森山大道と
えんぴつと水銀と
破片と本体と
汗とオリジナル・グレーズドと
幸せと不幸せに
頓着がなかった
ぬるいビールと濃い刺身
コピー紙とタバコ
ジェネリック暴力と(しての)善意
を好み
さ
さやけばささ
やくほどよく笑い
端的になめろう
と注文した
ひとついやふたつ
あとでおしぼりもおねがいします
生 とりあえず
ひとついやふたつ
以上で あー以上で
はいおつ
かれさまでした
それをわたしはよく眺め
コロッケの全盛期について
講釈を述べる
なにをしているのだろう
どうしてこんな場所で
こんなことをしているのだろう
加減と程度のごちゃまぜの
言葉しか知らない土地で
ひとりにされ
腹を抱え
うずくまり
白磁の便器に座り
ひどい嵐
ヴィブラスラップが鳴っている
鳴っている
まだ終わらない鳴っている
だから待
っているボタンを押す人が来る
例えるな 遅れて
カトラリーが来る注がれた
牛乳の静けさ
愛読者の嘆き
後光さすカナリア
なくならよくひびく場でなけよ
名前は大切、、、よく出歩くのならなお、
真面目にわらうところじゃないだろ
もっと素早くはなしてみよう
しばらく真実味が前面に出て
振り向いたら工場はずいぶん遠い
透明は黒かも
未明ほど遠いのかも
ニホンオオカミはまだ
いるのかも
雲紋雀の安ら
ぎの顔
新しくしてくれよおしぼり
まだ
ですか
頼みました
通ってませんか
じゃあキャンセルで
わたしの妹は工場員で
幸せと不幸せに
頓着がなかった
たこ焼きの
半球と半球の境目
を
好み
来賓が転び
よく笑い
手を貸し
立ち上がりがてら
完璧な物事を語った
それをわたしはよく眺め
眺め、眺め
(鳴っている
まだ終わらない鳴っている
だから待)て、
あなたは誰なんだろう
と考えている