男と女のあいだには
最近、ジェンダーレスとかルッキズムとかブロッコリーとかよく耳にします。
その思想や理念には共感するし、公平で皆が住みやすい社会になれば良いなぁ心底思います。
とは言え昭和のおじさんだから、前回の記事にあるように「バニーちゃん」なんて発言をうかつにしたりしますが。
まぁ「昭和」を免罪符にするつもりはないんだけど、ちょっとエッチな女の子は好きです(きっぱり)
そろそろ終活モードなんで回顧的な記事が多くて恐縮なんだけど、老人のたわごととしてお付き合いいただきたい。
最初に入った会社は5年務めて転職した。
次の会社も今思えばブラックだった。
楽しかったけどね。
毎日が学園祭の前日みたいで。
ただちょっと知名度のある300人規模の会社だったから、グレードアップではあったんだろう。
折しもバブル真っ盛り。
はじける直前だったから、仕事だけはひっきりなしに来た。
広告制作の部署だったから2徹、3徹当たり前な生活で、朝方家に帰ってシャワー浴びてすぐ出社なんて事も普通にありました。
そんなだから離職率も高くて、総じて若い社員が多い会社でした。
中途採用組なんで年齢的にはお兄さんだから、しばらくするとチームリーダーになった。
5人くらいのチームだったと思う。
メンバーの一人に前職が風俗情報誌編集部勤務ってのがいた関係で、そっち方面の情報入手は早かった。
どうやら歌舞伎町に、女の子が下着姿で接客してくれる新機軸なお店がオープンするらしい情報をキャッチ。
今でこそランジェリーパブとして定着しているが、当時としては鼻の奥がツーンとするくらい衝撃的だった。
しかもだ!
そいつが店長と知り合いとの事で、初動の客入りを心配した店長が、初日に限り俺たちを半額で招待してくれた。
いわゆるサクラ要員ですな。
仕事は毎日キツかったんだけど、メンバー全員「頑張ればランジェリー!」を合言葉にいつも以上に精を出した。
デスクに「ランジェリーまであと何日」なんて宇宙戦艦ヤマトみたいに紙を貼りだす奴も出る始末。
同じ部署には女性社員もいたんだけど、みんな寛容で「頑張ってくださいね!レッツ・ランジェリー!」なんて応援してくれたりして。
さて、待ちに待ったオープンの日。
19時オープンだから、20時くらいまでには着きたいよな!なんて談笑していると、暗い顔をした営業が悪い予感と共に現れる。
クライアントからの急な要請でイベントで配布するパンフレットに大訂正が入った。
皆がランジェリーパワーで頑張って午後一には校了して戻したばかりなのに。
まだDTPなんて導入される前だから、印刷会社から原稿取り戻して版下からやり直しだ。
納期から逆算すると、遅くとも明日の朝までには再入稿しないと間に合わない。
人はこんなにも落胆するものなのかというのを、この時初めて目にした。
後にも先にもこの時ほどのガッカリっぷりは見たことが無い。
基盤を抜かれて停止するHAL9000みたいに瞳の光が消えていった。
見かねた女子社員なんか、私ので良ければとボタンに手をかけるも誰も反応しない。
俺はちょっと反応したけども。
店の営業は23時?24時には終了だろう。
今から頑張ってもその時間まで終わる気配もない。
印刷会社から原稿がバイク便で届くのも何時になるかわからないし。
こんなモチベーションでやっても時間もかかるだろうし、ミスも怖い。
うーむ。思案のしどころだ。悩む。
「お前らさ、これから頑張ってギリ終電で帰るのと、ランジェリー行って徹夜するのとどっちが良い?」
「ランジェリー行きたいっす!」
即答だった。
一筋の光明を見出した彼らの瞳に炎がともる。
現金な奴らだ。
よし!行こう、ランジェリー!
事務所から歌舞伎町までそれほど距離は無かったから歩いて向かう事にした。
繁華街の喧騒が近づくにつれてテンションも上がる。
「いやぁ、リーダーホント男っすね!」
「リーダーの部下で良かったぁ」
「俺が女なら抱かれてますよ!」
「レッツ、ランジェリーっ!」
しかし就業時間中にランパブなんてよく決断したなぁと今は思う。
今の時代ならコンプラ違反で懲戒ものだよな。
まぁでもおかげで翌朝には無事再入稿できたので良しとしよう。
でも、仕事の事が気になりすぎて、ランジェリーは全く楽しめなかったのはここだけの話だけどね。
ジェンダーで不当に差別されるのはなくすべきだけど、女性には男を奮い立たせるパワーがあるんだと思う。
それぞれを尊重しつつ、役割分担はあっても良いと思うんだよな。
だってさ、男の下着姿じゃぁこうはいかないでしょ。
レッツ・ランジェリー!