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本宅には本宅のよさがある

シェアハウスでひとり暮らしをしているタナカアキです。
前回、私が住む家の隣にある五兵衛邸について紹介しました。

私が最初、ここに住み始めたとき、五兵衛邸にはまだ誰も住んでいませんでした。田舎の街の子だった私には静かすぎる環境で、少しだけ怖かったです。
ときどき徒歩1分の距離にある本宅に行くのですが、夜中に帰るのはけっこうドキドキでした。聞いたことのない動物の鳴き声がしていたり、近所は寝静まって真っ暗だったり、家のドアにたどり着くまでに木々や雑草をかき分けなくてはいけなかったり(ちょっと大げさ)。

けれど、誰かに会いたければ本宅へ行くしかありません。だって五兵衛邸は空っぽなんだもの。
仲よかった住人がいた時期には、足繁く通っていました。週に半分くらいは本宅でごはんつくって食べて、明け方までおしゃべりして飲んで。

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本宅は、いつから誰が本宅と呼び始めたのか定かではありません。たぶん家主が住んでいるから本宅ではないかと。(想像)
五兵衛邸同様、本宅にも果樹があり、今年は住人のみくちゃんが桃かなんかに袋をかけていました。大きくなった頃、この辺を猿が通過。まだ色づかない実を全部食い散らかしていきました。せっかく袋をかけたのに。

甘柿の木もあるので、晩秋になるとクマが来ないようにできるだけ実をとらなくてはなりません。たぶん知らない人は「そんな大げさな」と言うでしょう。でも、本当にこの近所にクマが出るんです。五兵衛邸の栗の木から落ちる子グマを、住人は目撃しています。

それなのに、私は昨年9月、深夜に道路で寝てました。
本宅でしたたかに酔っ払い、すっ転んでそのまま道路で10分20分熟睡。目覚めたけれど、まだ酔っ払っていて、5mくらい進んだところで再び転び、熟睡。そんなことを繰り返して、洋館に帰り着きました。翌朝見るとあちこちケガしていて、服が血まみれでした。酔っぱらいあるある。

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その数日後、その近所にクマが出たと回覧板が回ってきました。もしタイミングが悪かったら、クマと遭遇もしくは襲われていたかもしれません。
にもかかわらず、まだ夏の暑さが残る夜だったこともあり、道路のひんやりした感触も悪くない、また道路で寝たいなぁなんて思っていたりします。

本宅には家主がいるため、家主の友だちは本宅に泊まり、本宅で宴会が開かれます。「飲み会 会場:森んち 持ち寄り制」、ここに住んでる2年間で何度目にしたことでしょう。
人が集まるのは今も変わらず、家主や住人と交流のある人たちはやっぱり本宅を訪れます。先日、ピザを持ってきてくれた人がいて、私はスパゲッティ・ナポリタンを、しもけんはカレーを持ち寄り、みな腹一杯。なのに、なぜか超大型案件のミーティングしながら1.3キロ分のハンバーグのタネをつくり、23時すぎまで焼き続ける人が現れ、わらわらと集まった住人と仲間たちはできあがると同時に食べまくり。みんな、よく食べるなぁ。

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昔ながらのモリハウスを楽しみたい人には、やっぱり本宅をおすすめします。家主が旅立つ前と変わらず、自由でおおらかで小さな優しい世界。
なにも否定されない空気感が好きです。逆に、私が批判しても、それもありと言ってくれる心の広さ。
ハンバーグをつくる客人。畳に寝そべってFacebookライブを見る私。ハンバーグを待ちわびる人たち。廊下でラジオを録音する人たち。それをにこにこしながら見ている人。ひたすら焼きおにぎりを作り続ける人。

もちろん、本宅と五兵衛邸は別物ではありません。本宅でごはん食べようとなれば五兵衛邸から人が来ますし、五兵衛邸でごはん食べようとなれば本宅から人が向います。
そして、そんな交流の中に私はいません。自由気ままが好きなので、行きたくなったら行くけれど、行きたいと思わなければいかない。
だけど、本宅の人たちも五兵衛邸の人たちも、そんな私をそのまま受け入れてくれています。ありがたやありがたや。

もうすぐ5時。もう目を開けていられないので終わりにします。眠い。

  

  

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