しゅごキャラ!感想(こころのかたち)
しゅごキャラ!を51話まで観たので、その感想を書きます。
過去の感想
キャラなり アミュレットダイヤ
シーズン1後半の中心といえば、あむちゃんの新たなしゅごキャラ!ダイヤの存在でした。
シリーズ前半は、心にバツが付いた人とあむちゃんの構図があり、その人の心に焦点をあてていた一方で、ダイヤ編に入ってからは、あむちゃん自身の心の動きにフォーカスした描写が印象的でした。
そして、その物語の一つの到達点が、43話でのダイヤとのキャラなりのシーンだったように思います。
これまでにも、あむちゃんの真っ直ぐな言葉に胸を打たれてきましたが、このシーンはまた格別でした。
それがあむちゃん自身への言葉だったからかも知れません。
バツたまを浄化するときに、自分だって皆が思っているほど立派な私じゃないよ、と語りかけてきたあむちゃんが、自分自身と正面から向き合った言葉。
自分の可能性を自分が信じてあげること、傷ついてもまた前を向くこと、それがなりたい自分へと繋がっていくこと。
それは、誓いにも似た強い決意、あるいは覚悟のようにみえました。
覚悟。
自分の可能性とそこに立ちはだかるであろう障害を天秤にかけて、それでもなお前に進むことを決めたこと。こういう瞬間の煌めきはとても眩しくて、力強いものがあります。
まさにダイヤモンドのような、一つの結晶みたいなシーンでした。
〇も×もつけさせない
しゅごキャラ!のメインストーリーはダイヤや歌唄との決着の時点で、ある程度終わったものと思っていて、最後のエンブリオのお話は、次のシリーズ「しゅごキャラ‼どきっ」への導入のようなものだと感じました。
本題はそこではなく、ダイヤ編終了とエンブリオのお話の間に挟まった単発のストーリーについてです。
しゅごキャラ!序盤を思わせるような個々のストーリーにもグッとくるものがありました。
45話の「がんばれ!誠一郎!」がその一つで、しゅごキャラ!を象徴するようなエピソードだと思いました。
誠一郎といえば、第1話以来、あむちゃんのファンを公言している名(?)脇役ですね。
そんな彼が主役として活躍したのがこの回。
合唱コンクールを前に、自分の夢に対して自信を失くしてしまった畠中さんに対して、誠一郎が叫ぶ。
僕の夢は、他の誰の夢でもない僕の夢なんです!僕の夢が一番なんです!
あむちゃんでもなく、ガーディアンの誰でもなく、誠一郎からこの言葉が出てきたことにとても価値があるように思いました。
またその姿は、1話以来あむちゃんからのメッセージを受け取ってきた自分のなりたい姿のようでもありました。
自分の夢を自分が信じてあげなくて、誰が信じるのか。その強いメッセージはOP曲「こころのたまご」にも託されていました。
こころのなかにあるたまご(中略)〇も×もつけさせない
×だけでなく、〇も他人の手には委ねない、自己の強さを感じます。
つくづく、しゅごキャラ!という作品は自分の気持ちや思いを大切にしているのだなと。
こころのかたち
初めてしゅごキャラ!を観たときから「なりたい自分」というキーワードに導かれて、ここまでやってきました。
最初は、それが夢とか目標といったもののみに繋がっていると思っていましたが、話数が進むうちにこの作品はそれだけでなく、もっと広い視野から「なりたい自分」を捉えていると感じたのです。
何も夢や目標を向かうことだけではなく、自分の中にある伝えたい気持ちや感情であったり、あるいは言葉にすることが難しい心の揺らぎであったり、そうした心の在り方に目を向けて、正面から向き合うこと。
それがつまり「なりたい自分」へと繋がっていくのだと。
恋愛や友情、家族との関係においても心は常に動いていて、その中でどんな想いが生まれて、迷って、傷ついて、立ち直っていくのか。
海里や、りまの葛藤はまさに、そういう心のゆらめきを映し出してくれていたのだと思っています。
また、それらの感情は誰にも見覚えのあるもので、リアルな手触りのあるものとしてメッセージを投げかけました。
だからこそ、それが自分のこととして感じられ、心に深く突き刺さったのだと感慨深く思います。
こころのかたち。
しゅごキャラ!を観ていて、こういう言葉が思い浮かびました。
色々な場面や関係性を描き出して、心の様々な側面を映し出そうとしたのが、この作品なのかと。
そして、その最たる例が夢に向かう自分であり、その象徴がしゅごキャラ!だったのかなと思い至りました。
こうしたことを、魅力的なキャラクターとストーリーで魅せてくれるしゅごキャラ!は本当に良い作品だなとしみじみ思います。
おわりに
今年は作者のPEACH-PIT先生の画業20周年だそうで、このタイミングでしゅごキャラ!を視聴していることに不思議な偶然を感じているところです。
dアニメストアで、シーズン2にあたる「しゅごキャラ!!どきっ」のサブタイトルやサムネイルの画像をみると、このシーズンでいよいよイースターとの決着もつきそうで、今から楽しみです。