半導体おじさんの独り言 ~第2話:始めたらやめられない半導体~
Morgenrotで最年長のYです。今回は半導体市場の話をちょっと致しましょう。
私は、ほんの偶然でAMDという米国の半導体会社に入社して以来、気が付いたらかれこれ40年も半導体市場に関わることになってしまいました。あっという間の40年という印象がありますが、市場で起こった変化を考えると、この目まぐるしい変化がこの業界に関わる人々を突き動かすエネルギーの源泉になっているのだと感じます。私がAMDに入社した1986年の頃は、世界市場を掌握しつつあった日本の半導体企業に対し米国企業が反発し、政府を巻き込んだ大きな貿易問題となっていました。そのうち日本企業はあっという間に凋落し、それに代わって現在米国が神経をとがらせているのは技術覇権競争で台頭する中国です。
また、私がこの業界に飛び込んだころの電子機器市場は、IBMが牛耳るメインフレーム・コンピューター(この言葉は既に死語になりましたが、大型汎用コンピューターという意味です)がその中心プラットフォームでした。そのあとに現れたのが、PC(Personal Computer:パソコン)です。PCというコンセプトは皮肉なことにそれまで市場を牛耳ってきたIBM自身がやる気なさそうに開発したものでした。しかしPCは出現すると急激に発展を遂げて、あれよあれよという間にメインフレームを駆逐しました。結局IBMは退場しますが、代わりにのし上がったのがCPUを供給するIntelとOS・アプリケーションを供給するMicrosoftです。この2社は鉄壁のチームワークでWintel(Windows+Intel)時代を築き上げ、PCとサーバーを組み合わせたクライアント・サーバーという事業形態が生まれ、企業の基幹システムとして更に進化を続けました。盤石とも思われたこの体制に大きな変化が現れるきっかけとなったのがiPhoneの登場です。一般消費者が、とんでもない性能の“コンピューター”であるスマートフォンを手にし、インターネットを通じて大量のデータをやり取りする時代の到来です。この潮流に乗ってAppleは巨大化し
、Google, Amazon, Facebook(現在はMETA)などの巨大企業を生みました。
さて、その世界がまた変わろうとしています。生成AIの登場でこの2年くらいで急成長したのがGPUを提供するNVIDIAで、昨年まで「世界最大の半導体企業」と呼ばれていたIntelの座をあっさり奪取しました。その理由は多数のサーバーで組み上げられたデータセンターでの中心頭脳(“ノード”と言います)が従来のCPUに加えて、AI処理を並列で高速処理するGPUを多用する
事になったからです。現在NVIDIAは高価なAIサーバー用GPU市場の90%くらいを掌握していますが、これにはAMDをはじめ多数の挑戦者が新たな技術で戦いを挑みます。AI市場はまだ黎明期で、今後も大きな変化が加速的に繰り返される様相ですが、私が見てきた業界の目まぐるしい変化を常に牽引してきたのが半導体技術の発展です。半導体では常に新たなことが起こっていて
、一旦関わったら新たな技術を追って「次、そしてその次、、、」という風に切りがありませんが、そこに魅力を感じる熱い人々(暑っ苦しい?)が集まっているのです。
AI市場の成長とともに急増するデータセンターの設置ですが、近い将来大きな問題に直面します。複雑な並列計算を高速に処理するGPUをベースとしたデータセンターは、GPU自体の電力消費に加えて、それにより発生する熱を冷却するための電力も必要となり、向こう10年で電力需要は10倍以上になると予想されています。これは大きな社会問題です。ここで活躍するのが
Morgenrotが提供するM:Arthurです。データセンターでは多くの顧客の計算ニーズを受けながらデータ処理をするので、基本的に受けた仕事をそのまま処理に回します。しかし、M:Arthurを使うことにより、各ノードにかかる負荷を考慮しながら、全体的な処理の効率化を図る事ができます。M:Arthurとは、データセンター全体のコストや使用電力を飛躍的に低減する優れモノ
なのです。デジタル社会の諸問題に関わりたい方、ギークなソフトウェアを開発したい方、最新の半導体技術に触れたい方、Morgenrotの仕事を是非のぞいてみてください。
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