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4丁目プラザとその周辺ビルについて書き留める【前編】

1972年の札幌オリンピック前後で急速に進められた都市開発。地元資本の百貨店化や寄り合いでの事業展開が盛んになり、かつての百貨店三強時代は終わりを迎えた。そこから50年、再開発の波によって街の風景はまた大きく変わろうとしている。


1970年頃にできた大通・狸小路周辺のビル(特に地場資本)について書き留めていたメモです。各見出しがビルの名前だったりデパートの名前だったりと統一されていませんがお許しを。
後編は4丁目プラザの予定。

51年前の札幌オリンピック開催当時に、駅前通の大通ゾーンに建てられた商業ビルの多くは、地場資本のビルだった。4丁目プラザ、中心街ビル、コスモビル、エイトビル、さらにサンデパートもあった。これらのビルは、建て替え時期を迎えているが、中心街ビル、コスモビル、エイトビルは既に本州資本が土地建物の権利を持ち、4丁目プラザも閉店後に、地権者の1人だった読売新聞東京本社が他の5人の地権者から持ち分を取得して、全体を所有するようになった。

札幌・大通商業ビル建て替えラッシュで消える地場資本
リアルエコノミー




◆ピヴォ(解体中)

1968年 中心街デパート オープン
1973年 札幌ショッパーズプラザダイエー オープン (ダイエーの北海道進出1号店)
1993年 ダイエー閉店
1995年 ビル改装、ピヴォ オープン
2019年 ダイビル(大阪)が買収
2023年 5月ピヴォ閉店、南館西館ともにビル解体

ピヴォの駐車場にはかつて別当興業が運営する映画館、北海道劇場があったようです。ここのストリートはオヨヨ通りと呼ばれており、これについては後編の方でまとめるとする。

ピヴォはZARAを1階に構える旧IKEUCHI ZONEに移転。一部テナントもそのまま移る形でPIVOT CROSSとして新装開店した。

ピヴォ跡地隣のファミリーマートが入っていた桂和MTビル(現ダイビルPIVOT南館)、LIGHTHOUSE COFFEEが入っていた外観内装ともにかっこいいペンタグラムビル(現ダイビルPIVOT西館)も同じく解体・再開発となる。新しくできるビルはかなりの大きさになりそうだ。

建物に関してはこちらが詳しい↓


ピヴォ跡地にはオフィス、商業施設の他に1泊6万~60万というハイクラスなホテルが入ることが決定している。最上階にできるというスパは、「日本で見たこともないようなクオリティの高いスパ」*になる予定らしい。
自分とは全く縁がなさそうだが、札幌のマリーナベイサンズが誕生するのかなとちょっと気になる。

参考:
https://chushingai-bldg.co.jp/compnay
https://www.daibiru.co.jp/100th_history/topical/project12/01/
ダイビル・丸山卓社長が語ったPIVOT跡地「札幌ダイビル再開発プロジェクト」の全容① リアルエコノミー
テイクアンドギヴ・ニーズ野尻佳孝会長が語ったPIVOT跡地「札幌ダイビル再開発プロジェクト」の全容② リアルエコノミー


◆コスモビル(現ナナイロ)

1969年 コスモ開業
2012年 ドンキホーテが土地・建物を買収
2013年 札幌ナナイロに改称
2015年 日本アセットマーケティング(ドンキホーテホールディングス)が取得

複数商店による寄合百貨店。狸小路や駅前通に面していた、「三兼」「ギンザ洋装店」「内藤鞄店」「名取川靴店」「土肥履き物店」「丸久洋品店」がテナントの中心だった。
コスモという名称は、開業と同じ1969年にアポロ11号が月面着陸したことに由来している。

参考:
さっぽろ文庫「狸小路」
https://www.nikkei.com/article/DGXNASFC02009_S2A101C1L41000/


◆エイトデパート(現MEGAドンキ)

1970年 エイトデパート開業
1990年 アルシュに改称
2018年 日本アセットマーケティング(ドンキ)が買収、メガガイア閉店
2019年 MEGAドンキホーテオープン

コスモ同様、地元商店らによる寄り合いの商業施設。「丸惣河関」「川中靴店」「カメラの川田」「山口洋装店」「池津洋服店」「〇京狸小路店」「日本楽器支店」「メガネの藤田」と、権利者が8人いたことがエイトの名に由来している。
再開発を控え移転先を探していたサンデパートビルのドンキが移動する形で19年にMEGAドンキがオープンした。

参考:
*さっぽろ文庫「狸小路」


◆サンデパートビル(現モユク)

1962年 サンデパート創業
1984年 百貨店業終了、そうご電器が入り「サンデパートビルそうご電器YES店」に改称
1997年 メインバンクの拓殖銀行が破綻、経営悪化
2001年 そうご電器とドン・キホーテが提携
2002年 そうご電器経営破綻
同年   ドン・キホーテとゲオがテナント入り
2018年 ビル解体
2023年 モユクサッポロ オープン

狸小路の商店ら14軒によって建てられた共同ビルであり、寄合百貨店の一つ。サンデパートという名前は3丁目の3と太陽(sun)から来ている。*
モユクは2017年竣工予定だったらしいが、ドンキホーテの移転先が見つからず計画から大幅に遅れが出た。

前までコンテナだったのにモユク内のちゃんとした店舗になっている!と最近驚いた狸小路の果物屋さん「サン・フルーツ」。なんとサンデパートの頃からある老舗の果物店でした。創業73年。もしかしたら札幌市民の間では常識だろうか…。
元は「畑山果実店」という名前だったが、代替わりやサンデパートへの入居のタイミングで「サン・フルーツ」へと変えたそうな。
以上なんだかフルーツを買いに行きたくなる情報でした。

参考:
*https://youtu.be/RZQoONojrIg
https://www.stv.jp/tv/dosanko_eve/tokushu/u3f86t000006l4wl.html


◆金市舘ビル

1923年 創業
1970年 8階建ての百貨店化
1983年 地下1Fに大丸スーパーが出店
1989年 金市舘(丸友産業)と大丸スーパーが合併し株式会社ラルズとなる、金市舘はラルズプラザに改称
2014年 ラルズ閉店
2015年 ベガスベガス狸小路二丁目店オープン

かつて金市舘は留萌、釧路、網走など道内複数都市で衣料品チェーン店を展開。
ラルズの閉店は建物の老朽化、耐震問題が理由だとしている。ラルズは2002年にアークスに商号を変えており、道内の食品スーパー業界ではイオン、コープに続いて第3位の売り上げを誇る。
建物の名前は今も金市舘ビル。現在はベガスベガス、GEO、快活クラブ、ダイソーなどの店舗が入っている。

なんと良いボタン。(建設当時はエレベーターが現代のように当たり前ではなかったため、とのこと。)
「のぼる/おりる」ではなく、「のぼりたい/おりたい」なところが何かをくすぐります。字体もかわいいです。

参考:
*https://hre-net.com/keizai/ryutu/10945/
*https://hre-net.com/keizai/ryutu/9954/
*https://diamond-rm.net/management/44403/4/


◆丸ヨ池内

1893年 池内金物店創業
1949年 池内ビル完成、その後数年にわたり増築
1965年 百貨店化
2011年 札幌アルタ跡にIKEUCHI ZONEオープン
元の店舗をIKEUCHI GATEに改称
2020年 GATE閉館、解体
2022年 GATE新装開店、札幌アルトとの契約満了によりZONE閉館

札幌アルタは三越が運営していたファッションビル(2002年~2010年)。
現在、元ZONEの札幌アルト南1条ビルはPIVOT CROSSに変わり、GATEの土地は丸ヨ池内から東京の地主に所有が移っている。
関係ないけど、元ZONEビルを所有する札幌アルトはあのかっこいい大五ビルヂングの所有会社でもあるようだ。

参考:
https://www.ikeuchigroup.com/history/
https://hre-net.com/keizai/keizaisougou/60112/
https://hre-net.com/keizai/keizaisougou/70042/
http://s-alto.com/company/company.html



後半へ続く…
(1年以内に書きます…)


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