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NOTEでのオリジナル記事

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#竹取物語

竹取物語の源流:隼人と天皇

少し前に、「竹取物語」の解釈をテーマにした3つの投稿をしました。 本投稿は、直接、「竹取物語」の解釈とは関係なさそうなのですが、その背景として興味深い、「隼人」に関わる情報(海幸山幸神話、天皇、竹、月、九州王朝、丹波などを含む)を紹介します。 古代日本の南九州に住んでいた隼人は、竹文化、月信仰を特徴とし、「竹取物語」の祖型の物語も、隼人に由来すると思われます。 記紀の日向神話は、隼人と密接な関係があり、竹の要素も見られます。 日向神話には、「竹取物語」と類似する異類婚姻

歴史の闇に隠されたかぐや姫のモデル

「竹取物語の宗教観と月信仰1-2」に続く投稿です。 かぐや姫に歴史上のモデルがいたとすると、それは誰でしょうか? あるいは、「竹取物語」には、かぐや姫と竹取の翁の前世がほのめかされているので、その前世として想定されているモデルがいれば、それは誰でしょうか? 「竹取物語」の時代設定は天武-持統-文武期なので、かぐや姫のモデルはこの時代に探すことになりますが、九州王朝論者から筑紫王朝の姫とする説が出されています。   一方、垂仁天皇の妃に「迦具夜比売」がいることから、崇神

竹取物語の宗教観と月女神信仰 2(平安期の神道から)

「竹取物語の宗教観と月女神信仰 1(古代の神仙信仰から)」に続く後編です。 神道の成立1:清穢観と物忌 現代に続く神道は、その浄穢観と、穢れを祓う物忌の制度として、奈良時代後半の8Cの末ころまでに成立しました。 これは、光仁天皇以降のことで、天皇の系譜が、天武系から天智系に代わってからです。 天武が大きく導入した仏教や道教の要素に対して、神道はその影響を受けつつも、それらを分離して確立しました。 この新しい神道の浄穢観は、神祇信仰の古くからの素朴な浄穢観に、仏教の戒律

竹取物語の宗教観と月女神信仰 1(古代の神仙信仰から)

これまで、月信仰に関わる投稿を数本していますが、今回は「竹取物語(竹取、竹取の翁、かぐや姫)」の宗教観と月信仰、そして、その隠されたメッセージをテーマにします。 かぐや姫を迎えにきた月の都の「王と覚しき人」が、かぐや姫に対して敬語を使っているので、かぐや姫は、ただの月の仙女の類ではなく、月の最高女神に相当するような存在であることが分かります。 ですから、「竹取物語」は、月女神信仰をテーマにした物語です。 「竹取物語」は、日本最古の物語とされ、登場人物たちの感情が豊かに描